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第55話 エイトカードはお持ちですか? (ちょっと小話)

ブックマーク、感想、評価ありがとうございます。


そして、お待たせしましたm(_ _)m

 とある日の事。

 盛大にレジにてブザー音が鳴り響いた。


『ブブーー』


「あっ、足りなかったわ」


 仕事中ではあるが、異世界メンバー以外のお客様が居ないので、レジにて紙パックの麦茶を買おうとした際に、エイトカードで買い物をしようとしたが、残高が足りないと表示されてしまった。


 俺が普段8-10で夜勤がある時に飲む飲料水は、紙パックで1リットルのお茶シリーズを買っている。

 お茶の種類は緑茶、麦茶、玄米茶、烏龍茶、ジャスミン茶、そして最近出てきたルイボスティーの全部で6種類をうちでは取り扱っている。


 このお茶シリーズの良いところは、大体が1つ108円で買えるので、8-10のカードであるエイトカードで買うと1ポイント分ポイントが付く事。

 それにお茶シリーズなので、健康を気にし始めたアラサーにの俺にとっては、砂糖無しで健康に良いと言われるお茶シリーズは救世主なのである。

 もし仮に、俺が10代や20代前半であったならば、間違い無く定番のジュースや、新商品と名の付く物を買っていたと思う。


 それに俺がやっている夜勤のシフトは22時から6時までの、休憩込みで8時間勤務となっている。

 その間の飲料水は500ミリリットルのペットポトルでは量が少ないし、かと言って2リットルの水だと量が多い上に、最初飲む時が重いのである。

 また、同じ場所に陳列されているペットポトル飲料のコーラやサイダーなどは、スーパーの値段と比べてしまうと倍ほどのお値段になっているので、ちょっと手が出しにくい。


 そんな訳で、俺はいつもの様に紙パックの麦茶を買おうとしたところ、残高が足りないと機械に表示されてしまったのである。


「ねぇねぇ。いつも思っていたけれど、蒼は何でお金を使わないでお買い物が出来るの?」

「それは私も気になっていました。おそらくそのカードで売買が出来るようになっているのだろうと推測は出来るのですが、こちらの世界のルールを全て把握していないので、些細な事でも気になるのです」


 そう声をかけたのは、8-10のポテチうすしお味とコーラを持っているアイオーンと、買い物カゴに和菓子の詰め合わせを詰め込んでいる宰相さんであった。


 2人が手にするラインナップを見て、アイオーンは完全にこの世界に毒されているし、宰相さんは相変わらずの甘味限定の大食らいである。


「えぇっと、これはエイトカードって言って、8-10のポイントカードなんだけど、ここ以外でも使う事が出来るんだけど、皆はここから出られないからその話は省略する」

「まぁ、それはそうだね」

「あの扉から外には出られませんからね」


 異世界からのお客人達は、こっちに来る時は8-10スライムが作るゲートを通ると、入口のマットの上に転移して、帰る時は自動ドアを通ると元の場所に戻るので、どうあがいても店から外に絶対に出られないのである。


「んで、これがそのエイトカードなんだけど」


 俺は2人が見えるように、レジ台にゾウさんのキャラクターが描かれているエイトカードを置いて、カードの説明を始めた。


「まずこのエイトカードは、申請と手数料を払えば誰でも入手可能なカードで、これに現金をチャージして支払いが出来る」

「チャージ?」


 聞きなれない単語だったからか、アイオーンが小首を傾げて聞いてくる。


「んんーと。聞くよりも見た方が早いかな? ちょっと待ってて」


 そう言ってバックヤードに戻った俺は、財布から千円を取り出してレジに戻ると、実際にエイトカードにチャージしてみせた。


「そうそう。このチャージは千円からで、千円以下はチャージが出来ない。んで、さっきのでこのカードに千円分のお金が入ったって事になるから、それで買い物をするんだよ」

「へー。それって便利だね」

「小銭を少なくする上に、店員の手間も省けますね」

「まぁな。申し込みも結構簡単だし、最初だけ手数料を取られるけど、それも直ぐに溜まるからな」


 カードを作るには申し込みをしなければならないが、申請書は名前や住所、電話番号などの基本的な事しか書かないし、手数料は300円程だがこれは小まめに買い物をしていれば、すぐに手数料分のポイントは達成できる。


 ただし例外として、何処かの地域や何処かのキャラクターなどのコラボポイントカードとなると、一気に数倍のお値段になってしまうので、俺は普通のポイントカードにしている。

 いくら好きな作品のキャラクターやアイドルでも、数千円で絵違いだが同じ物を買いたいとは思わないし、ましてやコンプリートをしたいとも思わない。

 俺のオタク道は浅く広くである。


 ちなみに豆知識であるが、このエイトカードのチャージはレジで出来るしATMでも出来るので、チャージだけしたいけれど、レジが混雑している時などは、ATMでチャージするのをオススメする。


