表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/102

4話

 








「すげぇ。本物の城壁だ」


 そんなことを言いながら門へつながる列へ並ぶ。

 並んでる間に周りの人を観察してみると、人族が圧倒的に多いが、獣人や日本にいた頃の知識から判断すると、所謂エルフ、ドワーフといったような種族も見かける。

 獣人は多いが首に黒色の首輪をしている者や、肩のあたりに紋章のようなものがあるものを見かける。あまり綺麗な服を着ていないあたり、奴隷というやつだろうか?


 そんなことを考えながら、列は進みもうすぐ自分の番というところで気がついた。


「やばい、隠蔽していない」


 前の人を観察していると何かを確認するような作業をしているのでステータスが確認される恐れもある。急ぎステータスの隠蔽を施す。


 名前:タロー

 性別:男

 年齢:15

 種族:人族

 職業:見習い商人

 レベル:18

 HP:1300(25000)

 MP:500(25000)

 STR:400(8000)

 VIT:550(8000)

 DEX:500(8000)

 AGI:500(8000)

 INT:700(8000)

 スキル

 体術Lv1(Lv10)

 剣術Lv1(Lv10)

 火魔法Lv1(Lv10)

(水魔法Lv10)

(風魔法Lv10)

(土魔法Lv10)

(雷魔法Lv10)

(光魔法Lv10)

(闇魔法Lv10)

 治癒魔法Lv1(Lv10)

(空間魔法Lv10)

(時空魔法Lv10)

 生活魔法Lv5(Lv10)

(無詠唱Lv10)

(索敵Lv10)

(鍛治Lv10)

(錬金術Lv10)

(薬師Lv10)

(全耐性Lv10)

 鑑定Lv2(Lv10)

(隠蔽Lv10)

(スキルオペレーターLv10)

(棍術Lv3)

(突撃Lv3)

(吸収Lv2)

(分裂Lv2)


 加護

(全能神の加護)


「これでよし!」


 ゴブリンやグレイウルフたちたの戦闘で知らないうちにレベルが上がってたようである。ゴブリンの棍術の他にもグレイウルフの突撃、スライムの吸収と分裂のスキルが手に入ったが、正直いらないというか、使えない気がする。まぁ、そのあたりはあとで検証だ。


 隠蔽が終わった頃にちょうど自分の番がやってきた。


「身分証を見せてくれ」


 門にいる門兵がそう口にした。


 身分証ないぞ……どうする。


「あー、えっと……実は身分証無くしてしまって……。そもそも田舎の村から出てきて身分証と言えるようなものもなく……」


「そうなのか? いや、まあ、ないなら仮の身分証を作るから大丈夫だぞ。成人で仕事探して来たってところか。だが、田舎から出てきた割には荷物が少ないが、それだけしかないのかい?」


 乗り切ったと思ったら疑われた。そりゃほぼ手ぶらで、荷物は巾着と剣だけだもんな。あやしいよなあ。


「いや、実はですね、ここへ向かう途中ちょっとした出来心で街道をそれて森の中を歩いてみたんです。えぇ、ほんの出来心ですよ? お上りさんの力試しと言いますか……調子に乗ってたんでしょうね。それで、森の中で少し休んでるときにグレイウルフ3匹くらいに囲まれてしまったもんですから荷物すべて置いて逃げて来てしまったんです。必死に。それはもう必死に。とにかく走ることしかできませんでした。ゴブリンの1匹や2匹なんてなんとかなると思ってましたし、グレイウルフも1匹なら戦えると思ってましたからね。かなりの自惚れです。自業自得ってやつですよ。ハハハ」


 これでどうだ!!!


