禁じられた魔法
人はそれぞれ、その人にしかない個性を持って生きている。
それは、真似をしようとしても出来ないものである。
例え出来たとしても完璧ではない。
完璧に、その人になる事は出来ないのだ。
だがしかし...
人形なら可能ではないか。
そう思った人がいた。
心を持つ人形。
その人を使って作る人形なら可能ではないかと...
禁じられているにも関わらず、少年は作ってしまう。
目の前で横たわる亡くなった少女の身体を使って
心を持つ人形を...
「やるしかないんだ...」
少年の名は「秀」
幼馴染みの少女「りつ」を失いたくない一心でその身体を人形に変えようとしていた。
「りつ...頼む、俺を一人にしないでくれ」
りつは、身体から血を流し横たわっていた。
その腹には、銃で撃たれた傷がある。
2人で遊んで居た所を、襲われたのだ。
「くそ!...何でこんなことに!!」
そう嘆きながらも、床に円を描いていく。
その真ん中にりつを運ぶ。
「これで失敗したら...いや、迷ってる時間はない!」
秀が呪文を唱え始めると、先程描いた円が光り出す。
小屋がガタガタ揺れだし、周りに置いてあった物が吹き飛んでいく。
「この者の身体を我が道具とし、生き返らせたまえ!!」
そう秀が叫び、りつの額に手を添える。
すると、りつの身体は中に浮き光輝きだした。
「成功...なのか?」
その身体には浴衣の様な衣を、どこか祭りにでも出掛けるのかというような格好になったりつは
ゆっくりと降りてき、目を閉じたまま動かなかった。
「どうして動かないんだ...」
不安になった秀は、りつを揺らす。
一向に起きる気配のないりつ。
秀は、失敗したのだと泣き叫び、疲れて寝てしまったのだった。
りつの手を握りしめて。