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第0話 プロローグ

ごめんなさい。

突発的に書いただけなので、書き溜めないです。

『テロテロン。テロテロン』


「いらっしゃいませぇー」


 来客を知らせるベルの音に、俺はいつもの通りに声掛けをする。


 声掛けは二種類で、「いらっしゃいませ」と「ありがとうございます」。だが今は客が来るばかりで帰っていかないので、必然的に「いらっしゃいませ」しか言っていない。


 ここは、周りのほとんどが畑で占められているが、近くに高速道路があるとある田舎のコンビニであり、現在の時刻は午前2時10分ごろ。

 本来ならば、客なんか滅多に来ないこの時間帯のはずなのに、店内にはお客様で賑わっていた。


「お兄ちゃん。この青いガムと酸っぱいのと、美味棒3つって、このお金で買える?」


「おう。大丈夫だぜ」


 小学生にも満たない年齢の、最近頻繁に来るようになった坊主は、精一杯背伸びをして百円玉と一緒に両手で持っていたお菓子を、ぽろっとカウンターに菓子を落として行く。


「それにしても、よく来るな。お前」


「うん! あそこのお爺ちゃんのお手伝いでお金貰っているから!」


 坊主が「あそこのお爺ちゃん」と指差しているのは、真っ白い修道着を着たジジイであり、今はこいつらの国の王様と赤ワインを嗜んでいる最中である。


「あのジジイども……。おい、ジジイ共! 昼過ぎから酒か、羨ましいぞ!」


 コンビニに併設されているイートインコーナーで、呑気に持参したワイングラスに数百円のワインを注ぎ、さらにおつまみで百〜二百円で買えるチーズ系のおつまみを二〜三種類買っては、毎回嗜んでいるのだ。


「カッカッカ! 何じゃ小僧。こちとら自分の仕事は済んでおるわい! まぁ、こっちのお偉い様は分からんがのぉ」


「フォッフォッフォッ」


「いや、お前ぇはダメだろ」


 王様は笑うだけ笑って誤魔化しにかかるが、その内気付いた宰相がぶっ飛んで来そうだ。


 その後も客は続々とレジに来て、店に有るウィスキーを根こそぎ買って行くドワーフや、豆腐や納豆などの植物性の食べ物を吟味して買って行くエルフのねぇちゃん。


 毎回傷だらけでやって来ては絆創膏や包帯を買いに来る冒険者に、色っぽい娼婦が仲間の分もと数種類のゴムを買いに来る。


 他にも農民、騎士、亜人、魔族に王族など、様々な向こうの世界の住人がこの店にやって来る。


 そして、そいつらに共通しているのは、誰も彼もが、8-10と数字の書かれたスライムを持っている事だ。


 このスライムが、この店と向こうの世界を行き来するために必要な鍵であり、向こうとの金関係の変換機の役割も担っている上に、さらにこの店の掃除もこなしてくれる凄いやつなのである。


 俺もニ匹持っていて、今はレジの上でふるふると震えている。俺がつついているからだ。


なぜこいつらが必要かと言えば、ある奴と決めたルールがあるからだ。


ルール1

このスライムを持っている奴だけがこのコンビニに来れる。

スライムは持ち主に名前を付けて貰う事で、その人のみを主人と決める。

主人以外がこのスライムを持っていても、こちらの世界に来ることは出来ない。

また、主人を害そうとする輩には強敵になるように設定されている……らしい。


ルール2

このコンビニに来れる時間は、俺が働いている間のみ。故に22時から6時の間に限定されるのだが、向こうの世界だと時間にズレがあるらしく、向こうの世界では10時から夕方の18時になるらしい。


ルール3

持ち帰った商品のゴミは、必ずスライムに食べさせて残さないこと。これを破るとスライムが消えて無くなり、二度とこちらに来れなくなる。


ルール4

面倒、又は迷惑な客は、俺の権限で出禁にする事が可能。


今のところはこのルールだが、必要に駆られたら随時増えていく予定ではある。


レジ内でのんびりとしているうちに、駐車場に見慣れた車がやって来た。


「おっと、来やがった。おい、おめぇら。パンが来るから邪魔すんなよ!」


 駐車場に店の車が来たので、俺は一旦バックヤードに戻り、検品する機器を手に持って来ると、菓子パン、調理パンが置いてある場所に向かいつつ、店内の客に声を掛ける。


「わっーとるわい! カァーー、この喉が焼ける感じ! 美味い!」


「あらぁ、もうそんな時間? じゃあ、もう少しお店の中を見ていようかしらぁ」


教皇(きょーこー)様! この袋開けてください」


「どれどれ」


 取り敢えずは、品出しに集中出来そうだなと、そう思った直後に配達のおっちゃんが来た。


『テロテロン。テロテロン』


「おはようございまーす」


「ウッス。おはようございます」


 軽く挨拶を済ませると、おっちゃんは決まっている位置にガタンと10段程積み重なっている番重を置き終わると、すぐに帰って行く。


「お疲れ様でしたー」


「ウィース。お疲れ様でーす。さて、やるか」


 それぞれが、俺がパンの品出しが終わるまで待ってくれるようなので、さっさと終わらそうとすると、奴が現れた。


『テロテロン。テロテロン』


「やぁ! 僕が遊びに来たよーー! 今日は火曜日だから、新商品の日だよねぇーー!」


「うわっ、うぜぇ奴が来た」


「あっー! 蒼ってばヒドイなぁ。神様である僕を、もう少し……いや、かなり敬った方が良いと思うんだよ」


 俺の目の前に来て胸を張るガキンチョ、および向こうの世界の自称神。


 そう、こいつが原因で異世界から人が来るようになった、最大の原因でもある。


「あっ、このパン。ピンクで可愛いなぁ」


「おい、まだ検品してねぇんだから触んな」


 検品していないパンを手に取った神の手から商品を奪い返すと、次々に検品をする俺に対して、こいつは頬をプクーと膨らます。


「ブーー! けちーー!」


「うっせぇ。大人しくしろアイオーン」


「もう、僕は神様なのにー!」


 そう、こいつとの出会いが俺の人生をこんなにも変えやかった、張本人様である。


「品出しまだなの?」


「まだだよ! ってか、始めたばっかだろうが!」


次回予告


「お客様は神だ」のマジもんがやって来た。

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