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魔法剣士に転職するのは魔法が使える人だけでしょ!  作者: 夢月華
第一章「無名の剣士」
3/11

旅立ちの日は延期したいもの

「え?捨てちゃうの?」

私は必死に説得していた。

「あれは確かに大事な物でしたが、誰かを傷付けるなら要らないです。」

それが彼女なりの考えだったんだと思う。

それ以上は説得する意味もないので私は口を閉じた。

「……。私はユーナの言いたい事は理解出来るよ。まるで心の内側が見えるようにね。」

「いやいや、私のスカート捲ってパンツの柄見ながら言われても説得力ないですってば!!」

少し離れた場所に王都という盛んな街がある。

そこで剣聖について調べようと思った。

技術や才能を何一つ持っていないなら手に入れれば良い。

「シリアお姉さん。」

ユーナは私の顔を見ると少し悲しそうな表情を浮かべた。

「何か、顔に付いてる?」

「えっ?な、何も付いてないですよ!!」

動揺する少女の姿を見るのは最後になるかもしれない。

「そう?じゃあ、帰ろっか。」

私は本屋がある方向に指を向ける。

「……どこにも行かないですよね?」

「ん?何か言った?」

私は誤魔化すように下手くそな口笛を吹いた。

「いえ…。何でもないです。」

帰ると既に就寝時間だった。

「おやすみなさい。」

「うん。」

私は迷っていた。

今の生活は楽しいと心から思える。

でも、私は剣聖にならなくちゃいけないらしい。

そんな事言われたってどうしようもない。

そんな考え事をして気が付いたら朝だった。

「おはようございます!」

元気に挨拶して来るユーナ。

その姿は太陽よりも明るいと思う。

「おはよう。」

そんな姿を私は目に焼き付ける。

未練を残さないように、

「どうしたんですか?」

今日から出発する事にした。

「いや、何でもないよ。ユーナが可愛い過ぎて辛いなーってね。」

「いやいや、かかかか…可愛くなんかないです…!!」

今日はそんなにお客さんは来なかった。

「シリアお姉さん、お疲れ様です。」

手には温かいスープが二つあった。

「どうぞ。」

「ありがと…。」

私は猫舌気味だけど、この程度なら大丈夫だ。

「熱っ…!?」

「だ、大丈夫ですか!?」

大丈夫と言うとユーナは溜め息を吐いた。

「ふーふーしますよ?」

「だ、大丈夫だって!」

私は自分でスープにふーふーと息を吹きかける。

「もーシリアお姉さん、全然冷めてないじゃないですか!」

私からスープを取り上げると代わりにやってくれた。

「じゃあ、おやすみ。」

もちろん寝たフリをするつもりだった。

今日の夜から出発する予定なのだ。

私はすぐに支度をして1階へと降りる。

「悪く思わないでよね?」

たった数日でも仲良く出来た友達を見捨てるような形になってしまったかもしれない。

「悪い事をしてる自覚はあるんですね?」

暗闇の本棚の中から声が聞こえた。

声を主は何度も聞いた事が声だった。

「ユーナ。私は…。」

「言わなくても分かります。それにお別れの言葉は言いたくないです。まだお姉さんと一緒にお仕事したいです。それなのに…。」

彼女が照れ隠しで早口で言ってるせいで所々、聞き逃したいけど、

それでも伝えたい事は伝わって来た。

「私はね、やる事があるんだ。誰かがやらなきゃいけない。とても大事な事が…。」

「そのためなら誰かを見捨ててでも?」

私は言葉が詰まりそうになる。

「それでも世界よりは軽いでしょ?」

きっと私は大切な人か世界か選ぶ時が来たら迷わず大切な人を選んでしまうだろう。

だけど今は嘘でもそう答えなければユーナの日常を変えてしまう。

「私はお姉さんと一緒が良いです。」

「ユーナもハンターになりたいんでしょ?見てたら分かるもん。」

目を見れば誰でも分かるぐらいユーナは冒険に憧れている。

それだけは分かってしまった。

「…今でも少しだけ夢に見るぐらいですよ。」

苦笑いしながら言う。

「だったら、両親とも話し合ってから決めた方が良いじゃないの?」

「…両親はいません。魔導書を盗もうとした国家の魔術師に殺されました。」

だったら私が出来る事は一つだけしかない。

「そう……だったんだね。」

「もし私が勝ったらシリアお姉さんの旅に連れて行って下さい!」

へ?

