新しい道
お久しぶりです
脳みそ壊しながら書きました
「そういえばさ」
ソウタは聞く。
「あの試合……もとい死合見ててさ思ったんだけど」
「なんスか?」
「やったら好戦的じゃなかった?口調も変わってたし」
そう言われ、レイジは思い出す。
あの時、確かに自分は目の前の相手を叩き潰す事だけを考えていた。まるで己の中に器以上の怪物が居座ったかのような…
(でもある程度制御は出来るっぽいけど…。あれは過装体の影響か…あるいは…)
「おーい聞いてるかい?」
「ええ、聞いてるッスよ?好きなスイーツの話ッスよね?俺は断然パフェ派ッス」
「うん、聞いてなかったね」
軽くあしらわれたソウタは肩を落とし、その場を去っていった。
***
一方、斑鳩とミカはレイジの事を本部へ報告していた。
「と言うわけで、にわかに信じられないかもしれませんが、かなりのイレギュラーな存在です。でも十字型の紋章なので、こちらとしては戦力の足しにしたいと…」
「ああ、分かった。君は嘘をつくような人間じゃないから信用はしている…が、こちらとしても彼の同行は知りたいからな。こちらからエージェントを送らせてもらう。良いかな?」
「それは…彼の判断によりますが…」
「大丈夫でしょう。彼には順応力があります。実際、初めての過装体での模擬戦でも物怖じするような事も無ければ制御も出来ていました。……それに一般人だし」
「…ミス・ミカは彼に何か恨みでも…?」
「色々あったんですよ…エージェントの件は了解しました。本人の了承を得次第、また連絡します」
「よろしく頼んだよ。レイジ・イカルガ」
***
「と言うわけで、エージェントを送ることになったから」
「は、はぁ…」
「大丈夫かな?」
「まぁ…見られるってのはいい気分じゃないッスけど、お偉いさんからのお達しとあればしょうがないッスよね…。わかりました!エージェントをつけてもらってOKと言うことで」
「ありがとう。じゃあ後で本部に連絡をするから」
結局OKしてしまったレイジだったが、
まぁ、仕事ぶりを見るくらいならいいか
と考えているので大した問題にしていなかった。
「どうーした?レイジクン?」
「いろいろと…ですかね。面倒なことになりそうっスけど」
「そんなに気にしないクチかい?」
「ええ、まぁはい。しょうがないっていえばしょうがないんでね」
「まー、慣れるしかないがな。頑張りたまえよ。新人クン」
***
夕方、自身が寝泊まりしている学生寮に向かいながら今日のことを思い返していた。
電車に乗ってどっか遊びに行こうとしたら変なのに巻き込まれ、自分もその「へんなの」の一員となってしまう。
「だめだ…余計分からなくなった…大体なんだよ過葬って」
さっきまで一般人だったんだぞ、と内心怒っている部分もあるが、それ以上に
「でも…かっけーよなぁ、あれ」
と、男心をくすぐられたのも事実。どうせ脱退もできないだろう。ならばもう開き直ったほうがいい気がする。と考えたレイジは少し変なテンションになってしまう。
そのテンションのまま部屋のドアを開けると大声で
「たっだいま~!」
と言ってしまう。周りの部屋の人間は迷惑でなかったが、この後馬鹿にしてやろうかと思わせるほどの間抜け声でのただいまだった。
だが
「おかえりなさいませ!監視対象様!」
という、その部屋から聞こえるはずのないセリフで一気に目が覚める。
「…あ、あんた…誰っスか?」
当然の疑問を口にするレイジ。
「私はアミ・フラズ。気軽にアミと呼んでください!本部からの命によりあなたを監視することになりました!」
「ってことは…!」
「はい!カゲゴロシのメンバーです。あ、でもあなたの所属する支部の人間じゃなく本部の人間ですのであしからず!掃除洗濯料理にあんなことやこんなことも…」
「ストップストップ!大体わかったっス!エージェントってことっスね?はぁ…なんで年頃の男子にこんな女の子を…」
「そりゃあもちろん『諜報に長けた人間』が私しかいないからですよ!年頃の男女二人なんて…すっごい破廉恥ですね!」
「やめてよ!倫理の問題じゃなくなってるよ!」
「ほかにもわからないことがあったらジャンジャン言ってくださいね!」
そういわれたレイジは「じゃあ」と口を開いた。
「なんで俺のことを監視対象様なんて呼んだんっスか?」
「それはもちろん監視対象ですから」
「そっちじゃないっス。なんで様付けしたのかを聞いてるんっス」
「え~?日本じゃ普通って聞きましたよ?」
「そんなの聞いたことないっスよ…はぁ」
そんなこんなで始まってしまった。現実から最も離れた生活。
まるで甘ったるい小説のような話だが…レイジはまだ知らない。
これから先の真の意味で終わらない戦いが待っていることを。
双頭龍は悠久を見た、少年は何を見るのだろうか
お疲れ様です意地でもエタらせません