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保険に万全を重ねて

今年はこれでラストになります。


3ヶ月とまだ短いですが、本当にありがとうございます。


来年は4日以降から再開する予定ですので、また読んでいただければ幸いです。


チーム決めの翌日、初練習の時間になった。


運動場を走り、ストレッチをして、各チームグラウンドに散る。


4組は、男女混合で高校野球のグラウンドを使う。

土も柔らかく、外野には芝があるので、間違いなく一番いい練習場所だろう。


女子チームとの話し合いの結果、俺たちは後半20分間グラウンド練習になったので、外野のファールゾーンで内外野の2グループでノックをすることにした。


「昨日ポジションは決めたけど、どっちも出来るようにしておきたいから、まずは全員内野に入ってー」


ノックをするのは俺で、投げ返されたボールを捕るのはキャッチャーの元野球部。


みんなが言うにはどうやら俺が一番上手らしく、なぜかノッカーを任されることになってしまった。




内外野ノックを一通り行った結果、意外なことが分かった。


まず、みんなある程度ボールを捕ることができる。


そして、返球の暴投が少ないこと。


あと一つ、外野から返せる肩がある人が多いこと。


決勝以外、下が固いグラウンドで試合をするので、外野を抜けた打球はよく転がる。


そこで外野に必要な要素は、“瞬足”と“強肩”


その2つをクリアする人が4人ほどいる。


(これは行けるぞ。勝てる)


俺は心の中で確信した。



「怜ー。こうたーい」


女子チームキャプテンの聖奈が呼びに来て、グラウンド練習の順番が来た。


昨日決めたポジションにつき、余る2人を上がらせ、フリーバッティングをする。


こちらも意外、みんなある程度打てる。


外野を超えることはないが、ソフトボールを外野まで運べる。


俺以外の元野球部に関しては、全員外野を超える打球が打てる。


これはこのクラスのレベルが高いのか、これが普通なのか分からなくなってきたな。


「みんな凄いな。じゃあもう一周しようか。次は俺が速めに投げるからそれを打とう」


俺は試合の距離より1歩短く場所に立ち、下投げでビュッと投げる。


体感速度は120くらいだろうか、ソフトボールなこともあって球も重そうだ。


これで外野に飛ばせるようになるまで練習しよう。


俺は保険に保険をかけ、さらに上の練習を始めた。






「んー。勝てるな。勝てる・・・よな?」


俺は家の机でポジション表を見て、少し不安になっていた。


グラウンド練習中、俺はちょこちょこ他クラスの練習も見ていた。


それを見ても、負ける気がしない。


だが、1~3クラスに強いチームがいる可能性は無くはない。


それが1%でも、それ以下でも、0じゃなければ保険の対象になる。


「仮のポジションのままでいいかな」


俺は本番の守備位置を、仮のまま行くことにした。


「訂正と実践を繰り返す予定だったのにな。次からなんの練習をするか」


練習時間はあと2回あり、何かしらのメニューが必要になる。


俺はシャーペンの芯を出し、思いついたままにペンを走らせる。


『速球バッティング→継続 新メニュー、実戦形式』


実戦形式とはほぼ紅白戦で、2チームに分けて攻撃と守備を繰り返す。


ランナーも残り、ルールや走るタイミングなどを教えるための練習。


「よし。とりあえずこれで行こう」


パタンとノートを畳み、俺は気持ちよく眠りにつく。





3回目、最後の練習。


前回の実戦形式は、正直酷かった。

テンパり、慌ててプレーが覚束無い。

練習の気楽さと違い、チーム戦ということはどういうことかを理解し始めたようで、元野球部に積極的にアドバイスを求めるようになった。


なので今回も、実戦形式をすることにした。


目的はもちろん実戦慣れ。

実力を出せれば、クラスマッチで負けることがないはずだ。




昨日よりは多少マシになったが、まだ慣れない。

特に連携プレー。中継の位置や、待ち方など、細かい所を教える。


だが逆に考えよう。細かいところを教えるということは、大まかなところはクリアしているということだ。


チームは仕上がった。この3回の練習で大幅に上達した。





「怜、どんな感じ?」


その日の学校が終わってすぐ、翔が俺の席に来る。


「勝てるさ。1つ気になるところはあるけどな」


「1つ気になるところ?それはなんだ?」


「それは当日に分かるよ。ただ、その策も考えている」


「そうか。なら大丈夫だな。頼むぞ、諸葛孔明」


「そのランクアップはもはや弄りだろ」


あれほどの頭があればどれだけ楽か。

女子チームでも俺たちに勝てるかもしれないな。


「あはは。でも本当に信頼してるぞ」


言い捨てるように言葉を放ち、その場を去っていく。


俺は小さく「どうも」と返し、こちらを見ていた佳乃に話しかける。


「どうしたんだ?」


「ん。頑張ってね。こっちも頑張るから」


そう激励し、最後に「私以外が」という一言を付け加える。


「絶対に勝つ。約束したら果たさないといけないよな」




これで逃げ道は無くなった。2日後、勝負の時。






そして決戦当日。


俺含めチームは万全の状態で体操着(しょうぶふく)に着替え、運動場(けっせんのば)へ向かった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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