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魔法剣士に転職するのは魔法が使える人だけでしょ!  作者: 夢月華
第一章「無名の剣士」
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消滅。

目が覚めると隣にユーナがいた。

「おはようございます!」

笑顔で笑う顔にはクマができていた。

「今まで起きてたの?」

私がそう聞くと何でもないと顔を横に振る。

それは小さな嘘だった。

恐らく不寝番をしていたのだ。

「……ありがと。」

「でも自分勝手に行動しないようにしてよ?」

私はルールを決める事にした。

「二人でルールを決めよう。」

「ルール、ですか?」

ユーナは疑問に思う。

「なんで、ルールを決めるんですか?」

そんな素朴な疑問も少しずつ解決して行くためにもある。

つまり、

「そうだね。何って言うんだろう…。」

説明がしにくい。

私は説明が得意ではないからだ。

「この先、別々に行動するかもしれないし、その時に仲間の行動が分かるようにするため。かな?」

ユーナは少し考えると、すぐに賛成してくれた。

「とりあえずルールは三つ作ろう。」

「嘘を吐かない、結果は報告する。とかね。」

ユーナはうんうんと頷く。

「最後の一つは何ですか?」

「仲間を信じる事。」

それは私がユーナを見捨てて旅立とうとした時に最初から決めていた事だった。

「分かりました。」

「では、ゴーレム狩りに行きましょう!」

私の鬼畜な修行が幕を開けたのだった。

「シリアさん、そうじゃないです。」

私はゴーレムの脚に剣を刺し込む。

けど、ゴーレムは痛みを感じない。

「まるで機械みたい。」

「そこ、油断しない!」

うへぇ…。

相変わらず厳しい。

「ごめんごめん。」

ゴーレムの身体に赤いオーラが纏ってるのが見える。

身体強化だ。

「魔力操作のおかげで身体強化してるかしてないか分かるようになったけど、確認中に攻撃されたら色々終わる…。」

人生が終わってしまうかもしれない。

それだけ強かった。

「だから魔力操作をさらに使いこなす必要があるんですよ。」

ユーナが氷の粒を放った。

すると、ゴーレムの動きが止まる。

「魔法使いたいなぁー!」

私はゴーレムの首を飛ばすと、

ゴーレムの身体は膝から崩れて粉々になった。

「この辺にしときますか。」

一段落着くとユーナはそう言った。

この後、山から降りて次の街に行くからだ。

「この先にある王都に向かうんだっけ?」

「えぇ、そうです。と言っても大分離れていますけどね。」

街が三つぐらい途中にあるらしい。

「王都って何があるの?」

世界規模で一番大きいと聞いた。

だったら何か大きな事にも挑戦も出来るかもしれない。

それに剣聖にならなくちゃいけない。

「闘技場がありますよ。主に殺し合いになりますが、」

「え、遠慮しときますっ!!」

流石に生命のやり取りはしたくない。

奪う方にも奪われる方にも。

「冗談ですよ。王都ではギルドに寄ってから宿を決めます。」

「でも、次の街にもギルドってあるよ?」

別に王都でわざわざハンター申請する必要はない。

「クエストと初期ランクが違うんですよ。」

ランクは基本的にFからAまであり、Fが最低で何故かSが最高。

SランクはAランクの枠に入らないハンターの事を言うらしい。

「どういう事?」

「王都出身ハンター専用のクエストがあります。さらに本来ならFランクから始めるんですけど、」

ここで私は気が分かってしまった。

いや、ここまで言われれば大体の人は分かる。

「まさか?」

「Cランクから始めれます!!」

「かなりランクが上がっちゃうよ!?」

出来たらFランクからやりたい。

でもそういう事を除けばお得なんだろう。

「でも最初の一週間はFランク扱いですので、Fランクのクエストしか受けれません。」

なら良かった。

いきなり難しいクエストに行ってもあまり意味がない。

むしろ失敗してしまうからだ。

「じゃあ、目的地は王都!!」

「雑魚狩りにいこー!」

そう私達には食料がない。

だからその辺にいる雑魚モンスターが横取り…。

じゃない!

