引いて駄目なら、押してみろ
ーマイクの男が俺に、氷をくれたー
ー冷たくて気持ちがいいー
ニート:
「あいたた。急に蹴るんだもんな……」
金髪のヤンキー娘:
「あん、なんか文句あんのか?」
ニート:
「いえ、ありません」
マイク男:
「えー、お調べしたところ、あなたは【29】番ですね」
ニート:
「あ、そうなんだ。ありがとね」
マイク男:
「では、気を取り直して【綱引き】開始です!」
ー1回戦は綱引き。ここで半数に絞られるー
ー全員が配置に付くー
マイク男:
「では、私が ”よーい、スタート” と言ったら開始してください!」
金髪のヤンキー娘:
「おい、後ろのお前」
ニート:
「はい、何でしょう?」
金髪のヤンキー娘:
「もしヤバかったら、私の背中を押せ」
ニート:
「へ、何ですか?それ?」
金髪のヤンキー娘:
「でも、押したら後で蹴るから」
ニート:
「なんたる理不尽」
マイク男:
「ではではーー、よーい、スタート!!」
―マイク男の合図で、俺は綱が引っ張る―
ーが、縄はすごい勢いで向こう側へと流れていくー
ニート:
(うおおお、やっぱり2番の奴が凄すぎるのかーーー)
―2番の大男は先頭でぐいぐいと縄を引いている―
ニート:
(こりゃ、ボロ負けだ)
ニート:
(しかし、こんなことで終わってたまるか!俺はニートキングになるんだ!)
金髪のヤンキー娘:
「おい、おっさん!早く私の背中を押せ!」
―前の金髪娘が叫ぶ―
―俺は戸惑う―
ニート:
(こんな若い子の背中を……セクハラじゃないのか。てか蹴られるらしいし)
ニート:
(いや、しかしそんなこと言ってる場合じゃない)
ー俺は、金髪娘の背中をそっと押したー
金髪のヤンキー娘:
「おい、よええよ!もっと強く押せや!」
ニート:
「ひえええ。知らないぞー」
―俺は思い切りに金髪娘の背中を押した―
―すると、金髪娘から ”ポチ” っと機械音が鳴った―
金髪のヤンキー娘:
「モードヘンコウ。パワースタイルヘト換装シマス。シュウイノミナサマハゴ注意クダサイ」
ニート:
「へっ、ど、どういうこ……」
―俺が驚く間もなく、金髪娘の身体が真っ白に光り出した―