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3話

 








気がついて辺りを見回すと、俺は青々とした草の上に寝ていて、周辺は木が生い茂るまさに森と言った感じの場所であった。


「転移してきたんだよな……さっきじいちゃんと会ったのは夢じゃないはずだ」


  ひとまず色々確認することから始めようと思い、言われた通りステータスの確認をしてみる。


「ステータスオープン」


 名前:タロー

 性別:男

 年齢:15

 種族:人族

 職業:見習い商人

 レベル:16

 HP:20000

 MP:20000

 STR:7000

 VIT:7000

 DEX:7000

 AGI:7000

 INT:7000

 スキル

 体術Lv10

 剣術Lv10

 火魔法Lv10

 水魔法Lv10

 風魔法Lv10

 土魔法Lv10

 雷魔法Lv10

 光魔法Lv10

 闇魔法Lv10

 治癒魔法Lv10

 空間魔法Lv10

 時空魔法Lv10

 生活魔法Lv10

 無詠唱Lv10

 索敵Lv10

 鍛治Lv10

 錬金術Lv10

 薬師Lv10

 全耐性Lv10

 鑑定Lv10

 隠蔽Lv10

 スキルオペレーターLv10


 加護

 全能神の加護



  唖然とした。言葉が出ないとはこのことだ。


「これやばくないか? ステータスおかしい。そもそも商人のステータスじゃないだろこれ。やりすぎだよ、じいちゃん」


  どこまでも過保護で、孫に甘い祖父であった。


  簡単には見せられないステータスであるが故に、隠蔽というスキルを付けてくれたのではないかと推察した。


「加護に全能神の加護があるってことは、じいちゃんは全能神ってことなのか。なかなかすごい神様なんじゃないか?」


  神様に地位があるかはわからないが、様々なことに特化した神が存在する中で全能を司る神なのだから、オールラウンダーな神なのだろうと予測する。

  そんな万能な神があのサボリ魔なのだ。神様たちが心配になる。


「あとは……スキルオペレーター? なんだこれ? あ、鑑定ってスキルで調べればわかるか。でもスキルってどう使うんだ?」


  そんなことをぶつぶつ呟きながら、スキル欄を見つめていたら詳細が確認できた。


「うぉ!? 使おうと思うだけで使えるのか。便利便利。それで、スキルオペレーターは……」


【スキルオペレーター】

  人、魔物のスキルを奪ったり与えたりすることができる。また、オーブと呼ばれる宝珠にスキルを記憶させておくことができる。クラーネオにおいて今まで発現が確認されたことはない。


「……」


  これはやばい。非常にやばい。パワーバランスが崩れる。


「よし、とりあえず加護も確認しとこう。」


【全能神の加護】

  レベルアップ時、全ステータス上昇値大幅補正。スキルの使用法などが自然と理解できるようになっていく。


「これ以上ステータス上昇するの? 俺大丈夫なのか?」


  じいちゃんの過保護が止まらない。

  商人の要素が職業にしか見当たらない。

  いくら死なないようにしたと言っても、勇者より強い商人にする必要はあったのだろうか。


  とりあえず自分の身体能力も確認しようと、飛んだり跳ねたり殴ったりしてみた。


「ハハハ……。基準がないからよくわからないけど、とりあえず世界陸上に出たら完全に1人勝ちだ。ちょっと力込めて殴った木も折れちまった。」


  軽く走れば車以上のスピード、飛び上がれば、木よりも高く、軽く殴れば男3人ほどの太さのある木の幹がいとも容易く折れる。予想以上の力を得たようだ。

  力の加減を覚えないと大変なことになるなあと思いながら乾いた笑いが出るのみであった。


「うん、気にしてもしかたない。のんびり、ひっそり、穏やかに暮らすことを目的に頑張ろう」


  能力はあって困ることはないし、隠していればなんとかなると思って、深く考えないことにした。


「とりあえずお金もなにもないし、どうしようか……。街へ出向いてお金を稼ぐしかないか。」


  派手でも貧相でもない至極普通な印象の服を着ている以外、とくに持ち物もない。生活していくためにもまずはお金を稼がなくてはならないと思い、街道へ向かう。

  先程、身体能力の確認のため飛び跳ねたときに、街道の方向は確認済みであった。


「お、あれは……ファンタジーの王道、ゴブリンさんではないか?」


  街道を目指して歩いていると、ゴブリンらしき魔物が2匹進行方向に現れた。

  1匹は小さめの剣のようなものを持っているが、もう1匹は木の棒のようなものを持っている。



 名前:

 性別:オス

 年齢:5

 種族:ゴブリン

 レベル:7

 HP:650

 MP:50

 STR:150

 VIT:150

 DEX:100

 AGI:90

 INT:50

 スキル

 棍術Lv1


  とりあえず鑑定を見てみた。数値的には強くはない。だが、俺が勝手に予想していたゴブリンさんのステータスよりは上であった。そしてなにより、棍術スキルあるのに、剣。拾い物だよな、きっと。


