第32話 食後のデザート〜プリン編その2〜
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6月も後半に差し掛かり、直射日光に当たるとじんわりと暖かいを通り越して暑くなってきた、今日この頃。
異世界の四季や気温の変化は分からないが、そろそろ向こうも暑くなってくるころだろうと思い、今まではあまりオススメしていなかった、冷たいデザートの解禁を言い渡した。
「ほら、そろそろそっちも気温が高くなってくる頃だろ? だから、今回は冷たいデザート御三家の中で、俺が1番好きなプリンを皆にオススメする!」
俺の宣言に、他の皆が「御三家?」「ぷりん?」と頭にはてなマークを出している。
まぁ、御三家とかプリンとか言われても分からんよな。
そんな中、アイオーンだけは「やったー!冷たいデザートだぁー!」と両手を上げて喜んでいる。
「あ〜と、御三家って言うのは、プリン、ヨーグルト、ゼリーのことで、俺が勝手に纏めてそう呼んでいるってだけだから、宰相さん達もそう呼ばないといけないわけじゃないから、好きなように言って」
「分かりました。それで、その3つはどんな物なのですか?」
早速甘いもの好き代表の宰相さんが、身を乗り出して話に乗っかってきた。
「取り敢えず売り場で説明するよ。こう、説明するよりも見たほうが断然早いから」
「なら、早く行こう行こう!」
「わわっ! アイオーン様引っ張らないで〜〜!」
店の中を勝手知ったるアイオーンは、リカルドの手を取ると俺達を置き去りにしてデザート売り場に走って行くので、俺達もその後を歩いて付いて行く。
「冷たい物って、ここでは今まで禁止になっていたのですか?」
移動の最中に、コンビニ初心者のアイリーンが宰相さんに尋ねる。
どうやらアイリーンが食べていた短時間で、話しかけるくらいには仲良くなっているようだ。
それか、高級娼婦であるアイリーンの対人スキルが、ものっ凄く高かったのだろうか?
「えぇ。蒼曰く、冷たい物は慣れていないと腹を壊すそうで、今まで食べてはいませんでしたね。
ただ、ここの飲み物のほとんどは冷たい物ですから、それで少しずつ慣らしていた感じですよ」
宰相さんの言葉に、俺はとある出来事を思い出して吹き出した。これは是非とも話の種としてアイリーンに話し、共有しなくてはならないネタだ。
「ぷふっ。そう言えば、俺がちゃんと注意をしたのに、王様はビールの飲み過ぎで腹壊したっけ」
「まぁ! そんな事があったの?」
「あったの」
確かあの時は、珍しく王様がイライラしていて、金に物を言わせてビールやらツマミやらを大量に購入して、大量に消費した日だった。
かなり早いピッチでゴックゴックとビームを飲んで、5本目辺りで王様のお腹がもうムリです。限界です。と腹痛を訴えた。
宰相さんもその時の事を思い出した様で、少し遠くに目をやりながら当時の事を愚痴る。
「あぁー。そんなこともありましたねぇ。しばらくトイレに篭って出てこなかったので、午後の執務をどうしようかと、あの時は本当に悩みましたよ」
結局、その後1時間近くトイレと友達になった王様は、げっそりとした顔でお家に帰った。
宰相さんはそんな王様を、心配と呆れの半々の顔で付き添って帰ったが、自業自得だからと少し休憩をした後に、ちゃんとその後の仕事をやらせたらしい。
移動中にそんな会話をしていると、直ぐにプリンなどが陳列している場所に着いた。
「ほら、ここからここまでがプリンだ。それでここからここまでがヨーグルトで、反対側にあるここら辺が全部ゼリー。この2つの黒いのはプリンと同じ場所にあるけれど、これはコーヒーゼリーって言って、ゼリーの仲間だ」
最初にプリンがどんな見た目なのかを教え、ヨーグルトとゼリーもついでに教える。
「プリンは卵、牛乳、砂糖が主な原料だから、そっちでも作れるんじゃないかと思ってオススメしたんだ。こっちのヨーグルトは、簡単に言えば牛乳を発酵させたもので、ゼリーはゼラチンって言う材料を入れると、液体がスライムみたいにぷるぷるになる」
