桜田 蘭子
「あ、貴女は?」
「悪いけど、話は全て聞かせてもらったわ!...大変だったわね。私は、『フィンペシア魔術学校』生徒会長の『桜田 蘭子』よ。大丈夫、あなた達を襲ったりしないわ...例え禁術を使ってしまった人達だとしても...ね」
フィンペシア魔術学校...数ある魔術学校の中でもかなり優秀な生徒ばかりを集めた学校である。
「そんな学校に、俺達が入れるのか?」
「えぇ、ただし彼女には貴方の武器として入ってもらう事になるのだけれどね」
「りつが武器だって?」
桜田の言葉に怒ろうとした秀をりつが抑える。
「私が秀の武器というのはどういう事なんですか?」
「貴女は人形になってしまった訳でしょ?それに、そうしたのは彼。彼には人形使いの科に入ってもらうことになると思うの。貴女を使って闘う。そういう授業を受けてもらうことになるわね」
「ふざけるな!なぜりつを武器の様に扱わないといけない!」
「...禁術を使ってその道へ彼女を追いやってしまったのが誰なのかを...よく考えてみなさいよ」
「...っ!」
桜田の的確な言葉に秀は何も言えなくなる。
「今すぐに決めなさいとは言わないわ。2日後、またここに来ます。その時に答えを聞かせてもらうわ 」
そう言って桜田は部屋から出ていった。
「秀...まだよくわからないけど、私は学校に行くべきだと思うよ?」
「りつまで何を言ってるんだ!そんな事したらりつを戦わせなきゃいけなくなるんだぞ...」
「それでもいい...私は、秀を守れたらそれでいいもの。せっかく生き返らせて貰えたの、この命、秀の為に使いたいの!」
「りつ...」
「2日後、桜田さんが来たら学校に行くよ?これが秀の、ううん、私達の為になるはずだから」
――
「貴方達、起きてるかしら?」
2日後、約束通りに桜田が2人の元にやってきた。
「その様子だと、覚悟を決めてくれたようね」
2人は、荷物をまとめて桜田を待っていたのだ。
フィンペシア魔術学校に入学する為に。
「行こうか」
桜田は、2人を連れて歩き出す。
これから2人は、りつの仇をとるため。
そして、自分達の為に進んでいくのだ。
戦場の様な学校を。