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9.婚約発表に向けて

しばらく更新をお休みして申し訳ありませんでした。風邪をひいてしまいまして。

インフルではなかったのですが、咳が酷くて。皆様も、風邪には気を付けてください。

「……さまー!」


「お嬢様ー!」


「お嬢様、どこですかー!!」


レイラの声が部屋の外から段々近づいて来た。


『ここだよー』

と、叫び返したいけれど、横にいるマリーの顔が怖すぎて出来ない。

きっと、メイドのくせに大声出して!!とか思っているに違いない。

眉間の皺が多くなってきているし、見えないけれど青筋が浮かんでいる気がしてならない。

それでも、私の髪を編む手は止まらないし、変な力も入ってないところを見ると、本当にマリーはすごいと感心してしまう。


「お嬢様!!」


バターンッ!!と大きな音を立てて、扉が開き、レイラが私を発見して駆け込んでくる。

私は鏡を見ているので、鏡にレイラが映るのを見た…


…と思ったのだけれど、一瞬で私の視界からレイラが消えた。


「あ、あれ…?」


鏡の中にレイラを探すけれど、どこにもいない。幻覚…?いや、違う。ドアは開きっぱなしだ!

くるっと後ろを向くと、レイラが正面から床に倒れていた。


「レイラ…?何してるの?」


恐る恐る聞くと、床と同化していたレイラが起き上がる。

ものすごい勢いで床にぶつかったのか、おでこが赤くなっている。


「おじょうさま…」


それでも、まだ私の方へ進んで来るレイラに、恐怖を覚えたのは内緒だ。


「レイラ、貴女何をしているの?」


恐ろしくて返事が出来ない私の代わりに、冷たい声を出したマリー。

あれ?でもマリーはなぜレイラの横に立っているのだろう?

さっきまで私の髪を編んでくれていたのに…?


「マリー。後で覚えてなさいよ!!」


レイラは、私に向かって進みながらマリーにそう言っている。

どうやら、マリーは私の髪を編み終わったと同時に、入ってきたレイラの足を払ったらしい。

レイラの足首が真っ赤になっているのが見えた。あれは痛い。

それでも、マリーへの仕返しを後に回すほど何か大事な用なのだろうか?


「レイラ、どうしたの?」


気を取り直して聞くと、レイラはマリーに向けた殺気を嘘のように消して、私に向かって手紙を見せた。


「お嬢様、王宮からお手紙です!」

「なぜ?」


間髪入れずに返してしまった。何故だ?何故王宮から手紙など来るのか?


「さあ、なぜかはわからないですが、どうぞ!」


レイラは手紙を渡そうとしてくる。

いらない。どうしよう、とてもいらない。というか、見たくない。

けれど、そうも言っていられない。私が手紙を受け取らなかったら、レイラはこのままで次の仕事が出来ない。

そうなると、マリーが怖い!


よし。


そう心を決めて、レイラから手紙を受け取る。


「早く開けてくださいよー!」

「レイラ、貴女お嬢様をせかすんじゃないわよ!」

「いいじゃないの。マリーだって内容知りたいでしょう?」

「私は良いわ!」

「ペーパーナイフをください」


口論を止めるために、仕方なく手紙を開けることにする。

くっ、マリー!!気にしないとか言いながら、手紙をガン見しないで!


『リーゼロッテ・アルフバルド様

この度、貴女とルーファス・ライアンベール王太子との婚約にあたり、

ささやかながら披露の場を設けたいと思っているの。

今度の6月20日に、ご両親及びお兄様をぜひ誘っていらしてね。

カトリーヌ・ライアンベール』


カトリーヌ・ライアンベール!!

おいおいおいおい!王妃様!何て恐ろしい手紙を送ってくるんだ!

いや、確かに婚約の話は了承したよ。

仕方なかったからね!

でも、5歳だから報告だけで済むと思っていたよ!!

披露の場なんていらないよー!

というか、披露の場って何をするんだろう?後1ヶ月しかないんですけれども!!


ちなみに、都合の良いことに、この世界も日本と同じように日曜日から土曜日までの7日間が1週間で、1年365日制である。

私の誕生日が4月で、今は5月になったので、タイムリミットまで後1ヶ月ほど。

ご両親及びお兄様って、国王夫妻はアルフバルド家を取り込むつもりか!


