表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/52

16.探索

15.で誤記がありました。修正させていただきました。教えてくださった方々、ありがとうございました。

今後もよろしくお願いします。

ひとまず、リビングに移動してソファに座り、私の話を最後まで聞いてくれたルーは、一緒に聞いていたケニーとサインスに小声で何かを話していました。

話し終わると2人が部屋を出て行き、しばらくして、近衛第2隊隊長が王宮魔導士を連れてやって来ました。

ルーは、その王宮魔導士さんに、王宮の結界について異常がなかったか訊ねてくれています。

その間に私の体の震えはなんとか治まってくれました。


「今朝から今まで、王宮の結界に異常はなかったですか?」

「ええ、ありません。」

「長時間でなくても構いません。短時間でも一瞬でも…何かありませんでしたか?」

「いいえ、何もありませんでした。」

「何か些細なことでも…気になることもありませんでしたか?」

「ええ、特には…。」

「誰かが急に王宮にやって来られたとか…」

「ええ、と…正門から入られた人数と正門から帰られた人数、王宮に泊まられた人数は一致しております。」

「…そうですか。」


何も収穫がなくて、私はガッカリしてしまいました。

ですが、王宮魔導士が結界に異常がないと言っている以上、これ以上のことは聞けそうにありませんね。

しかし、近衛第2隊隊長サンの『ほらやはり何もないじゃないか。この小娘の見間違いか、夢でも見たんだろうよ。まったく迷惑な小娘め。』な視線は腹が立ちます。

子供だから分からないとでも思っているのでしょうか?

子供の方がこういう時敏感に気配を判断するものですのに!!


「…あ、そういえば」


これは関係ないと思いますが…そう前置きして、王宮魔導士さんはこう付け加えてくれました。


「本日の王宮は、少し闇の属性が高かったです。」


闇…。あの部屋に急に現れた男は闇属性を持っているということ…?

確か、光と闇の属性を持つ人の割合って、他の属性を持つ人の割合より少なかったはず。しかも、王宮に登録されていない人ってことになるの…かな?

子供か、若しくは魔法を学ばなかったか、王宮に上がらないまま大人になった人…ということ?


…まあ、今は夜ですから闇属性が高くてもおかしくはないのですが。


うっかり考え込んでしまった私には、王宮魔導士さんのその言葉は聞こえませんでした。


「さて、それでは寝室に移動しましょうか?」


そう言って、ルーは私の手を当然のように握ってきます。

私はブランケットを落とさないように押えながら、先ほどまでいた寝室に足を進めました。


「これなのですが…」


そう言って、ルーが示すのは、先ほど確認した掛布団。

そこには鋭利な刃物で切り裂かれたかのような傷が残っています。


「どう思いますか?」

「これは…」

「刃物で切り裂いたように見えますが…?」

「あ、ちなみに私とリーザは刃物など持っていませんよ。寝間着にそのようなものは隠せませんからね。」

「ということは」


―第三者がこの部屋に居たことになる―


そう近衛第2隊長サンも王宮魔導士さんも気付いてくれたようです。


「少し確認させていただいてもよろしいですか?」


王宮魔導士さんが掛布団の傷をじっと見つめます。

そして、


「この裂け目に薄らとですが、闇属性の波動が感じられます。…しかし、この波動は確認してみないと誰のものかわかりません。」


そう王宮魔導士さんが言った後に、


「大変申し訳ありませんでした!!」


近衛第2隊隊長サンの大きな声が響き渡り、一瞬ビクリと体が跳ねました。


「我々が警備していたにも関わらず、このような失態を犯してしまうとは言い訳のしようもありません。

私は、失礼ながらお嬢様が見間違えたか、夢のことだと判断してしまいました。

近衛第2隊隊長として恥ずかしい限りです。

恐らく賊は、廊下から王太子殿下のお部屋に入る入り口は通らず、どこか別の場所から侵入したのではないかと考えられます。しかし、このお部屋には人が通れるような窓はありません。物理的には無理であるため、魔法だと推測されます。

この度の汚名を返上するため、我々近衛が必ず賊を捕らえてみせます!!」


鼻息荒くそれだけ言うと、私とルーに一礼して部屋を飛び出していこうとする。


「あ、少し待ってください。貴方も聞いてください。」


そう言って、近衛第2隊長さんと、王宮魔導士さんに向かってルーが声を掛けました。


「あまり大事にはしないでください。今現在、この王宮に居るのは私の家族とリーザの家族だけでしょう。他の貴族は何も知らせないように、悟らせないように気を付けてください。」

「了解致しました!」


もう一度礼をして、今度こそ近衛第2隊長さんは部屋を出て行きました。

呆気に取られた私に、ルーが苦笑して、「悪い人ではないのですよ。」と言ってくれます。


「我々王宮魔導士も再度結界に異変がないか確認して参ります。」


近衛第2隊隊長サンに感化されたのか、王宮魔導士さんもそう言ってルーに一礼して部屋を出て行きました。


…い、意外と皆サン熱血なんですね…。


私は先ほどまでの認識を改める必要がありそうです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