「そうか。大変だったんだな……。あまり森に近寄るなよ? ゴブリンでもグレイウルフでも群れで囲まれれば冒険者でも苦労するんだから。荷物全部置いて来たってことは金も持ってないのか?」


「………はい」


「まあ、仕方ないな。一応この水晶に触れてくれ。簡単なステータスと犯罪歴などを見る」


 言われた通り水晶に触れる。

 少し光っただけで、とくになんの変化もなかったが、門兵の方にはなにかしらの情報が提示されているようだ。


「うん、大丈夫だな。では仮身分証を渡す。街への入場税として銀貨1枚かかるから、ちゃんとした身分証作って、仮身分証と銀貨1枚を1週間以内に返しに来てくれ」


「はい、わかりました。ありがとうございます。ちなみに……身分証はどう言った手段で作ればいいんですか?」


「役所に行けば、作ってもらえるぞ。あとは冒険者ギルドや商人ギルドのようなギルドで登録すれば、世界中で使える身分証になる。役所で作るのはこの街でしか使えないからな」


「詳しく教えていただきありがとうございます」


「ようこそ、ボカの街へ」


 そう言って街へ招き入れてくれた兵士さんにお礼を伝え、冒険者ギルドの場所を聞きそこへ向かうことにした。

 言われたとおりに大通りを進むと、大きめな剣を交えた看板を掲げる建物を見つけた。


「これだな」


 目印の看板を見つけ、その建物の中に入ると、受付と書かれた窓口のようなところが半分。その反対の半分はバーカウンターのように飲み屋になっていた。

 まさにファンタジーで出てきそうな見た目で、人目も憚らず感動に浸る。

 見たまま冒険者という筋骨隆々な男や魔術師のような格好をした人。様々な人がいる。

 ちなみに受付に座る女性は皆美人である。みんな美人なのである。これは非常に重要なことなのである。

 とりあえず美人は緊張して話せなくなりそうなので、一番空いてるおばちゃんがいるカウンターに向かった。美人は怖い。


「すみません。あの……冒険者になりたいんですが」


「ん? なんだい坊や。冒険者になりたいのか?ヒョロッとしとるが、大丈夫かねぇ?」


 人の良さそうなおばちゃんは腰に手を当て、仁王立ちの姿であるが、心底心配している顔でそう述べた。


「はい、少しは戦えると思うので大丈夫だと思います。それにお金を貯めないといけないので……」


「そうかい? まあ、登録は自由だし、止めることはできないんだけどねえ」


「大丈夫です、登録お願いします」


「はいはい、わかったよ。だがねえ、このカウンターは買い取りカウンターなんだ。登録はあっちの担当なんだよねえ」


 美人たちの並ぶカウンターを指差しながらおばちゃんは困ったように言った。


 なんだとっ……。


 いきなりミスった。恥ずかしい。


「ははは、そんなに驚かなくてもいいだろう。ここにも書いてあるしねぇ」


 なんと、カウンターの上にも買い取りカウンターと書いてあった。痛恨のミスである。


 それはそうと、この世界の文字……英語のようなギリシャ文字のような見たことのない文字だが、問題なく読めるようだ。この発見があっただけいいとしよう。



「まあ、今は暇だし、私がやってあげてもいいよ、登録」


 そんなことを考えていたら、おばちゃんはそう言ってくれた。


「ありがとうございます! よろしくお願いします」


 かなりの勢いでお辞儀をした。


 はっはっはっと笑いながら了承してくれるおばちゃん。臨機応変な対応……仕事のできる女だ。


「とりあえずこれに名前と使用武器や使用できる魔法なんか書いておくれ」


 差し出された紙に、名前と武器、魔法を書いていく。

 文字が読めたから書けるかなあ、と楽観的に思っていたが、問題なく書けた。書こうと思う字と、書いてる字が違うし、見たことない文字をかけてしまう自分はまさに天才なのではないかと疑う。


 馬鹿である。


 武器は剣、魔法は火と治癒と書いておいた。


「書けました。お願いします」


「はいよ。お、剣も魔法もいけるのかい?それに治癒魔法使えるなんて、あんた優秀だねぇ。将来が楽しみだ」


 手際よく登録手続きをしながらそう言ってくれた。


「ははは、そんなにたいした魔法は使えませんし、器用貧乏です」


 とりあえずそんなことを言っておく。


「はい、この針で指を少し刺してこのカードに一滴血を垂らしておくれ」


「わかりました」


 血を垂らすと、カードに染み込むように消えていき、一瞬パァッと明るく光る。


「はい、これで登録は完了だよ。あとは冒険者ギルドについて説明があるけど聞くかい?」


「はい、お願いします」


 おばちゃんが説明することを、要約すると、冒険者ランクはFから始まり、E、D、C、B、A、Sと上がっていく。

 主な仕事は討伐、採取、護衛などで、たまに学園の講師や貴族の子供などへの家庭教師のような仕事もある。Cランクからは指名依頼があり、なにかしらの問題がない場合以外は断ることはしないで欲しいが、断ることもできるとのこと。

