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第50話 ドキドキ!?ロシアンルーレット

ブックマーク、感想、評価ありがとうございます。


 皆の注目を集めているお菓子は、グレープ味のチューインガムで袋の中に3つ入っている。

 その3つのうちの1つがハズレで、ものすっごく酸っぱいのが特徴のお菓子だ。


 これ1つで30円程のお値段となり、少し前のリカルドであれば1日のお小遣いが50円ほどだったので、中々に高い買い物となるのだが、今は宰相さんの所でお手伝いをしているので、500円のお小遣いを貰っている。

 それ故に、リカルドは躊躇いなくチューインガムを買って、人と分ける事を選んだのである。

 ただし、その分ける相手がアイオーンとヘルメス様の神々とは、リカルドったら怖いもの知らずだ。


「これは……」


 ここに初めて来たヘルメス様は興味深そうに、リカルドが出したチューインガムをコロコロ転がして見ている。


「ふむ。ここに来た時から思っていたが、やはりここは中々に興味深い。初めて見る物ばかりだ」

「だよね、だよね! しかも、毎週何かしらの新しいのが出てくるから、追いつくのに苦労するんだよ!」


 店内を眩しそうに見渡しながら言うヘルメス様に対して、アイオーンは身を乗り出して身振り手振りで、ここがいかに楽しい場所かを話している。


「アイオーン様もヘルメス様も、一緒に食べよう?」


 初めての事に興味津々な神々に対して、リカルドは躊躇いも無く、笑顔でロシアンルーレットのお誘いをする。


「もちろん僕は良いよ! ヘルメスはどうする?」

「私も子の誘いに異論は無い。しかし、これはどうやって食べるのだ? このツルツルした物は何だ?」


 2人の神は躊躇いも無くロシアンルーレットに参加するようで、チューインガムを手に持ち興味深そうにじっと見つめながら、ヘルメス様は誰にともなく訪ねたが、答える人は居ない。

 商品も、それを包んでいる袋も、名称は翻訳機能で分かるのだが、そこまで詳しくは知らないので、素材について追求されでもしたら答えられないからだ。

 俺だって、商品と梱包素材の原材料と作り方を説明せよとか言われても、答えられないが、アイオーンはヘルメス様から商品を取ると、袋に書いてある説明書きを読み上げた。


「えっと、それは風船ガムの一種みたいだね。袋の方はこっちの世界の素材で、プラ系って言う素材で出来ているみたい。あぁ、地球神の所でザッと知識を見てきたら?」


 ポンっと手を打って、アイオーンがヘルメス様に提案をすると、「……そうだな」と言ったっきりヘルメス様は目を閉じて動きを止めた。


「おい、アイオーン。ヘルメス様、動かなくなったけど大丈夫なのか?」


 ヘルメス様が目を閉じ動きを止めてから5分ほどが経った。

 その間に、アイオーンが席を1つ移動して、リカルドをヘルメス様とアイオーンの間に座らせている。


「大丈夫だよ。もう少ししたらこっちに戻ってくると思うから、リカルドはもう少し待っていてね」


 前半は俺に、後半はリカルドに顔を向けながら言ったアイオーンは、隣に座るリカルドと一緒に、どれを選ぶか楽しそうに談笑を始める。

 すでにチューインガムは開封済みであり、ゴミはリカルドのスライムが美味しくいただいており、更にガムの受け皿をしているプラスチックも、ジリジリと誰が食べるか狙っている様で、スライム達も変な遊びをしている様だ。


「うん! どれを選ぼうかなー」

「僕はどっちに転んでも良いんだけれど、やっぱり最初は普通のを食べてみたいなぁー!」


 リカルドの為に席を移動したのはザックで、やっと目上の方々との同席を回避出来たと喜んでいる。

 そんなザックは、色々な悩みから解放されたせいか途端にお腹が空いたみたいで、モリモリと弁当を食べている。


「むふぅー! このハンバーグ弁当ってやつ最高っすね! 量も多いし味も美味いっす!」


 フォークを使い、パクパクと美味しそうにハンバーグを食べるザックを見て、教皇様とアイリーンはそれぞれ顔色を変えた。


「うぅむ。目の前で美味そうに食われていると、儂も腹が減ってきたわ! どれ、リカルド達の勝負を肴に、適当に飲むか」


 教皇様は目の前で美味そうに食べられているとお腹が空くタイプの様で、お腹を摩りながら惣菜コーナーのおつまみがある場所へ向かうと、じゃがいもとソーセージの炒め物と、アルコール度数が9%の、レモン味のお酒を買って、舌鼓を打ち始めた。


