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第33話 食後のデザート〜プリン編その3〜

ブックマーク、感想、評価ありがとうございます。

「んんっ! これはっ」


 プリンを1口、口の中に入れてモゴモゴと動かしながら味を堪能したアイオーンは、その後パクパクとプリンを食べ続ける。


「あっあう。アイオーン様……プリンのお味はどうですか? 美味しいのですか?」


 ひたすら無言で食べ続けているアイオーンに焦れたリカルドが、おずおずと味の感想を求めると、アイオーンはハッと我に返り、半分ほど減っているプリンを眺めながら味の感想を話し始めた。


「ごめん。夢中になって食べていたよ。

 それで、このプリンの味の感想だけれど、特徴的なのは今まで味わったことのない、このぷるぷるとした食感となめらかさだね。歯を入れなくても、口の中で溶ろけて無くなってしまうほどに柔らかいんだ。

 それで最初に口に含んだ時は、卵の風味と砂糖の甘さが広がって、それに負けない乳製品のコクが加わっている。うぅん。美味しい!」

「わぁ! 僕も食べる!」


 感想の締めにもう1口プリンを食べたアイオーンは、目を閉じてうっとりとした顔でプリンを味わう。

 そんなアイオーンの姿を見たリカルドは、もう我慢出来ないとプリンにスプーンを入れたが、プリンのぷるぷるとした弾力に初めて遭遇した様で、落とさない様に慎重に、慎重に口まで運んで食べると、リカルドもアイオーンの様に頬に手を当てて、目を閉じてプリンを堪能する。

 それを見た宰相さんとアイリーンも続いて、しばらくの間、無言でプリンを食べる4人であった。


「ほぉ。スプーンで掬う時はそれなりに弾力があると思いましたが、口に入れてしまうとアイオーン様が言う通りに、溶けて無くなってしまいますね」

「ハァ……。なんて甘くて美味しいのかしら。ふふっ、私だけがこんなに美味しい物を食べていると知られたら、お店の皆からの催促が来てしまいそうだわ。お土産として皆の分も買って行こうかしら?」

「んんん〜! プリンって美味しいね〜」

「だねー。あっという間に無くなっ……って、リカルド。口の周りプリンだらけだよ!」

「あわわっ! アイン、アイン!」


 手の平サイズのプリンだったので、あっという間に全員が食べ終わってしまうが、味に文句や不満は無いようで、4人は満足そうな表情をしている。


 その証拠に、リカルドは口の周りをプリンだらけにしているので、アインが口に張り付き掃除をしている。

 掃除といっても、口周りに張り付いているプリンを溶かして吸収しているだけだが、ゴミも出さないで綺麗にできるので、本当に8-10スライムは万能である。


 ちなみに、この掃除方法をやっているのはリカルドのみで、王様や宰相さんは、掃除されている最中の姿が貴族として恥ずかしいらしい。なので、手や口周りが汚れた場合は、ウエットティッシュなどで綺麗にしている。


「うぅん。お金に余裕はあるのですが」


 そんな中、甘いもの限定で大食らいの宰相さんは、さっきのプリンでは物足りないみたいで、追加でプリンを買おうかどうかを迷っているみたいだ。


「蒼。プリンはどれくらい食べたらお腹を冷やすと思いますか?」


 財布と睨めっこをした宰相さんは、真剣な顔で俺に問いかける。

 俺の回答を真剣に待っている宰相さんは、王様の二の舞にはなりたくないという思いが、ひしひしと感じる。


「いや、正直言ってそういうのは個人差があるから、何個って答えられないぞ。ただ、暖かい飲み物と一緒に食べれば大丈夫なんじゃないかな?」

「ふむ」

「様子を見ながら食べればいいと思うぞ?」

「そうですか。では、一通り買いますね」


 さすが宰相さん。

 迷いもせずに買い物カゴを装備すると、プリンを買い占めに向かった。

 それをポカンとした顔で見ているアイリーンを見て、思い出した。


「そうだ。アイリーン」

「何かしら?」


 さっき、お土産で買って行こうと話していたからな。

 ここは親切心で忠告をしておいてあげよう。


「宰相さんは甘いもの限定で大食らいだから、早く買いに行かないとほとんど買い占められちまうぞ?」

「そういえばそうだったわ! 早く行かないと大変な事になるじゃない! 宰相様〜私も買いますぅー!」


 貴族である宰相さんが、自ら買い物カゴを手に買い物をするという光景を唖然と見ていたアイリーンに、宰相さんの胃袋は甘いもの限定で無限大なので、プリンを買い占められると教えると、慌てて席を立ち宰相さんの元へと駆け寄って行った。