「何を言ってるか分かってるの?」

素人同然の私だけど、魔力操作がある。

「シリアお姉さん。魔力操作を習得しただけでは勝てませんよ!」

杖を私へと向ける。

「お姉さんが使えるのは部分的な強化だけですよね?」

バレている。

体内の魔力を上手く操作出来ない。

だから一ヶ所に魔力を集める事で私は魔力操作を行うのだ。

「それはどうかな。」

部分的な強化しか出来ないとは言え、

腕力や武器やキック力を高める事は出来る。

「私も魔力操作できるんですよ?」

ユーナは杖を振ると空気中の魔力が震える。

「…っっ!!」

私の身体までも震える。

「あれ、魔力操作が出来ない。」

体内の魔力を散らされているような感じだ。

「魔力を拡散してるんです。」

このままじゃまずい…。

「次は魔力圧縮です。」

身体が重い気がする。

恐らく体内の魔力の流れが悪くなっているからだと思う。

「その状態で魔法を使っても不発に終わるだけです。」

「まぁ、シリアお姉さんは魔法が使えないんですけど…。」

「この程度で私に勝ったつもり?」

私は無理やり身体を動かす。

「強がりでは私には勝てませんよ。」

確かにそうだった。

前世と言って良いか分からないけど、

転生する前の私はいくら強がっても結果は変わらなかった。

「でも、私は…!!」

魔力を無理やり一ヶ所に集中させる。

恐らく二度目はない。

「?……どうして魔力を顔に集中させたんですか?」

ユーナは驚く。

「良く異世界人が勘違いするんですけど、人間はブレスを吐けませんよ?」

私は首を横に振る。

ユーナが言ってるのと違うからだ。

「私が魔力を集中させたのは目だ。」

「なんで目に魔力を集めたんですか?」

ユーナが杖を振ると泡のような物が大量に現れた。

シャボン玉みたいだった。

「この泡は割れると爆発します。魔力は圧縮すると爆弾にもなるんですよ。」

つまり触れなければ良い。

「わざわざご忠告ありがと…。」

私は泡と泡の間をギリギリですり抜けて行く。

「なっ…!?なんで避けれるんですかっ!?」

ユーナは杖で泡を私に当てようとするが、─────────間に合わない。

「私の目で見えない物はない。」

「ユーナの魔法は既に見切ったよ。」

私は木の枝をユーナの首元に向ける。

「はは…。わはは───私の負け、ですね。」

少女は泣きそうな顔して無理やり笑う。

「私の事は、ほっといて行って下さい…。」

少女の涙を無視なんか出来るはずも無かった。

「……何言ってるの?仲間を置いて旅に出る訳ないでしょ?一緒に行こっか。」

私は少女の頭にそっと手を乗せる。

「きっと私は足を引っ張りますよ…。」

そう少女は言う。

「私の方が経験浅いから足を引っ張るのはお互い様だよ。無知だし。」

そう、まだこの世界の事は知らない。

「でも私は負けました。」

確かにどこに行っても弱肉強食の世界かもしれない。

「これから旅を続ければ負ける事なんていくらでもあるよ。一緒に強くなっていこうよ。」

私は空を見上げながら言う。

「────────剣聖を目指して。」


(私、魔術師タイプなのに…。)


────────────────────────


魔術師なのに剣聖を目指す旅に付いて行く事になったユーナちゃん。

作者も書いてる途中で思い付いて書くので読めない展開です!!

いや、もう少し考えて書こうよ。と自分自身でも思ってるですけどね…。


ともかく、これからも続けて書いて行くので、※魔剣転職をよろしくお願いします!!

(略したら違うタイトルになるのは置いといて…。)


※正式名称は魔法剣士に転職するのは魔法が使える人だけでしょ!です。


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