「決して悪い事じゃないと、……思う。だって魔物だし。」


────────────────────────


「あれ、魔物じゃないですか?弱そうなので、シリアさんお願いします。」

「えっ?なんで私?」

弱そうだから私?

「そんなに私弱いの?そうなの?」

シカトされた。

ただ親指を立てて私を遠い目で見送ったユーナは何も言わなかった。

きっとやれば出来る奴とでも私を思っているんだろうか。

「来て!スライム系の雑魚!!」

「グオオオオォォォ!!」

何か雄叫び的な鳴き声が聞こえた気がした。

「弱そうな奴ってコイツ?」

私は遠くにいるユーナにも分かるように指を弱いらしい魔物に向ける。

すると、結界が私と弱いらしい魔物の周りに現れた。

「何か固有結界的な奴出て来たんだけど…!?」

私はユーナの方に行こうとするも結界から出れなかった。

「ユーナに裏切られたっ!?」

そう思ってる内に例の雄叫びの魔物が来た。

ミノタウロスだ。

しかも二体いる。

「明らかに強い魔物じゃん…。」

弱そうな奴はやっと私の方を向いた。

「嘘でしょ…。」

それは私自身の姿をしていた。


「自分自身が相手とか聞いてないよっ!!」

魔力操作した剣で切り付けようとする偽物の私。

寸前で避けたが、少し腕に掠った。

「危なっ?」

魔力操作の使い方次第では剣先に魔力を集めると剣の長さが少し伸びる。

ただし実際の剣は伸びてない。

「見えない剣先…。」

そう私は呼んでいる。

魔力が目で見えないのは当たり前の話だけど、それを利用した技だ。

「自分自身が相手とか一番強い敵のような気がする。」

偽物の私に対して魔力操作を目に集中させるか剣に集中させるかどっちかしか出来ない私。

「それにミノタウロスは厄介でしょ!」

上半身が人間で下半身が馬。

しかも剣を持っている。

「機動力高過ぎ!」

でも結界内では簡単には動き回れないようだ。

「魔力剣!!」

剣先を魔力で強化する。

もちろん見えない剣先だ。

「剣先が見えなくても突き技じゃなければ意味がない!!」

剣士が相手じゃなければ切り技も有効だったであろう。

私はミノタウロスの剣を弾く。

流石に持っている剣を飛ばす事は出来なかった。

「所詮、私の偽物だよ。」

たまたま相性が良かっただけだった。

私はミノタウロスの右脚を切り飛ばす。

すると体勢が崩れる。

その隙に私はミノタウロスの首を跳ねた。

「あと二体。」

ミノタウロスと私の偽物だけだ。

「魔力装填。」

偽物の私がそう呟いた。

私が知らない技だ。

「何をする気なの?」

偽物とは言え、全て私と同じ攻撃方法ではないようだ。

剣先に魔力の塊が集まっているように感じる。

すると、周りの空気が変わった。

「……魔力が見える。」

それは魔力が目に見える膨大な量だ。

明らかに私の実力を超えていた。

「ユーナ!!」

私はユーナに叫んで呼びかけるが、返事はない。

どうやら結界内の様子は外からでは見えない上に中からも声は伝わらない。

「どうすれば…。」

魔力操作があの魔物にも使えるようになったと言う事は本来の強さよりあの魔物は強くなっているのだ。

「本来の特訓メニューとは別の物になっているって事だよね。」

こうなればやる事は一つしかない。

「魔力…装填!!」

私は剣先に魔力を集める。

微量だけど、ビー玉ぐらいには集まっている様子だった。

「え…。」

偽物の私の方を見るとあまりにも魔力の塊が大きくなっていた。

当然、結界内の幅も限りがある。

そのため、ミノタウロスが巻き込まれて粉々になった。

「……仲間じゃなかったの?」

私は偽物の私に対して呼びかける。

「……魔力装填完了。」

「敵対生物に対して殲滅を行います。」

知能が無いはずの魔物からそんな声が聞こえた。

魔力の塊が一気に私の方ヘと発射された。

まるで全てが夢だったような気がする。

それぐらいデタラメだった。







その日、私は世界から消えた。


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