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愚者と弱者のミックスアップー3ー

ピンポーン。


鳴らしてしばらく待つ。

「はい…」

もう夕方も近いという時間にも関わらず寝起きかな?と思わせるような覇気のない男性の声が返って来た。

「すいませーん。宅配便の物ですが」

あらかじめ考えておいたセリフを放つ。

「あ?何か物を頼んだ覚えは…鹿島さんかな…」

向こうからは戸惑うような声。

当たり前だ。

俺は配達員などではないのだから。普通に訪問しても追い返される可能性を見越してわざわざ変装してやってきたのである。帽子を目深に被り、顔が映らないようにカメラに話しかけている為、バレっこない。

ついでに今ボソッと呟いていた鹿島さんとやらはお手伝いさんのようなものだろう。これだけ大きい屋敷なのに前回訪問した時は綺麗に片付いていた。他人を迎える時に作業着で現れるような男が綺麗好きとはちょっと考え難い。それなのに居なかったというのは休みの曜日かなにかだったと考えられる。

「ああ、とりあえず宅配ボックスがあるんで…それに…」

「恐れ入りますがこちらどうしても印鑑が必要でして、サインで結構なのでちょっとお願い出来ますか?」

ふふふ。いいぞイメージ通りに事が進んでいる。

思わずニヤついてしまう。

「ううん…あー。その悪いんすけど明日…とかでいいすか。明日ならそういうの引き取る人が居るんで…」

なんだと…。

なんだとこの男は。人間嫌いなのは察していたが宅配員さんと向き合うことも出来んのか。

再配達の手間とか考えてやれ!俺もニュースで見聞きしただけだが!

という怒りを堪えながら頭をフル回転させてなんとか言い分を考える。

「いやー、あー、そのこちらどうやらナマモノみたいでしてぇ。早くお渡ししないと中身が痛んでしまうんですが」

よしこれならイケるだろ。

「え…あ、まいったな。俺タコとか、生きてる物全般苦手なんでますます無理です」

思わずがくりと膝から崩れ落ちそうになる。

こういうのコントの世界だけかと思ってたけど現実に起こり得るんだなと妙に感心。

…ってそうじゃない!

なんだ次は!ナマモノ=タコってどこの人間だ!小学生みたいな連想能力だな!

義務教育からやり直してこい…!

「す、すいません。そういう意味じゃなくて食べ物です!食べ物!こう、あれ!アイスとか」

「アイス?ああじゃ仕方ないか。門開けるんでそのまま玄関まで進んでもらっていいですか」

「はい、わかりました〜」

や、やっと進めた…。どっと気疲れを感じる。というかアイスと聞いた瞬間に軽く声が弾んでいたな。

頭だけでなく、味覚まで小学生並みなんじゃなかろうか。

そうこう考えながら玄関前に足を運ぶ。

少ししてドタドタという音と共に玄関が開いた。

「はいどうもお待たせ…って…」

現れたのは褐色にブロンド色の長髪、くっきり透き通るような青の瞳。

俺と同じくらいの身長に、前会った時より心なしか汚れが進んだ作業着を着た芸術家。


西条彩人。


「てめぇは…こないだの…?」


そして、ぽかんとした顔で出迎えられたのはこの俺、東雲一馬。


「どうも!近くまで来たんでお約束通り立ち寄らせて貰いました。今お時間、大丈夫ですか?」


竜之介を連れて一緒に出会ったの一週間ぶりの邂逅だった。

…というか普通に来ても追い返されそうだったから、お手伝いさんが居なそうな同じ曜日が来るまでこうして訪れるのを控えたり、宅配便の振りをしてみたりと、まあ無理やり会いに来たようなものなんだけどな。


みるみるうちに不機嫌そうな面構えになる西条を前に、さてどうやって押し入ってやろうかと再び頭を回転させ始める。



…やっぱり我慢できないもん、だからな。こういうのって。









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