-序章-
-ある一軒家にて-
ニート:
「今年でニート生活10年か。なかなかにニートライフを極めてきたなぁ……」
ニート:
「さぁて、今日は早起きして15時に起きたことだし、恒例のネットサーフィンから始めるか……」
ニート:
「ん、なんだ。この記事は?」
-今夜、東京の某所にて、最強のニートを決める戦いが始まる-
-参加は自由!我こそは最強のニートだと思う者は、ここに集え-
ニート:
「最強のニート……だと?」
ニート:
(しかし俺なんかでは、まだまだ若輩者だろう……30年ニートの人とレスバ(※)したこともあるし)
※レスバトルのこと。ネット上の格闘技。相手を挑発することに意義がある。
ニート:
(だけど、それなりに俺だって鍛えてきたつもりだ。今の自分がどれだけのニート力があるのか)
ニート:
(試してみてぇ!)
-こうして俺は、ニート最強決定戦が行われる会場へと足を運んだ-
-集合時間は深夜の3時……ニート達にとって、尤も活動的な時間帯だ-
ニート:
「集合場所は……ここだな」
-そこは東京湾が見渡せる、大きな倉庫だった-
-携帯のライトで照らすと、【糸井鋼業 東京事業所ー第三倉庫】 書いてあるのが見えた-
-巨大なシャッターは開いており、そこから覗いてみると中には誰もいなかった-
ニート:
(なんや、俺が一着か)
ニート:
(一応、学生時代は無遅刻、無欠席やったからな。10分前に着いてもうたし、ちょっと早いか)
-ニートは倉庫の中に足を踏み入れた-
-暗い倉庫の奥へと、進んでいくとまばらにブルーライトの明かりが灯っていた-
ニート:
(な、人が沢山いる……!?十人……いや、二十人近く居るぞ……!?)
ニート:
(だけど、みんなスマホやタブレットを弄ってる。しかも各々が10m以上距離を空けて座ってる)
ニート:
(このコミュニケーション能力の低さ……間違いない、こいつらニートだ!)
ニート:
(流石にニート力が高そうな奴らばかりだな……どいつもこいつも目が死んでやがるぜ)
ニート:
(さぁて、俺も舐められないように距離を取って座り……スマホでまとめニュースでも読むか)
-その後、ちらほらと音もたてずにこの空間にやってきては、先人達に習って座り込んでいく-
-そして、開始時刻になる頃には40人近いニート達が集まっていた-
ニート:
(流石にこれだけニート達が集まると、すこし匂うな……俺は今日風呂に入ってきたけど)
ニート:
(いや、もしかして、やらかしたかも……風呂に入ったことが審査に不利と出るかもしれん)
-やがて、この空間の中央に一人の男が現れた-
-そして、彼は小さなアンプとマイクを手にしている-
-どうやら、いよいよその時が来るようだ-