プリンとゼリーは透明な器に入っているのが多いので見た目が分かりやすいが、ヨーグルトのパッケージだけだと中身が分からないので、それぞれの特徴も説明しておいた。
「それにしても、これはどう言う仕組みなのか。ここから先は冷気で覆われているが、なぜ蓋や遮る物が無いのにも関わらず、冷気は逃げないのか。全くの謎です」
俺の説明を聞いて実際に品物を取ろうとした宰相さんは、冷蔵の陳列棚が珍しいようで、手を出したり引いたりしている。
「ずっと冷気を当てているからじゃないのか? 俺も詳しい事は分かんないけど……」
俺にとっては当たり前の光景だからなんとも思わなかったが、宰相さんとアイリーンは冷気で覆われているこの空間に興味深々の様だ。
「ハァ……。蒼の言い方からして、ここでは当たり前の事みたいね。ねぇ、蒼は知っているかしら? 向こうでの冷たい物って高価なのよ。冬でも無い限り冷たい物を作ろうと思えば、魔術師を呼ぶか、魔術具で氷や冷気を作り出さなければならないの」
「そうですね。魔術師や魔術具を使う氷菓はどうしても高価になりますから、普段はここまで冷たい物を食べたりは出来ませんよ」
なんでも、魔術師だろうと魔術具だろうと、一定時間ずっと冷やし続けるのは難しいらしく、どちらも数時間も経てば効果が無くなるらしい。
それにお金の問題が出てくるので、ずっと冷やし続ける訳にもいかない様だ。
「それで、蒼はどのプリンをオススメするんだい? 僕は早く食べたいのだけれど!」
「まぁ、待てって。取り敢えず今回は、この4個入りのプリンで味見をすれば良いと思うんだ」
そう言って、アイオーンに4個入りのプリンを手渡すと、他の3人も特に異論は無いようで、早速レジでお会計だ。
「わーい、新しい食べ物だぁ! ヴォルフ。これが美味しかったら、向こうでも作ってみる様に言ってみてよ」
「そうですね。砂糖はやや高い物資ですが、それ以外が安価な物なので、平民でも受け入れられると思います。検討はしてみましょう」
「なら、あとでプリンの作り方を教えるよ」
今回は直ぐに食べるので手提げ袋には入れずに、そのままアイリーンがイートインコーナーに持って行く。
デザート用の透明なスプーンは、お手伝いをしたいと言ったリカルドが持って行った。
ちなみに今回このプリンを選んだ理由は、4個入りで約200円なので、1人50円前後でプリンが食べられるので選んだ。
他のプリンでももちろん良かったのだが、金持ちであるアイオーンや宰相さん達とは違い、子供であるリカルドはあまりお金を持っていない上に、今日も色々と買っていたので、あまり現金が無かったはずなのだ。
それに、今日初参加のアイリーンは化粧品に散財していたので、今使える現金はあまり無かったはずなのだ。
なので今回は全員が50円を出して、アイオーンが差額を支払っている。
あとは、このプリンはプッチンや焼きプリンなどに比べると一回り小さいので、味見にもうってつけではないかと思ったのだ。
「それじゃあ、早速蒼のオススメとやらを頂こうじゃないか! おおっ! ぷるぷるにしている」
席に着き、全員にプリンとスプーンが行き渡ると、ちょっとだけお金を多く払ったアイオーンが一番乗りで食べる権利を得て、他の3人が見つめる中、スプーンでプリンを掬ってぷるぷると揺すった。
「アイオーン様。早く早く!」
それを見たリカルドは、我慢出来ないと言った感じで早く早くと、アイオーンにせっつく。
「では、あーん。んんっ! これはっ!」
プリンを一口食べたアイオーンの目が、大きく見開かれた。
今回の小話
アイリーンもテーブルで食事をしている際の出来事。
宰「むぐむぐ」
どら焼き2つ、栗入りどら焼き2つ、和菓子詰め合わせ2袋目←イマココ
ア(えっ? 嘘でしょう? これでもう6個目よ。いくら1つずつが小さいといっても……。えっえぇ〜〜)
宰「どうですか? ここの食べ物は美味しいでしょう? 私もついつい食べてしまいます」
ア「おほほ。そうですねぇ」
(絶対にその量は食べ過ぎよ!)
次回予告
「食後のデザート〜プリン編その3〜」