「あとは、108円ごとに1ポイント付いて……あとはあれだ。あの缶コーヒーの所に付いているポップの様に、1個買ったらボーナスでポイントが付く商品もあるんだ。

 だから、現金で買うよりもお買い得って訳だな」


 他にも、エイトカードで5個買うと1個プレゼントとかをやっていたが、今はそのキャンペーンをしていないので説明を省いた。


「ふむ。ポイントが付くとは何でしょうか? 向こうでは、この様なカード類は、冒険者や商業などのギルドカードを指すのですが、この様な機能は無いんですよ」


 エイトカードに付いて簡単に説明をした所、宰相さんから思わぬ質問が来た。


「えっ? えっと、改めて説明するのが難しいが、例えばあの缶コーヒーを1本買うだろ? そうしたら108円以上だから1ポイント分、さらにボーナスで10ポイント分貰えるんだ。

 だから、11ポイント分安く買えたって訳なんだけど、そっちにはこういうポイントカードとかって、馴染み無い感じ?」


 実際には安く買えるわけでは無いが、まぁいいだろう。

 こっちではポイントカードが当たり前となっていたから忘れていたが、剣と魔法の世界である向こうの世界では、電子機器など無縁であるはずであった。

 当然、ポイントカードとかキャッシュカードとかのカード類もあるはずがない。


 逆にこっちでは、ラノベとかにはよく出ているギルドカードだが、作品によってギルドカードの仕様が異なったりするし、実際に見た事が無いので、どんなものかが分からない。


 のだが、確かザックが冒険者をやっていたはずだから、ザックがこっちに来た時に見せてもらおう。

 だけど、こっちの世界は魔力が乏しいみたいだから、魔力で動かす系のギルドカードカードだったらどうなるんだろう?


「まぁ、そうですね。こちらでは馴染みの無い習慣ですが、面白いと思いますよ。実際に向こうで反映させるとなると難しいでしょうけどね。

 その代わり、値引きや商品のおまけなどが向こうでは主流となっていますから、その代わりのような物だと認識しました」


 宰相さん達がいる世界では、平民がよく使う市と、富豪から貴族が使う商店とに分かれているという。

 市は城下町の広場などの決められた所に、出店の様な形で様々なお店が並んでいる。

 商店はスーパーの様な建物に、それぞれに特化した品を陳列している場所だそうで、俺の身近でいうならば、リカルドの実家がこの商店になるのだそうだ。

 ちなみにリカルドの家は雑貨を中心にした商店だそうで、よく父や兄が交互に商品を買い付けに行っているのだそうだ。


「なるほどね。こっちだと、その値引きやおまけをしてくれるお店って少ないからな。いや、探せばあるとは思うけど、ここみたいなチェーン店とかだと絶対に出来ないんだよな」

「へー。これって僕達……」

「アイオーン様? どうされました?」

「おい、大丈夫か?」

「…………」


 喋っていた途中で、いきなり動きを止めたアイオーンに、宰相さんと俺とが心配になってアイオーンに声をかけるが、アイオーンはピクリともしない。


「おいおい。何だ何だ? 大丈夫なのか?」

「……ちょっと、私では判断しかねーー」

「ノーーーーーー!」


 動かないアイオーンに、俺と宰相さんがどうしようかとアワアワしていると、突然アイオーンが絶叫したかと思うと、その場で崩れ落ちた。


「ちょっ、おまっ! いきなりどうした?」


 レジから消えたアイオーンを心配して下を覗き込めば、アイオーンはグズグズと泣いている。


「うわーーん! 地球神にカード作っちゃダメって言われたーー!」


 どうやらアイオーンが動きを止めた原因は、地球神に呼び出されたかららしい。

 その呼び出された場所で、有無を言わさずにポイントカード作りを禁止させれたらしいので、アイオーンは泣き崩れていたと言うわけだ。


「まぁ、地球神様から禁止されてしまってはしょうがないですね。諦めましょう」


 あっさりとカード作りを諦めた宰相さんに、アイオーンが食ってかかる。


「そんなぁ! 諦めるのが早いよヴォルフ!」

「いや、地球神に禁止にされたんだろ?」

「だって、こんな便利でお得で面白そうな魔道具があったら、絶対に欲しいに決まっているじゃん!」

「……むしろ、それが原因じゃね?」


 結局、アイオーンがどんなに地球神に願っても、カード作りを禁止されてしまった。


 禁止された原因は、カード作りの際に書く申請書を、アイオーン達が日本語で書けない事と、その申請書が巡り巡って、こっちの世界の人にアイオーン達が異世界からの来訪者だと、バレないためだそうだ。


 そう地球神に言われたのだと愚痴っていたアイオーンであったが、それを後日聞いた王様、宰相様、教皇様、アイリーン、リカルド、ザック達全員に「そこまで禁止にされているのだから、いい加減諦めろ」と言われてしまったアイオーンは、泣く泣くエイトカードの入手を諦めた。


「はぁ、珍しい魔術具だと思ったのに」

「いや、残念ながらこれは魔術具では無いぞ?」

「……えぇっ?!」


今回の小話


神の力関係では、地球神>>>超えられない壁>アイオーン達


ア「そうだ!スライムにポイントカードの機能を……ぐはぁっ!?」

蒼(アイオーンのやつ。大丈夫か?)

ア「うぅ、ぐす。またダメって言われた」

蒼「どんまい」

ア「地球神のケチ。ブス。アホ……あだだだだだ!!」

蒼「……お前、馬鹿だろう」



今回の話のようなネタ募集中。

ただし、他社は分からないです。

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