表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/52

24.風魔法成功…?

「…リーザ、大丈夫?そんなに気になるなら、王太子殿下を引き止めれば良かったでしょう?」


ルーが帰った後も、しばらくぼんやりしていた私は、お母様に目の前で手を振られて、そんなことを言われてしまい、はっと我に返りました。


「い、いいえ!!お母様、そんなことはありませんわ!!帰っていただきたかったのですから、良いのです!!」


いけない!!本を読むはずだったのに、ルーが変なこと言うから!!

そう思い返すと、先ほどの光景がまた浮かんで来ます。

い、いけない!!しっかりしないと!!


「本当に?リーザったら、先ほどから顔が百面相しているわよ?

真っ赤になったり、眉根を寄せてみたり…。」

「何でもありませんわ。私図書館の本を読まなければなりませんの。

中庭に居りますわ!!」


これ以上ここにいたら、お母様に根掘り葉掘り聞かれてしまう可能性が高いので、私は言い逃げして一目散に中庭を目指しました。

私の後ろで「リーザったら、真っ赤になっていたわね。一体何があったのかしら?」というお母様の声が聞こえましたが、聞こえないふりです!

後ろを振り返らずに、目指せ中庭!!


「お嬢様、お待ちください。」


と、思ったのに、後ろにぴったりくっついてきたルドルフにそう言われて、私は「わあ!!」と、間抜けな声を上げて躓いてしまいました。

目の前には良く磨かれた床が!

これは、顔面強打コース一直性でしょうかね?

私は覚悟を決めてギュッと目を瞑り、衝撃に備えます。


「あれ…?」


いつまでたっても衝撃が襲ってこないので、私は恐る恐る目を開けました。


「あ、ありがとう、ルドルフ。」

「いいえ、後ろから声を掛けた私がいけなかったのです。こちらはいかがいたしましょう?」


そう言って、ルドルフが差し出してくれたのは図書館の本!!

お母様から逃げることで精一杯で、本の存在を忘れていましたわ。


「ルドルフ、申し訳ないのだけれど、中庭まで運んでくださる?」

「もちろんです。ですが、お一人では危ないですので、マリーかレイラを傍に置いてください。」

「いいえ、ダメよ。何が起こるか…何も起こらないかもしれないけれど、傍にいたら危険な目に合うかもしれないわ。」

「でしたら、私が…」

「だめよ、ルドルフ。貴方も巻き込まれるかもしれないでしょう?」


ね?

ダメ押しでルドルフに目線を合わせると、渋々ながら「わかりました」と許してくれました。


「お嬢様は、一度決められたことは決してまげませんからね。」


えー。そんなことないと思うのだけれど。


話していると、中庭に到着しました。

ルドルフから本を受け取って中庭の中央に進みます。

中庭と言って良いのかわからないくらい広い庭ですけれど、何かがあったときに被害を出すわけにはいきませんからね。


私は闇の魔法を使用して、私が結界と呼んでいるものを作りました。

結界は、好きな形にできますが、基本的には立方体です。

一人で使うときは専ら立方体ですよ。暑さも高さも広さも好きに変えられますからね。闇魔法を使うことによって、火と水の影響を吸収するはずなので、これで、中で何があっても外には影響はないはずです。


私は結界の中に入って座り、目と指を使って本を読み始めました。


「まず始めに光と闇が生まれた。次に水と火が生まれ、風が出来た。」


右手に火の魔法を集めて、左手に水の魔法を集めます。両手をそーっと近づけていくと両手の間から風が流れてきました。


「わあ!!風が!!」


喜んだのもつかの間、集中力が切れたのか両手の魔法が解けてしまいました。

残念。

…ですが、やはりこの本にこっそり書いてあることは、新しい魔法についてなのかもしれません。

この本を書いた人は誰なのかすごい気になります。なぜ、筆者名が書いてないのか!

そして、何年前のものなのでしょうか。

前のチートさんが書いたりしたものだったら有難いのですけれど。


と、そんなことを考えていたら、月が天頂に来ているではないですか!

いつも寝ている時間ですよ。

夕食が終わってからですから、4、5時間ほど外に居たということになってしまいます!

急いで結界を解いて、本を抱えて部屋に戻らなければ、メイドさんたちも寝られれません!!


「お嬢様。」

「!…マリー。」


結界を解いた途端に聞こえた声に、一瞬ビクリとしてしまったのは仕方がないと思います。気配もなく背後に立たないでいただきたい。


「本を持ちますわ。」

「ありがとう。」

「さ、風邪をひかないうちにお部屋に戻りましょう。」

「ええ。」

「この本は今日借りて来られたものですよね?」

「そうなの。ちょっと気になることがあって。でも、ぼんやりしていたから、まだ数ページしか読めていなくて…。」

「ぼんやり…。あの王太子殿下のせいですね。」

「ちょっと、マリー。ダメよ。「あの」とか「せい」とか言っては。」

「婚約した途端、お嬢さまに付きまとっているではありませんか!」

「付きまとって…って。王太子殿下の前だけではなく、あまり外でも言ってはだめよ。誰が聞いているかわからないし、マリーと離れることになったら寂しいわ。」

「お嬢様…。…わかりました。善処します。」

「善処って…。まあ、今日はもう疲れたから寝ましょう。」

「湯あみの準備は整っておりますわ。」

「ありがとう。では、早く入ってしまわないと、皆眠れないわね。」


そんな話をしながら部屋に戻り、冷えた体をお風呂で温めて髪を乾かしてもらい、ようやく私はベッドに入りました。

明日から少しずつでも調べて、いつか著者がわかると良いなあ。

そこまで考えて私は睡魔に負けました。ぐう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