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46.

「どうやら、術が切れたみたいだ。」


扉に阻まれて声は上手く聞き取れないが、下の方が騒がしい雰囲気が伝わって来る。

何というか、今までは静かだったのに、急に空気がザワザワする感じ。いったい下で何が・・・?


気になった私は、意識を集中して下の気配を探ろうとしたのだけれど、それより先に目の前に居る老年の男性がそう教えてくれた。

どうやら彼は彼の中にあった狂気が無くなったせいで、闇の魔力が使えなくなってしまったらしい。元々闇属性を持っていなかった彼は、闇属性を持つために、自分の相沢さんへの狂気に似た思いを糧としていたらしい。

それがなくなったため、彼にはもはや闇属性は使えず、今までかけていた闇属性の魔法は解けてしまったため、階下が混乱しているそうだ。


「ちなみに、どのような魔法をかけていたんですか?」


後学のために教えてもらおうと聞くと、


「うん。君には必要ないものだよ」


と、バッサリ断られた。くそう。


「あの、姿を変えるのも闇属性の魔法ですか?」


これだけは聞いておかないと!と思って、再度目の前にいるカルツォに聞く。


「君には、この姿と、20代の時の姿と、幼い子供の時の姿を見られているけれど、」


あの爬虫類男と出会ったときにどこかで同じ雰囲気を感じた気がしていたけれど、やはり、私を誘拐しに来た幼い子供も彼だったということね。だから子供にしては禍々しい雰囲気を持っていると思ったのよ。


「これは、私の特技だからね。闇属性の魔法ではないよ」


と、これまたバッサリ。というか、特技で見た目を変えられるって、この人本当に人間なのかしら?

じっとりと不審げに見る私に、カルツォは笑って答えてくれた。


「貴女には必要ないことです。それ以上こちらに深入りしない方が良い。私たちは、もうすぐ貴女の前から消えるのですから。そんなことより、もっと素晴らしい世界を見る方がよっぽど貴女のためにも良い。」


何だか丸め込むみたいな言い方。私はきっちり答えが出る方が好きなのだけれど・・・。


「あ、そうそう。君には謝らなくてはならないことがもう一つ。昔、アイーザの魂を持った人間を一目見たくて、王宮に忍び込んだことがあるんだけれど、隣に見知らぬ男が寝ていてねえ。ついつい殺してしまおうと思って刀を向けたら、まさか君が反撃してくるものだからびっくりしたよ。」


そう、世間話をするかのように話してくれた事実に、私はしばらく呆然としてしまったのだった。

あの日。幼い私が全力で守ったルーに刀を向けた男がまさか目の前に居るなんて!しかも、ルーを殺そうとした理由が私の隣で寝ていたから・・・ですって?国家転覆を狙ってとか、王座を横取りしようとかそういうことではなく、ただ、隣に寝ていたから・・・?

しかも、当時は5歳の子供よ?そんな子供にまで嫉妬するなんて・・・。


「貴方、拗らせすぎじゃない?」


ついつい本音が出てしまっても仕方ないわよね。

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