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想いを叫べ

今回で大冒険のが終わります!


最後までよろしくお願いします!


山を下り初めて数分、森を抜け、開けた場所に出た。


「なんか自然!って感じだな。次はこの道を行った先か?」


「だな。また森に入るみたいだ」


少し歩いて森に入り、さらにその中にあったアスレチックを軽々クリアして先に進む。


「おっ。先生がいるじゃん」


「来たね。次はここをおりてもらうよ」


そこに立っていた他クラスの先生の少し先には高い崖があった。


5m、いや8mはある。上から綱が垂らしてあるが、それでも怖い。


「この綱をしっかり持って、この崖に足の裏を付けて降りるんだよ」


一応下に先生とマットがある。

万が一落ちても怪我はしないだろう。


「・・・誰から行く?」


優斗がみんなに尋ねる。

いつもは1番に行きたがるのに…。もしかして高所恐怖症なのか?

じゃあ俺が行くしかないじゃないか。


「俺が行くよ」


「ほんとか?助かる」


俺は綱を握りしめ、ゆっくりと降り始める。


足の裏を崖につけ、足と崖の角度がほぼ直角になった。


「そうなればあとは流れに任せるだけだよ!」


先生の言葉通り、流れで足と腕を動かし、下に近づく。

あともう少しのところで先生に支えられ、地面に着陸した。


「意外と簡単に行けるぞー。どんどんこーい」


ここまでが俺の役目。簡単に行ったように見せて恐怖を薄める。


これが功を奏し、二人目以降は躊躇うことなく順番に降りてこれた。



「ほんとに助かったぜ。高いとこ怖くてさ」


次の場所へと向かう途中、優斗が小さな声で感謝を述べる。


「気にするな。人には得意不得意あるからな」


「にしても凄いな。怖くなかったのか?」


「いや、めっちゃ怖かったぞ」


「だったらなんであんなにさっと行けたんだ?」


「俺があそこで怖がったら女子が先になるだろ?優斗も高いところが怖いんだろうなって分かったから、俺しかいないって思ったんだよ」


「・・・お前凄いな」


どういたしましてと返し、前を向くと、1枚の看板とあからさまに何かを話すためにある高台があった。



「もう次か?というかこれで最後か」


続けて優斗が看板を読み上げる。


「えーっと。「一人づつ高台に立ち、大声で思いを叫べ」か。それは言葉でも歌でもいいみたいだな」


「なんか恥ずかしいね。でも時間使うと他の組来るし、早くした方が良さそうかな」


聖奈の言葉に全員が頷く。


順番はジャンケンとなり、小暮→優斗→佳乃→聖奈→俺の順になった。


「じゃあ、行ってくるね」


小暮が最初に立ち、彼女なりの大声で叫ぶ。


「私をグループに誘ってくれてありがとー!」


それは俺たちへの感謝の言葉。

彼女も自分で気づいていたのだろうか。

どっちにしろ、これからも仲良くしないとな。


「次は俺か!」


優斗が自信満々に高台に登る。


「彼女がほしー!!!」


やまびこが聞こえるほどの音量で叫んだ。


俺たちの間に笑いが起こり、なぜか優斗はしてやったりという顔をしている。


「・・・行ってきます」


佳乃は自信なさそうにしている。

声の大きさが心配だったようで、聖奈のカバーのおかげでその心配が薄れた。


「楽しい学校生活を送りたい!」


最初の自己紹介か!と、聖奈からツッコミが入る。


その聖奈は佳乃が降りる前に高台に登り始めた。


「私からは一言だけ」


意外だった。長々しく色々言うと思ってたからだ。



「勇気出して頑張れ!!」


その言葉を聞いた瞬間、俺はドキッとする。


言葉の対象は確実に俺。つまり、あの事を知っていたということ。


俺は看板を見た時からここで言おうと思っていた。

ここしかない。この機を逃せば必ず後悔する。


それを後押しする、その一言。



すれ違った時に背中を強く叩かれる。

小さな声で「頑張れ」と言われた気がした。


これで逃げ道は完全に塞がれた。

いや、逃げる気なんてさらさらない。


これが最初で最後のチャンス。


俺は覚悟を決め、高台に登る。



位置に着いた時、さらに緊張し、心拍数が上がる。

鼓動の音が聞こえ、周りの音が遮断される。


(覚悟を決めただろ。男だろ…!)


俺は大きく深呼吸をして、はっきりと、大きな声で叫ぶ。




「佳乃!好きだ!俺も好きだーー!」




聖奈に支えられる形になったけど、言ってやった。

久しぶりに正直な気持ちを伝えた。


小暮と優斗は唖然とし、佳乃はその場で固まり、聖奈は笑っている。


次の瞬間、佳乃の瞳から涙がこぼれ落ちた。


俺が急いで高台を降りようとすると、佳乃が手を前に出し制止し


「ありがとう。言ってくれて、ありがとう・・・」


とだけ言い、さらに涙を流す。


今度こそ高台から降り、佳乃の元へ駆け寄る。


「頑張ったね」


俺が佳乃を泣き止ませようとすると、聖奈が労いの言葉をかける。


「やっぱり知ってたんだな」


聖奈は笑顔で頷き、放心状態の2人を起こしに行く。


数十秒で佳乃は落ち着き、2人も状況が理解出来たようでこっちの世界に帰ってきた。



「えーと。そういうことでいいんだよな?」


優斗が疑心暗鬼な顔で聞いてきてため、俺は





「佳乃と付き合い始めた。これからもよろしくな」




と、堂々と応えた。







最後まで読んでいただきありがとうございます!

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