「確かに。さっき見た限りだと、蒼が忠告しなければ、殆どのプリンをヴォルフが買い占めちゃいそうだね」

「まぁ、入荷してくる量が、スナック菓子に比べると少ないからな」

「へー。そうなんだ」


 ここにある和菓子や通常のスナック菓子などは、1回の納品の際に10個近く来るのだが、プリン系のスイーツ類は5個くらいしか来ないので、いつものペースで宰相さんが買ってしまうと、店内のプリンのほとんどを買い占められてしまうのだ。

 その代わり、お菓子は隔日なのに対してスイーツ類は毎日納品が来るので、今日宰相さんが買い占めてしまってもこの後納品されるので、俺としては何も無い状態の方が品出しがしやすいから、どんどん買っていってほしいです。


「でも、お土産かぁ。うぅむ。悩むなぁ」

「何がだい? 蒼」


 俺がアイリーンが言った言葉を聞いて、ある事について悩んでいると、目敏いアイオーンから声を掛けられた。


「いやさ、さっきアイリーンがお土産で買って行こうって話をしたじゃん? それで、ふと転売とかになったらどうしようかなぁーって思ったわけよ」


 少し前からコンサートのチケットだとか、限定商品や新発売のゲーム機を転売する人が増えて、そのことをニュースでやっていたりしていたので、ふとその事が頭によぎったのだ。

 その事をアイオーンに話すと、アイオーンも普段は見ない難しそうな顔で応じる。


「まぁ、目敏い商人がここに来たら、ここにある商品は全て、物珍しさから買い占めて転売しようと考えるだろうね。

 商人が買うのをためらうような値段の高い物なんて特に無いし、やろうと思えばここにある商品の全てを買い占める事は可能だね」

「だよなぁ」


 この中で商人に関連のある人と言えばリカルドくらいなのだが、そのリカルドは今のところ親や兄弟にもここの事を話していないらしい。

 理由としては、ここの事を話しても、親や兄弟にバカにされて終わりになるだろうと予想しているからだ。

 それ以上に、俺の迷惑になりたくないんだと話すリカルドは、本当に可愛いかった。

 親戚のお子ちゃま達に、リカルドの爪の垢でも煎じて飲ませたいくらいだ。


「でもさ、そういうのはさ、そういうのが来たら対処すればいいと思うよ? 後々のことを考えると、今雁字搦めに決めて問題が起こっても面倒だしさ。

 それに、ここには僕やコンラートにヴォルフも居るし、君には客を出禁にするという能力があるじゃないか!」

「それもそうだなぁ。じゃあ転売目的で、ここの商品を手当たり次第に大量購入する奴が来たら対処するか。その時はアイオーンも頼むぞ」

「オッケー! 任せろい!」


 アイオーンの言う通りに、度が過ぎる相手が来た場合には、俺の権限で出禁にする事が出来るので、今の段階で転売相手にあれこれ規制を決めなくても、万が一の時には俺が見極めて出禁に持ち込めばいいのだ。


「蒼〜〜! お会計いいかしら?」


 そんな感じに話しが纏まると、アイリーンからの催促でレジに向かい会計をすませると、「今日は私にとって運命の日になったわ。またここに来るわね。蒼」と言って帰っていった。


「では、私もそろそろ帰りますね。お仕事、頑張って下さい」

「はい。宰相さんもお疲れ様です」


 店内にあるプリンを全種類3個ずつ買って、いつもの様に宰相さんの周りに花が飛んでいる状態で帰っていった。

 甘い物を買った後はいつも宰相さんはご機嫌で帰っていくので、それを見つけた王様がネチネチと絡んできて面倒くさいらしい。

 だから、「早く王の出禁が解放してほしい」と言っていたけど、そう言えばあと2日で王様の出禁も終わりだっけ。


「1週間って過ぎるの早いなぁ」



今回の小話


ア「そうですねぇ。さっき食べたこれを頂いてもいいですか? 値段と量的に1番良いんですの」

宰「分かりました。では、私はまだ食べていないプリンを制覇しましょう」

ア「まぁ! でしたら、後ほど味の感想を頂いてもよろしいですか?」

宰「ええ。勿論ですとも」


その後レジにて


蒼(うぅーん。宰相さんのカゴの持ち方が、だんだんとおかんっぽく見えてきた今日この頃)


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