「ぐぎゃぎゃ!」


「ぎぎぎゃぐぁ!」


  2匹のゴブリンは俺を見つけるなり威嚇するように鳴き、醜悪な顔を歪ませながら剣、それに棒を振り回しながら向かって来る。

  どうやら友好的な雰囲気ではない。なにもせずにおとなしく殺されるか、それとも逃げるか。じいちゃんにもらった命を無駄にするわけにはいかないので殺されるという選択肢はない。逃げる……これはいとも簡単に達成できそうだ。だが、先のことを考えると、生活していく上でお金が必要になる。そのお金を稼ぐ方法として魔物の素材を売る、もしくはその魔物を討伐したと証明することによって得られる報酬というものがある。これはじいちゃんに冒険者という職業があるか尋ねた時に聞いた話だ。つまり、このゴブリンは俺の生活の助けになるかもしれない。

  そして、実際そのゴブリンを倒せるかという問題だが、ステータス的にも、先程確かめた身体能力的にも問題ないように思える。なにより、2匹のゴブリンの動きがものすごくスローに見ながら、こうして思考を巡らせることすらできている。精神的にも落ち着き、あの2匹のゴブリンに襲いかかられ、今にも殺される危険性のある現状に恐怖を感じることはない。殺される前に殺す……そう考えても、その思考に対して動揺することも恐怖することも躊躇するようなこともない。


  今後の生活のことを考え、ゴブリンとの戦闘を選択した。

  軽く地面を蹴り、優しく殴る。それだけでゴブリンさん完全に天に召されたようであった。


  殺してしまってからも特に精神が乱れることはなかった。じいちゃんの加護により精神の平静が保てているのか、全耐性スキルによるものなのか、それともこちらに転移する際、この世界に順応しやすいようにじいちゃんがなにかしてくれたのか……そのあたりはわからないが、思ってた以上に忌避感や罪悪感、嫌悪感に苛まれることはなかった。


  地面に倒れ伏すゴブリン2匹を生活費の足しにするため、ゴブリンの素材などでお金になる部位があるか確認しようと、鑑定を使用。


「鑑定で討伐証明部位がわかるのはラッキーだな。切って持って行こう」


  鑑定は、魔物の素材としての利用価値や冒険者ギルドで一般的に討伐したと証明する際に必要な部位を示してくれた。残念ながらゴブリンの体から得られる有用な素材はない。しかし、依頼が出ていれば報酬の貰える魔物ではあるようなので、討伐証明部位を持って行くことにした。


  ゴブリンの持っていた剣を拝借し、ゴブリンの右耳を切る。魔石も取れるようなので取っておく。あとは魔物が群がったりしないように火魔法で遺体を焼却してひと息ついた。


「血が……結構汚れたな。こういうときは生活魔法だな、たぶん」


  生活魔法を使おうと思って考えていたら、自然となにをすればいいかわかる。


「クリーンアップ」


「おぉ、すごい。綺麗になった。しかもなにを使えばいいかわかるのはじいちゃんの加護のおかげだな。ありがたい」


  じいちゃんに感謝しながら、森を進む。

  しばらく歩くとまたしてもゴブリンさんに遭遇した。


「さっきはすっかり忘れてたけど、スキルオペレーター使ってみるか」


  鑑定で前方にいるゴブリンが棍術Lv1を持っていることを確認し、スキルを奪うイメージをしてみる。


「……できたのか?」


  ゴブリンをもう一度鑑定すると、棍術スキルがなくなっていて、自分のステータスを確認すると、棍術Lv1が増えていることが確認できた。


「これ、ほんとやばいな。相手を無力化してから戦えるじゃないか」


  細かい条件などはわからないが、人相手にはあまり多用しない方がいい気がする。色々と細かい条件はこれから確かめていくとして、基本的には魔物にしか使わないようにしよう。

  そんなことを考えながらゴブリンを倒し、討伐証明部位の回収をして歩みを進める。


  結局、街道に出るまでに合計ゴブリン7匹、スライム2匹、グレイウルフ5匹と遭遇し、討伐証明部位と魔石を確保していた。

  ゴブリンの耳はポケットに入れたくないなあと思って大きめの葉っぱに包んで持っていたが、途中で現れたゴブリンが巾着のようなものを持っていたので、それを頂いて使用している。

  巾着も結構汚かったが、巾着にクリーンアップをかけたら綺麗になったのでよかった。生活魔法の便利さが身にしみる。


  ゴブリンから拝借したボロい小さめの剣と、巾着を携えてやっと街道へと出た。


  街道を通る本物の馬車を見て興奮したりヨーロッパ人のような人が多いのか?と想像しながら、通りかかった商人風の馬車のおっちゃんに街の方角を聞き、歩き続けて、やっと城壁のようなものが見えてきた。

  予想はしていたが、人の行き来は徒歩か馬車(馬か魔物に牽かせる)での移動のようだ。話しかけるときになって気がついたが、日本語ではないクラーネオの言葉は問題なく聞き取り喋ることができるようだった。










2018.9.23 編集

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