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愚者と弱者のミックスアップー6ー

人として礼らしい礼の言い方というのもあるのではないだろうかと考えるのと同時に、俺の心はそのふてぶてしい態度を魅力的に捉えてしまったのだから我ながら度し難い。そう、これはさながら野良猫に餌を上げた時のような心境に近い。この男はお礼の態度もろくに示さずにさっさと毛づくろいやらひなたぼっこを始めるあの動物と態度がそっくりなのである。現に二つも食べておきながら全く悪びれずに悠々とタバコをふかし始めているのだから外見こそまるで違うにせよ中身は全く同じだ。社会人ともなって数年は経つが、このような態度を取られたことは目上の人間を置いてまずなかった。確かに年上ではあるが、立場としてはむしろ客であり、控えめに見ても大体同世代の人間としてフェアなところにあるはずである。

そうした俺の戸惑いを知ってか知らずか(おそらく後者だ)、西条はそのまま紫煙をたなびかせ続けていた。どう見ても吸い慣れているところから喫煙歴はそこそこ長いのかもしれない。銘柄に目をやると偶然にも自分が吸うのと同じロングのピースだ。目をつぶり完全に早よ帰れというオーラを出されてはいるが、これは会話のきっかけとして使えるかもしれない。カバンから箱を取り出し、机の上にちょっと見せつけるように置く。一本抜き、お気に入りのジッポで火を着ける。古びたジッポ特有のどこか気の抜けた音がして、オイルは橙色の炎へと姿を変える。

強めに吸い、いつものバニラのような甘い香りを楽しむ。

煙を肺の奥まで取り込んで、リラックスしていくのを感じながら俺は口を開いた。

「やっぱりピースは美味いですね。特に甘い物の後はより美味い。そうは思いませんか?

「別に何を食べた後でもタバコの香りなんぞ変わらん。お前の舌が特殊なだけだ」

「そうですか?私は外で焼肉とか食べた後は…あっ」

「なんだ」

「いえ、考えてみたらこうしてひきこ…いや隠居のような生活では外食されることもなさそうなのにそういう話題を振るのは失礼だったかなと」

「…お前、今リアルタイムでその失礼をかましていることに考えが及んでいないのか?」

もちろんわざとではある。挑発でもしないとこの男からは何も引き出せそうにないからだ。

案の定少しばかりピクピクと怒りを感じてくれているようだ。

「まあお前の評価などはどうでもいいが、俺にも話し相手くらい居る」

「そうですか。まさかとは思いますがお手伝いさんとは言いませんよね」

そういうと西条は少しバツが悪くなったように目を逸らした。

どう考えてもこの離れまである一軒家がこの無愛想な男一人で回る訳ないだろうと踏んでの発言だったが当たりだったようである。

「…あー、いやもちろん他にもいる。あれだ、その…マネージャーとかな」

「へえマネージャー…」

それもまた話し相手と言い切るには微妙に違うのではないか…そう思ったがとりあえずこの男の人間関係についてもう少し知りたい。


ここはあえて突っ込まずにそのマネージャーについて深堀させてもらおう。







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