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幕間 新入部員歓迎食事会

どうしてもこの話を書きたく、追加しました!

この話に出てくるものに聞き覚えがあるものがありますが、それです。中身もそのまんまです

ただ、少しだけ違うところがあったりするのでそこは目を瞑ってください。



「あの時さー」「それなー」「これ美味しいよ」


食事処の団体部屋はバド部の部員たちで賑わっている。


2列の長机に部員が座り、主将の乾杯の音頭から食事会が始まった。それから数分、みんなのテンションはピークに達していた。


最初に来た俺は入口から一番奥を陣取り、浜野は俺の向かい側に座る。

そしてそれを見た1年生は男子が俺の横、女子は浜野の横に列を作り、入口側に2,、3年生が座ることになった。


ちなみに親や顧問は隣の団体部屋にいる。

なので、それをいいことにみんな騒ぎに騒いでいる。


俺は最初浜野と話していたが、浜野が女子の話に混ざったので1人になった。

俺が寂しく1人で食事を始めて少しした時


「ちゅーもーく!テレビゲーム大会やるぞー!」


「なんのゲームですかー?」


2年生が主将に問いかける。


「大乱闘ゲームだ!一対一のトーナメントをやろう」


ばばーんと出した手に持っているのは人気ゲームの新作。

俺も持っていてある人とよくやっているやつだ。


この部屋は団体部屋という名のパーティー部屋。

入口側の端にステージみたいなところがあり、大きなスクリーンがある。

そしてその前にはテレビがあり、番組をみんなで見れるようになっているようだ。


そのシステムを上手く使ったゲーム大会。

プレイした画面は部屋全体に見える。


「じゃあやったことある人は前に来てー」


俺は正直に前に出る。

結果、3年生5人、2年生6人、1年生5人が前に出た。

ほとんどが男子で、浜野は出ていない。


「16人だからちょうどよくトーナメントが作れるな!じゃあ名前と操作設定していいよ。好きなコントローラーも使うといい」


主催者兼参加者の主将は、持っていたカバンから4つのコントローラーを出す。

その中には俺が使っている公式のものもあったので、それを取り、家のものと同じ操作設定にした。


全員の操作設定が終わり、キャラ選択に移行する。


俺はメインキャラの女剣士を選んだ。

このキャラは中軽量級で、足が速くリーチが長い。

技の発生が基本的に早く、空中技が特に強い。

俺はそれを活かして崖外戦闘を仕掛け、早期撃墜を狙う戦い方を得意にしている。


キャラ選択が終え、ランダムにトーナメントが組まれる。

俺の出番は1番最後、そして主将は1番手になった。


1回戦目。主将VS1年生


1年生の重量級キャラの攻撃を、主将の狐がその素早さでかわし、丁寧にコンボでダメージを積み重ねていく。


そのまま1年生は撃墜され、2スト残しで主将が力を見せつけた。


その後も次々と1年生が負けていき、俺の試合までの間に残っている1年生は0になっていた。


俺の相手も2年生。これまでの1年生を見て勝つ確信を得たのか余裕を見せている。


ただ、俺は負ける気がしなかった。

ここまで見た中で一番強いのは恐らく主将。

しかし、それでも俺のいつもの相手には到底敵わない。

そして俺も、その人と対戦を繰り返すうちに同等の強さになっていた。


余裕の見せている先輩のキャラは一撃一撃が致命傷になるパワー特化。


対戦が始まり、俺は相手の出方を待つ。

やはり余裕をかましていて、いきなり突撃してきた。


俺はそれをジャストガードし、崖外へ投げ、空前を当てステージに帰れないところまで運んだ。


これでまずは1ストック。


1年生は歓声を上げ、2、3年生は驚いた顔をしている。


2、3ストック目も同じように撃墜し、3タテで勝利した。


その後も順調に勝ち続けた。

主将も気合いが入ったようで、1回戦以来1ストックも落とさずに決勝まで残った。


「君強いな。確か最初の体験でも優勝してたよね?名前教えてくれないか?」


決勝前の握手の時に不意にそう聞かれる。


「永谷怜です。よろしくお願いします」


「永谷か。よろしく。そして負けないよ」


急に真剣顔に戻り、2人ともゲーム画面の方を向く。


主将はもちろんコンボが得意の狐キャラ。

ただ、いつもの相手が使った狐キャラのように隙のないコンボではなく、5段攻撃中の2段目の終わりに反撃隙がある。


俺はその隙を使い距離を取り、低ダメージでは確定の空前→多段攻撃のコンボを繋げる。

そして崖外に出し、復帰に合わせカウンターでさらに外へ。

復帰が強い狐でもこれにはたまらず撃墜。

開始30秒程で1ストックを取った。


2ストック目。相手は別コンボを仕掛ける。

そのコンボも知っていた俺は、また先程のように反撃し、また崖外に出し、撃墜した。


そしてラストストック。驚くべきことが起きる。


相手はまたコンボを仕掛ける。だが、そのコンボを知らなかった。

ネットや動画サイトで調べている俺でも知らないコンボ。つまり、今即興で作ったということ。


俺はそのコンボに惑わされ初めてストックを失う。


次のストックで大ダメージを負うも何とか撃墜し、2スト残しで優勝した。


はっきり喜べない。あのコンボは確実に即興で作ったもの。それに完全に対応できなかったということは、俺の実力負けだ。


一番自信のあるゲームでの実力差。

それは俺にとってレート戦に負けるより悔しいものがあった。


「やっぱり強いな。コンボが全然効かなかった」


「いえいえ、最後のコンボは即興ですよね?あれを防ぎきれなかったのが悔しいです」


「ああ、あれか。実はな」


と、俺にしか聞こえない声で


「今日、優勝するためにずっと練習したんだ。負けてかっこ悪いからみんなには言うなよ」


「いえ、とてもかっこいいですよ」


俺は心の底からそう思った。

勝利への研究。勝利への執念。それらは俺と似ていた。

だが、それでも俺はネットにあるコンボしか知らず、自作のコンボがない。

それを作り出すのは並大抵の努力じゃ生み出せない。


そんな新コンボを作った主将の努力は本当に尊敬出来る。


「てことで!優勝は永谷ー!!!」







食事会が終わり、部員たちは外で親の会計を待っていた。

あの後、俺はゲームの相手をさせられ続け、大会に参加した全員と対戦した。


そんなこんなしているうちに時間になり、後半ほとんどゲームで食事会が終わってしまった。


「全員で写真を撮ろう」という主将の提案で、全員と学年別の2枚をとり、その写真がグループLINEに送られる。


俺はあまりの暇さにコンビニに向かう。


隣のコンビニに入り、小腹を満たすためのパンを選ぶ。


「永谷くんすごかったねー」


急に声をかけられ驚く。

その声の方を見ると、浜野が立っていた。


「どうも、おかげで後半食べられなかったよ」


「だからパン選んでたんだー。私もなにか買お」


そう言って浜野はチョコのパンを選ぶ。

それが美味しそうだったので、俺も残っているラスト1つを手に取り、レジに行く。


「一緒に払うよ。ほら」


「え、でも」と断ろうとする浜野の手からパンを取り、レジに置く。


「いいから。いつものお礼」


2回目以降の体育館の予約は浜野がしていて、鍵の貸し借りも浜野が行っていた。


「じゃあお言葉に甘えて」




その後店の外で食べたチョコパンは、いつも以上に甘く感じた。





最後まで読んでいただきありがとうございます!

幕間にしては長めでしたが、楽しめましたでしょうか?


次回からやっと宿泊研修編に入ります!

お待たせして申し訳ありませんm(_ _)m

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