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47.

本日2回目の投稿です。

結局、幼い頃の襲撃事件の方法は教えてくれなかったけれど、犯人である本人がもうやらないと言っているから深く追求することはやめることにしたわ。

そして、カルツォも早く私を邸に戻して相沢さんのところに行きたいらしく、ソワソワが止まらないの。

うっとうしいったらないわね。


カルツォは、闇属性の魔力が無くなり、壁抜けという便利な魔法が使えなくなってしまったとのことで、別の経路を示してくれた。私は闇属性を持っているので、使っても良いと言ったのだけれど、私の持っている闇属性とは違う種類の魔法なので使えないのですって。曰く、狂気を基にした闇属性だから、狂気がないとだめなそうなの。私は狂気というものを持っていないものね。諦めたわ。


カルツォが着ていたマントを羽織って、幼くなったカルツォと手を繋いで階下に降りて行く。

この屋敷は、カタカナのコの字型をしているらしく、コの先端2箇所と真ん中の棒の中央付近の両側に2箇所の入り口があるのだという。先端と同じ向きにある真ん中の扉の外には警備が居るけれど、その反対側の扉は壁にカモフラージュされていて、一見扉に見えないようになっているという。

何で扉があると気付いたのかを聞いたら、この屋敷は昔から隠れ家として利用されていて、カルツォも使用したことがあったのですって。その後、持ち主が変わった際、隠し扉のことが伝わらなかったため、知っている人間は少ないのだとか。


階段を1段1段降りて行くと、階下の声がはっきり聞こえてくるようになった。


「私、明日も王子殿下にお会いしたいわ!!」

「今から手続きをしても、明日に間に合うということは・・・」

「私がお会いしたいのに、会えないの?何とかしてください、お義父様!!」

「いや、私もそんなにすぐに王子殿下と面会することは出来ないのだよ」

「知らないわ!私はお会いしたいの!!今すぐどうにかしてください!!」


この耳に響く声は、アイリッシュ嬢のものよね?明日もお会いしたいって、今日も会っていたのかしら?

というか、ここは王都の近くなの?

疑問が浮かびまくっている私に、カルツォは丁寧に教えてくれた。ここは、王都からそんなに離れてはいない場所にあること。この声は、この場に本人が居るわけではなく魔法で姿と声を映しているということ。(つまり、バーチャル映像みたいなものね。)

だから、彼女は王都のエンダソンヌ子爵邸に居て、こちらに居る子爵とテレビ電話みたいに会話しているということらしいわ。本当はもっと遠い方が私を隔離するためには良いみたいなのだけれど、彼女と彼の魔力量がそんなに多くないので、あまり遠いとこの連絡方法が使えないんですって。何それ。


「明日もお会いしたいって、ルーの予定はいっぱいのはずなのに、子爵にはそんな予定取り付けられるかしら?」

「まあ、無理だろうね。何たって子爵だから。彼も彼女もその辺の認識が甘いんだよ。計画と一緒だね」


ついつい口から出た独り言にもきちんと答えてくれるカルツォは、意外にもきちんとした性格なのかもしれないわ。

・・・それにしても、ヒロインの性格って、こんなだったかしら?私の知ってるゲームのヒロインは、前向きで健気で一途で、思わず守ってあげたくなるような性格だった気がするのだけれど?

やはり、ゲームとは少しずつ違うのかもしれない。攻略対象の人数の違いだとか、悪役令嬢を誘拐するこの事態だとか、ヒロインの可愛らしくない性格だとか・・・。

とりあえず、早いところ邸に帰らなくちゃ!!

私は気持ちも新たに、繋いでいるカルツォの手をギュッと握りしめた。

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