「うっぷ。そんな量、よく食べれるわね。ちょっと今は見ているのも辛いかも」


 もともとそこまで食べる方ではないアイリーンは、体調面の都合で食欲が激減しているせいか、ザックがモリモリ食べているのを見るだけで、お腹がいっぱいになる様だ。


 王様と宰相さんも、それぞれの買い物をしてテーブルに広げており、ヘルメス様が戻ってくるのを待っている状態だ。


「今戻った」


 そして、アイオーンに聞いてからそれほど時間もかからずにヘルメス様が戻って来た。


「どうだった? こっちの世界の発展の仕方って面白いよね?」

「…………」


 戻って来たヘルメス様に一番に声を掛けたアイオーンだったが、ヘルメス様はとても残念な子を見る眼差しでアイオーンを見ている。


「へっ? どしたの?」

「……確かに、我々では想像もしなかった事象や物が沢山あったが、ここの知識を閲覧している時、ここの神からちくちくちくちく小言を言われたぞ」


 頭を傾げながら聞くアイオーンに、ヘルメス様はため息をこぼし、苦々しい顔で地球神との間にあった事を話したが、アイオーンは食い気味に「ドンマイ!」と言うと、ヘルメス様の前にチューインガムを出した。


「ほら、そんなことよりもこっちが大事だよ! 僕とリカルドはずっと待っていたんだからね!」


 地球神の小言などさして問題では無いと言うばかりか、今一番重要なのはロシアンゲームだとばかりに、ヘルメス様に早く選べと迫る。


「そうか。それは済まなかった。ならば、私は余ったもので大丈夫だ」

「えーーー。あとで文句言わないでよぉ〜」

「お前では無いのだから、言うわけないだろう。さぁ、リカルドよ。君が買った物だ。君が先に選びなさい」

「はい、ヘルメス様。僕はこの真ん中です!」


 チューインガムを買ったリカルドが最初に選んで真ん中のやつを取り、その次にアイオーンが左のを取った後に、残った右のチューインガムをヘルメス様が手に取った。


 あっ、ゴミは僅差の差で、リカルドのスライムが取りました。

 今も取ったどーとばかりに掲げています。


「はーい。皆さん選びましたかー? では、せーの!」

『パクッ!』


 そして俺の掛け声と共に、3人は口の中にチューインガムを入れると、もぐもぐと咀嚼し始めた。


「んんっー! お兄ちゃん。これぶどう味だ! 僕ぶどう大好きなんだよ!」


 両手で口を覆いながら、嬉しそうにモグモグしているリカルドは、ぶどう味のガムを夢中で噛んでいる。

 見たところ、リカルドがハズレを引いたわけではないらしい。


「ムグムグ。むむ! 何か形容しがたい食感だね。何をどうしてこんなのを作ったのか、本当に不思議だよ! ええぇー! 面白ーい!」

「いや、口に物を入れている時に喋るなよ。せめてリカルドの様にしろよ。そっちじゃあどうだか知らないが、こっちだと行儀の悪い行為だぞ」


 本当は食べている時は喋らないのがマナーだが、一応リカルドは両手で口を覆い、中が見えない様にする配慮があったが、アイオーンは興奮のあまりオープンの状態だったので苦言を申せば、王様から待ったがかかった。


「蒼。誤解するでないぞ。儂らの世界でも、食べながら口を覆わずに話すのはマナー違反である」

「まぁ、食べている最中の会話自体がマナー違反ですが」

「……やっぱり。にしても、アイオーンも外れを引いた感じじゃあ無いんだよなぁ。と言うことは、ヘルメス様?」


 アイオーンも、ガムの独特の食感に興奮しているが、見た感じだとハズレの酸っぱいのを食べている様には見えないので、消去法でヘルメス様の方を見れば、口の中のガムの味を確かめる様に、モグモグとガムを食べ続けている。

 その顔にこれといった変化は無く、酸っぱいとかを感じている様には見えない。


「あれ? 誰がハズレを引いたんだ?」

今回の小話

地球神の部屋にて

ヘ「すまぬが、ここの知識を閲覧したいと思……」

へ(むっ、アイオディウスヴァーンのせいでと小言のとばっちりが)


へ「ほう。ここは魔力が無い代わりにこの様な発展の仕方をしているのか。面白い」

(面白いのだが、後ろでずっと小言を言われていると……)

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