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魔法剣士に転職するのは魔法が使える人だけでしょ!  作者: 夢月華
第一章「無名の剣士」
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絶望の中の希望の光

私の視界は擦れて狭まっていく。

これが私が求めていた魔法──────魔術なの?

「ごめん、シリウス。魔神を倒せそうにないや。」

「なんで、数ある魔術の中でeclipse(エクリプス)を使ったんだ…?」

「これしか倒せる魔術が見付けれなかったんだ。」

ちゃんとデメリットを読む時間さえ無かったのだ。

透視する事は出来ても"魔導書を読む速度は変わらない"のだ。

「まだ動けるか?」

「大丈夫。」

私はゆっくりと立ち上がった。

「龍の魔力を取り込み過ぎたな。それに加え、魔術と魔導書のデメリットまで食らっている。」

「生きてるのが不思議なぐらいだ。」

「いや、デメリットないよ。魔導書の奴ぐらいしか。」

龍の血は完全に身体から追い出したし、

魔力がないから魔術(エクリプス)の影響は少ない。

魔導書は分からない。

「行こう。」

既に視界は元に戻っていた。

私はまだ戦えるはずだ。

いや、戦わなきゃいけない。

「洞窟に戻る必要もないな。なら魔物を狩りに行くぞ。」

そう言えば、龍の魔力で集まって来た魔物の大群が居たんだった。

「転移するぞ。」

一瞬で周りの景色が変わった。

まだ転移には慣れない。

「魔力剣!!」

私は魔物を切り付けていく。

それだけじゃ決定打はない。

「なら…!!」

剣から魔力を魔物に流す。

その時だった。

「……爆発した!?」

魔物が爆発したのだ。

周りの他の個体も巻き込まれていた。

「これなら使える。」

私は魔物に魔力を注ぎ込んでいく。

これならすぐに終わる。


「…終わった。」

「一人で百体倒すとは…少しは強くなったんじゃないのか?」

私は少しにやけてしまった。

それでも足りない。

「それでも…魔神には届かないでしょ?」

だから力を求めるしかない。

「次の魔導書の場所は?」

私はもっと力が欲しい。

「そう急ぐな。さっき戦闘が終わったばかりだぞ。」

そうだった。

転移も数時間は使えない。

「魔力を高める方法とかないの?」

「多少高める方法はあるが、魔力を一定量持ってないと出来ないぞ。」

一定量というのが気になる。

「魔法使いの魔力基準値だ。」

つまり私の魔力では意味がないらしい。

けど、方法が無い訳じゃない。

「魔導書さえあれば…。」

魔導書の本来の使い方は、力がない者が学ぶ本なのだ。

今は力がある者が取り合っている。

「魔導書を全部読み終えるのが私達の目的になるね。」

「力に固執するな。魔神は魔導書だけでは倒せない。」

もっともだった。

「それでも魔導書という呪いを背負うしか勝ち目はないと思う。」

「魔導書にはデメリットが大き過ぎる。ただでさえ魔力操作を酷使してるんだぞ。」

魔力操作。

私が最初に読んだ魔導書だ。

デメリットについては"書かれて無かった"はずだ。

「魔力操作をもう少し慎重に使った方が良い。」

わざとデメリットが書かれてないんだとしたら、

使用者はとんでもない事になる。

それとも本当にデメリットがないのか。

「魔力操作がどれだけ恐ろしい物か知らない。でも友達ぐらいは信じさせてくれないかな?」

私は転移が使えるまで、空を眺める事にした。

「私が転移を使うってのはどう?」

「魔力自体はシリアのじゃないから無理だ。」

忘れていた。

私の魔力はあくまでもシリウスから借りた魔力を使って魔術や魔力操作を行っているのだ。

「ちょっと気になった事があるんだけど…。」

魔力自体はシリウスの物なのに"魔導書のデメリット"を受けていないのか?

「それの事か。」

私の意識を読み取ったのか、シリウスは私の疑問に答える。

「恐らく魔導書の各デメリットによるはずだ。あくまでも仮定だが、」

「誰かさんがデメリットをちゃんと読まないせいでな。」

ごめんなさい。

時間がない戦いの最中ばかりで先走っちゃうんだよ。

「仕方がない。」

「魔力感知で敵を把握するスキルを身に付ける必要があるな。」

ん?

「え、魔力感知のやり方教えてくれるの?」

恐らく魔力感知はとんでもないスキルのはずだ。

誰でも出来る物じゃないと思う。

「簡単なスキルだから習得に時間はかからんしな。」

え?

そうなの?

「だったら、私にも出来るの?」

重要な話だった。

魔力がない私でも魔力感知が使えるとしたら。

「シリアが絶望しないなら、教えよう。」

次の瞬間に私の視界に大きな黒い霧のような物が見えた。

「何これ…。」

「魔神の魔力だ。」

黒い霧は魔神の魔力らしい。

この霧は恐らく世界の全てを覆っていた。

「絶望しないよ。ここが旅の終わりじゃないから。」

そうだ。

これからだ。

「あの子とまた旅を始めるんだ。」

「だから、教えて欲しい。」






シリア:シリウス憑依状態

【スキル】

魔力操作…魔力を繊細に操作出来る。

限界消滅…体力や精神を消費する事で魔力を一時的に上げる?(シリアの予想)

【魔術】

eclipse(エクリプス)

大きい魔力に反応して、それを喰らうモノを呼び出す魔術。元はシリウスの魔術。


シリウス

【スキル】

憑依…他人の精神領域に自分の精神体を送り込む。

【魔術】

eclipse(エクリプス)

説明は省略。

他の魔術は不明。



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