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閑話 とある貴族の陰謀

唐突な番外編。王国貴族がはっちゃけます。

バートン・キルシュバウムの断罪から三週間が経ったある夜、とある貴族の屋敷にぞろぞろと闇に隠れるように何人もの貴族が集まっていた。貴族達は地下の隠し部屋に入っていく。中には既に二十人くらいの貴族が揃っていた。


「キルシュバウム公爵が断罪されてから三週間か……キルシュバウム公爵と共謀した貴族も着々と捕まっているようだ」


「まさかキルシュバウム公爵の子供であるカサンドラ嬢が断罪する側だったとは驚いたよ」


「そうだ、カサンドラ嬢の登場はインパクトが強かったゆえに後処理もスムーズに行われた」


「少々落ち着きたまえ。まさかそんなことを話すつもりでここに集まったわけではあるまい」


「申し訳ありません殿下」


「ここでは殿下と呼ぶなと言っているだろう。それにあまり畏まらないでくれ、ここでは無礼講だし、何よりここにいるのは同じ志をもつ同士だけだ」


「はっ、そうでした。ではそろそろ本題に入りますか」


屋敷の主であるとある侯爵はコホンと軽く咳をして、貴族達の注目を集める。


「えー、まことに言いづらいのですが、キルシュバウム公爵の断罪によって我々の中に新たな派閥ができたそうです」


それはここに集まった貴族達にとって衝撃的なことだった。それこそドカーンと背後に雷が落ちるエフェクトが見えるほどに。


ドカーン‼︎


「あっつ‼︎誰だ本当に雷落としたのは⁉︎」


「すいません、我々の中に不届き者がいると知ったショックで漏電しました」


「あなたは『電撃使い』(エレクトルマスター)のルナール伯爵!あなたの漏電は洒落にならないから本当に気をつけてくださいよ‼︎って誰か倒れてる⁉︎」


チーン


「「「ト、トルーマン子爵ぅぅぅぅ⁉︎」」」


倒れていたのは別名『王国で一番不幸な貴族』のトルーマン子爵だった。感電のせいか全身を痙攣し、髪がアフロになっていた。


「ところでその新しい派閥はどういうものなのだ?」


「今までの騒動スルーですか殿下⁉︎子爵が死にかけてるのですが!」


「別にいつものことですから気にすることないでしょう。それで新しい派閥のことですが……」


「あなたもスルーですか侯爵!」


「さっきからうるせえぞ‼︎」


「ぶべら⁉︎」


殿下の拳がツッコんでいた男の顔面にめり込み、吹き飛ばす。ちなみに男は公爵だ。


「改めて言いますね。新しい派閥の名前は……」


「名前は?」


さっきからの騒動がシンと収まり、侯爵の言葉を待つ。トルーマン子爵と殴られた公爵は気絶したままだが。


「新しい派閥の名前は、『カサンドラたんをペロペロし隊』です」


「「「「「「ナ、ナンダッテー⁉︎」」」」」」


貴族達が声を揃えて絶叫する。


「くそ、まさか我が『アイドルで幼女な王妃様を応援し隊』から離反者が出るとは……」


集まった貴族達は変態紳士(ロリコン)だった。


ちなみにこの王国の王妃は三人の子持ちで年齢も三十代後半だが、見た目は完全な幼女。天然ながら王妃の素質も兼ね備えた女傑として他国からの評価も高い。国王が冗談交じりで王妃にアイドルを勧めたら本当にアイドルになったエピソードは国民全員が知っていることだ。今では天然で可憐な王妃兼アイドルとして国内外から熱狂的な信者(ファン)をもち、ライブのチケット代や王妃の歌声を録音したCDもどきの魔導具が王家の財政を潤している。そしてこの貴族達のように変態紳士を多く誕生させた原因でもあった。



「くっ、たしかにカサンドラたんは魅力的だ。だか俺には王妃様という方が……‼︎」


「カサンドラたんハアハア」


「ロリな少女が冷たい視線を送るだと‼︎……我々の業界ではご褒美です‼︎」


「まさかのドMだと……⁉︎馬鹿な、奴の変態力は無限大か⁉︎(戦慄)」


「私の変態力は五十三万です(・ω・)ノ」


「駄目だこいつらはやくなんとかしないと(使命感)」


混沌とした空気に侯爵が特大の爆弾を落とす。


「皆さん知っていますか?イエスロリータゴータッチ派のイーロン侯爵がカサンドラたんを妾にしようと計画していることを」


場の空気が凍りつく。


「おい侯爵、それは本当か?」


ねっとりとした声が部屋に響く。声の正体は殿下。殿下を覆う威圧感でまわりの貴族は何も言えない。


殿下は怒っていた。必ずあの変態侯爵を潰してやろうと憤っていた。


彼はこの国の第一王子で巷では整った顔に聡明で穏やかな王子として人気が高かったが、実際はマザコンとロリコンを患ったハイブリットな変態紳士だった。アイドル活動する母親には内緒だが、ファンクラブ会員でナンバーは一桁というほどの猛者でもある。


だが彼にはある信条があった。それはイエスロリータノータッチ。彼は幼女とは遠くから見守り愛でるものであり、手を出してはならないという自説を唱えた。故に実際に手を出そうとするイーロン侯爵は明確な敵である。


「者共よく聞け‼︎我々の信念は何だ⁉︎」


「「「「「「「イエスロリータノータッチ‼︎」」」」」」」


変態紳士の大合唱。殿下は満足そうにうなづく。


「では幼女に手を出す輩は我々にとって一体何だ⁉︎」


「「「「「「「幼女という宝を汚す不届き者‼︎」」」」」」」


「なら卑劣なイーロン侯爵はどうするべきだ⁉︎」


「「「「「「「生きてることを後悔させろ、サーチアンドデストロイ‼︎」」」」」」」


「その通りだ。これから我々は幼女を守るために正義を執行する‼︎」


「「「「「「「第一王子殿下万歳‼︎我々変態紳士(ロリコン)は永遠に不滅なり‼︎」」」」」」」





この後日、イーロン侯爵は不正が発覚し侯爵位を剥奪された。この事件の裏に変態紳士が暗躍したことを知る者は少ない。

どうしてこうなった(白目)


王国貴族は仕事ができる馬鹿の集団(一部除く)。真面目な時もありますが、普段は高校生みたいなノリです。


初登場の第一王子。ゲームでは攻略対象でしたがこの世界では重度のマザコンとロリコンに……


本当のサブタイは「とある(ロリコン)貴族(達)の(イエスロリータノータッチのための)陰謀」でした。


貴族達はまたネタ要員として登場します。

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