表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/52

7.受けて立ちましょう

修正しました。ご指摘ありがとうございました。

頭が真っ白になった。

お父様が何を言ったのかわからなかった。


「リーザ、ルーファス王太子様と婚約してみない?」


婚約…してみない…?

どういうことだろう?

ゲームの中では、「リーザ」が「王太子」に「婚約を迫った」はずだ。

私はまだ何も言っていない。…いや、言わなきゃいけないっていうのはわかっているんだけどね。

でも、まだ2回しか会っていない王太子様に婚約を迫るなんて、ゲームのように一目惚れでもしていないと無理だ。

「私」は「ルー」に「殺されるかもしれない」と知っている。

そんな私からルーに婚約を迫るなんて、ハードルが高すぎると数日前に思ったばかりではないか!!

後数回会って、機会を見て進めるつもりだったのに、お父様のこの発言でパーですよ!!パー!!

ここで、嫌だというのは簡単だ。だって、あの子怖いんだもん。

でも、これを逃すと婚約者になる確率はガクッと下がる気がして、嫌とも言えない。


「聞き間違えたのかしら?…お父様、もう一度言ってくださる?」


ここは聞こえなかったフリして、少し時間を置こう!!冷静に今後の対応を考えねば!!

…と思った私の意思に気づかなかったお父様は、先ほどの言葉を繰り返した。


「うん、だからね、リーザ。ルーファス王太子様と婚約してみない?って聞いたんだよ」


マジか!しかも、さっきよりゆっくりはっきり言うってことは、逃げられないということですか?


「な、なぜ私とルーが婚約なのですか?私の他にもっと素敵なお嬢様たちがいらっしゃるでしょう?」


主人公とか、主人公とか!主人公とかっ!!

口に出して言いたいけれど、そんな危険冒せない!


「うん。昨日、リーザが魔法の全属性を持っているってわかっただろう?お父様は、国王様にそのご報告に行ってきたんだよ。」

「ええ、知っていますわ。」

「そこでね、あいつ…いや、国王様がね、そんな素晴らしい才能を持ったリーザを放っておくと、どこかの誰かに婚約されちゃうかもしれないって言い出してね。

だったら、王太子様と婚約だけでもしておこう…って。

それに、国王様が、王太子様に確認してくれたらしいんだけれど、リーザのことは友達だっておっしゃってくれたらしくてね。

だったら、仲が悪くなることもないだろうし、リーザさえ良ければ仮の婚約をしておこうって話になったんだよ。」

「………仮……?」

「あ、それにね、国王様から契約書をもらってきたよ!」

「契約書…ですか?」

「そう!もし、将来リーザに他に好きな人が出来たら…って想像もしたくないのだけれど、もしそうなったときには、きれいさっぱり婚約を破棄できるっていう、契約書!」

「婚約を破棄できる契約書…」

「そう!だって、リーザはまだ5歳だよ!そんな幼いリーザに婚約者なんて、早すぎると思うんだよ。しかも、あいつの息子だなんて…。

リーザには好きな人と幸せになって欲しいからね。あいつは渋っていたけれど、もぎ取ってきたよ!」


お父様、良い笑顔すぎです。


ゲームでは、そんな契約書なかったはずだ。

あったなら、ゲームのリーザは、王太子サイドから破棄を要求されていただろう。

そして、この婚約が国王サイドから言われたというのもゲームと違う点だ。


そして、私は男女の友情なんて信じていない。

前世では、友人があると言い張っていたけれど、そんなものは相手を異性と思っていないということに他ならない。

相手から女もしくは男と思われていないから、友情だと思えるのだと思っている。

または、相手を異性として好きな場合だ。

怖くて告白できないけれど、このポジションも捨てがたいというヤツだ。

だから、王太子の友達発言は恐ろしいのだけれど、でも、契約書があるということは、主人公が出てきたら破棄できるということだよね?

だったら、話も進むし良いのではないだろうか…?


「わかりましたわ。お父様。私、ルーと婚約します。

ですから、契約書、無くさないようにきっちり管理しておいてくださいね!」


どうせ、すぐに使うことになるのだから。

そう思い、私はお父様に向かって良い笑顔を作って見せた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