 討伐などは魔物のランク、難易度によって依頼のランクも決まる。依頼の失敗には罰金があるので、自分の力量をよく考えて受けることが大切だが、難易度が明らかに依頼ランクを超えていた場合はその限りではない。依頼は自分のランクの1つ上のランクの依頼まで受けることができる。

 だいたいこんなところだった。

 あとは常識の範囲内の行動をすれば大丈夫とのこと。犯罪や、ギルドに対して明らかに不利益になるようなことをした場合は強制的に除名となる。冒険者同士の争いにギルドは不関与。決闘の見届け人となることはあるが、基本は本人同士での解決してもらうということだ。


「うん、だいたいわかりました。ありがとうございます」


「はい、頑張ってランクアップしなよ! まあ、怪我したり死んだらしたら元も子もないから無茶は厳禁だがね」


 よし、とりあえず登録も出来たし、なんか依頼受けて金稼がないと、今日の宿代もないや。

 あ、そういえばゴブリンの耳とかあるんだった。


「おばちゃん、来るときにゴブリンとか倒してきたんだけど、魔石とか売れるかなあ?」


「おや、あるのかい? あるなら買い取るから出してみな」


 巾着に入っていたゴブリンの右耳7個、グレイウルフの牙5本、魔石14個をカウンターに出した。


「ほぉ、なかなかあるじゃないか。全部自分で、倒したのかい? やるねえ」


 そんなことを言いながら買い取り金額を計算していた。


「ゴブリンは1匹銅貨5枚、グレイウルフは1匹銅貨7枚、魔石はこの大きさならひとつ銅貨8枚だね。合計銀貨1枚大銅貨8枚銅貨2枚、182ダルだよ」


 ほぉ、1銅貨=1ダルなのか。

 そもそもお金の単位があったんだな。

 それで小さい貨幣が10枚分で大きい貨幣1枚分ってころか。

 なんとか少し稼げたけど、さすがにもう少し欲しいね。


「とりあえずなんか依頼を受けてみようと思うんですけど、なんかいいのありますか?」


 おばちゃんにとりあえず受けれそうな依頼について聞いてみた。


「そうだねぇ……ゴブリンもグレイウルフも討伐できるなら外出ても大丈夫だろうし、今日のところは初めての依頼だから常時張り出されている、薬草の採取、魔草の採取、ゴブリン討伐なんかはどうだい?」


 常時張り出されている、とくに依頼を受ける申告のいらない依頼を教えてもらったので、それを受けることにした。


「じゃあ、それやってみます。薬草と魔草ってどんな葉っぱなのか教えてもらえますか?」


 おばちゃんに葉の特徴を聞くと、カウンターの下から本を出して、薬草と魔草の特徴について教えてくれた。


「これとこれだよ。似たような形の葉っぱもあるけど、ここに持ってきてくれればちゃんと見分けつくから少しくらい間違えて持ってきたって大丈夫。心配せずに持ってきな。薬草は1つ銅貨3枚、魔草は銅貨5枚、ゴブリンは1匹銅貨5枚。薬草と魔草は根ごと持ってきて、状態が良ければ上乗せされるから頑張りな。依頼の完了報告はあっちのカウンターだからね? 討伐証明部位をあっちに出して、依頼完了報告と報酬をもらってからこっちで素材と魔石の買い取りをするんだよ」


 よし、とりあえず今日の宿代ゲット目標にして頑張ろ!!


「ありがとうございます。それじゃあ行ってきます」


「はいよー、気をつけてねぇ」


「あ!おばちゃん、名前なんて言うですか?」


「あら、あたしったらまだ自己紹介もしてなかったかね? すまないね、私はハンナだよ!よろしくね、タロー」


「ハンナさんですね、よろしくお願いします。それでは今度こそ行ってきます」


 笑顔で送り出してくれたハンナさんに手を振りながら、ギルドを出て街の外へ向かう。










2018.09.23 編集

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