「お嬢様!何て書いてあったんですか?顔色悪いですよ?」


レイラの言葉に、手紙をレイラに渡す。

読みたいって言ってたし、マリーもどうせ気になってるみたいだからいいよね。


「まあ、お嬢様!!披露の場ですって!素敵ですわ!」

「どうしましょう!?お召し物はどうなさいますか?今から新しいものを仕立てれば間に合いますでしょうが…?」

「旦那様と奥様に早速ご報告して、一式ご用意していただきましょう!」


きゃあきゃあとはしゃぐ2人を見て、私は困ってしまった。


「私のリーザ、入るよ。」


コンコンと開いたままのドアをノックして、お兄様が部屋に入ってきた。


「お兄様!どうなさったのですか?」

「いや、リーザと王太子の婚約について、手紙が届いたからね。おまけに、リーザの部屋からは楽しそうな声がしていたし…」

「すみません。扉を閉め忘れてしまって…」


うるさかったですか?

と問えば、お兄様はいつものように、にっこりと笑って大丈夫と言ってくれた。

レイラは俯いてしまったが、レイラが扉を開け放した後、私もマリーも扉を閉めるのを忘れてしまっていたので、お互い様である。

お兄様は許してくれたが、今後は気を付けなければ。


「あの、お兄様。披露の場とは何をするのでしょう?」

「そうだねー。あの王妃様直々のお手紙だし、『ささやか』と書いてあるけれど、それなりに規模はありそうだよね」

「私、行きたくないですわ」

「うーん。でも、リーザが行かなければ、せっかくの主役が1人になってしまうよ?」

「そうなのですが、私にはまだ早いと思うのです。王太子様にだって、他に好きな方が出来るかもしれませんし…」

「まあ、王太子様が私の可愛いリーザを選ぶのは当然だと思うよ。可愛いし、優しいし、立派なレディだしね。でも、私のリーザを選んでおいて、捨てたりしたらどうなるか覚悟を聞いておかないとね。」

「お兄様…?」

「リーザは気にせず、にこにこ笑っていれば良いんだよ。」


お兄様はそう言って、ぽんぽんと頭を撫でてくれた。

こ、これは彼氏にして欲しいシチュ、トップ10に入る「頭ポンポン」ではないだろうか!!

お兄様!やっぱり私はお兄様の将来が心配です。



「リーザ、居ますか?」


コンコンとノックの音が響きます。

先ほどお兄様がドアを閉めてくれて、部屋の中が見えなくなっているからか、確認の声がします。


「はい、どうぞ。」


部屋に入る了承の意味を込めて返事をすると、そこにはお母様が立っていました。

どうやら、お母様にも手紙が届いたようです。

これは、王妃様からの逃がさないという意思表示でしょうか?

母子揃って恐ろしいのですけれど!!


「リーザ!あら、ユーもいるのね?」

「ええ、お母様。先ほど私もリーザの部屋に来たところですよ。」

「そう、ちょうど良かったわ。私のお友達のカトリーヌからお手紙が届いて…あら、貴方たちにも届いたのね。早速お洋服を新調しようと思ったところだったの。ユーも一緒に新調なさいな。」

「私は関係ないと思うのですが?」

「あら、貴方はリーザの兄で、将来王太子様の義兄になるのですよ?関係ないわけないじゃないの!」

「でも、主役はリーザと王太子様ですし…」

「ここに居たのだから、諦めなさい!」


お母様の鶴の一声で決定しました。

私も、着ていないお洋服がいっぱいあるので、こっそり辞退したのですが、聞き入れてもらえませんでした。

曰く、一生に一度あるかないかわからないことだから!とのことで。


「それにしても、お母様と王妃様はお友達だったのですね。」


そう聞いたら、今更?と言われました。えー、そんな私まだ5歳ですよ?


「お父様と、国王様はいわゆる幼馴染でね。アッシュフォン学園でご一緒に勉強なさったのよ。

私と王妃様も同じ学年だったこともあって、よく4人でお話させていただいて。

仲良くさせていただいていたの。王妃様とは、恋のお話とかね」


そう言ってクスクス笑うお母様は、少女のように可憐でした。良く落とした、お父様!!


「さあさあ、急がないと!マリー、シュランプのリアーナを呼んで頂戴」


そう言って、お母様のお気に入りのデザイナーさんをマリーに呼びに行かせて、お父様が帰ってくるまで採寸や生地選びに付き合わされた私とお兄様だった。


「また、仮縫いが済んだらお邪魔しますわ!」


そう言って、リアーナさんは颯爽と帰って行った。

その後、王宮から帰ってきたお父様から披露の場でダンスを踊る必要があるということを聞いたお母様は、早速ダンスのレッスンをしてくれる先生を探そうとしたのだけれど、イエソン先生はダンスまで完璧でした!


そして、次の日から私の予定にダンスが追加されることとなった。・・・うぬぬ、負けるものか!

後、活動報告でブックマークが50件を超えたと報告しましたが、先ほど確認したら、1500件を超えていました。

有難いやら、恐ろしいやら…。とりあえず、一生懸命頑張ります。

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