りつの修行
「はぁぁぁ!」
りつが自分の何倍もの大きさのある岩を一撃で粉砕する。
「...まだまだよ!次!」
「はい!」
自分自身の身体の仕組みを理解したりつはみるみる内に成長していった。
「てぃや!!」
もう既に、山奥にある大きな岩は潰し尽くしていた。
りつの拳と脚のみで。
「さて、そろそろウォーミングアップはいいわね。来なさい!りつ!」
先輩が構える。
「行きますっ!!」
思いっきり地面を蹴り、突っ込んでいく。
一撃目は、軽くかわされるが二撃三撃と打ち込んでいく。
「甘い!」
先輩の足がりつの足を薙ぎ払い、りつはコケてしまう。
「まだまだー!」
「っ!」
りつは手首を回転させ蹴りを繰り出す。
元々運動神経が良いりつからしてみれば簡単な技である。
それに今は人形。つまり手首は360度回るのだ。
「回転蹴りとは、やるわね」
「この身体の機能を思い存分使わないとですから!」
2人の組手は地響きが起こるほどのものだった。
数時間組手をし、それまでの合図がなりその日の訓練は終了した。
「りつ、本当に強くなったわね!入って来た時とは大違いよ!」
「あの頃は泣いてばかりでしたね...先輩の鬼の様な指導のおかげです!」
「鬼とは失礼な!」
お互い笑い合う。
2人は姉妹の様な信頼関係になっていた。
「よし、そろそろりつの恋人さんと組める位にはなったはずだよ」
「恋人じゃないですよーー!!」
りつが顔を真っ赤にさせて叫ぶ。
「...よく頑張ったね」
「はい!ありがとうございました!」
拳と拳をコツンとぶつけ合い、お互いを見つめる。
(秀、私、強くなったよ!絶対、秀を守ってあげるからね!)
その姿を夕陽が照らすのだった。