告白会議
少し短めな女子たちの話し合いです。
「佳乃ちゃん。この後部屋に戻ってすぐ来てくれない?」
「・・・?分かった」
怜たちが行ってからも聖奈は浴場の前に座っていた。
目的の人物、佳乃が来るまで。
佳乃は言われた通り、戻ってすぐに聖奈たちの部屋に向かった。
ドアをノックすると「はーい」と言われたので、それを了承と捉えてドアを開ける。
するとそこには聖奈を中心に数人の女子が固まっている。
聖奈に手を引っ張られ、佳乃は奥の畳に連れていかれた。
「確認なんだけど、怜のこと好きなんだよね?」
聖奈が耳元で囁くと、佳乃はすぐに赤面した。
「・・・うん。あの時からもっと意識するようになった・・・」
「付き合いたいと思う?」
「・・・・・・うん」
さらに赤面する。
「それだけ聞ければ十分!今日告白しよう!」
今度はみんなに聞こえる声で言う。
他の人の反応を見るからに既に聞かされていたようだ。
「えっ、今日?」
「今日!作戦は考えてあるから!」
そして聖奈は作戦をみんなに説明する。
「まずは私たちがあっちの部屋に遊びに行くの。これはさっき怜に言ったからクリアね」
「そして次。UNOかトランプのババ抜きをする流れにする」
「・・・?それと告白のどういう繋がりがあるの?」
佳乃が首を傾げると、聖奈が分かりやすい説明を入れる。
「ちょっと細工をして佳乃と怜を先に終わらせる。そしたら怜は時間がかかると思って外に涼みに行くから、その時に二人きりになるんだよ!」
「それって怜くんが外に行く前提じゃない?」
そう。この作戦は女子たちだけでできる事じゃない。
怜が涼みに行くか。そこがこの作戦の難しいところだが
「大丈夫。怜は絶対に外に行く。幼なじみである私を信じて!」
「うーん。じゃあ信じるよ」
「作戦の説明もしたところで男子の部屋に行こー」
「「おー!」」
かくして告白会議が終え、実行に向かって歩き出した。
「で、結果はどうだった!?」
男子の部屋から戻ってすぐ、佳乃は他の女子たち(主に聖奈)に詰め寄られていた。
「ちゃんと告白できたよ。好きって伝えた」
「おおー!!それで!付き合えたの?」
「それがね。付き合おうって言う前に止められたの」
佳乃は笑顔のまま応える。
「えーなにそれ!最低じゃない!」
1人の女子から非難の声があがる。
当然だろう。結果だけを聞けば怜が最低な人間として非難されるだけ。
ただ、全てを知っている佳乃は補足の説明を入れる。
「そうじゃないの!怜くんがね、「そこから先は俺が言いたい」って言ってくれたの。だから今はそれを待ってる」
「なるほどねー。かっこいいね、怜」
聖奈は少し驚きを見せている。
過去にこんな感じのことを言ったところを見たことがないからだ。
「でもその顔を見る感じ、この結果で満足してるようね」
「うん。だから私は信じて待つよ。どれだけかかるか分からないけど、ずっと好きでいる」
その時の佳乃の言葉から確かな覚悟を感じられる。
怜と佳乃。互いの覚悟が決まった夜だった。
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