表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/52

15.助かりました?

バタバタバタ…と誰かが駆けてくる足音が聞こえてきました。

どうやら私の悲鳴は、部屋の外の大人たちに聞こえたようです。

ガシャガシャいう音は、近衛の鎧の音でしょうか…?


「お、おい!!どうした!?」

「意識があるか確認しろ!」

「大事な仕事中に何という体たらくだ!」

「おい、お前たち!いつまでそうしているつもりだ!!」

「さっさと目を開けないか!!」


ドンドン!


部屋の外が騒がしくなったと思ったら、ドアをノックされました。

あまりにも大きな音で、びっくりしたのですが、先ほどの悲鳴と、ドアのノック音でルーも目が覚めたようです。


…男はいつの間にかいなくなっていました。



「失礼致します。」


「…何だ、騒がしいな。何かあったのか…?」

「ハッ。先ほど、悲鳴が聞こえたため、慌てて駆け付けたところ、部屋の前で警備に当たっていた者たちが倒れておりまして…。」

「悲鳴…?」

「わ、私が上げました!」

「リーザが…?何かあったのですか?」

「お嬢様。火事と聞こえましたが、火はどちらに?」

「火事ではありません。ですが、ただの悲鳴より、火事と言った方が人は集まると聞いたものですから。」

「なぜ悲鳴を上げられたのか、教えていただきたいのですが?」

「…誰かが部屋に居たのです。…光る…多分、短剣のようなものを持っていました。」

「まさか!!お嬢様、ここは王宮ですよ?結界が張ってあります。

誰も侵入できません。まして、この部屋は何重にも警備されています。

…何か怖い夢でもご覧になられたのではないですか?」


…そうか…。子供だから信じてくれないのか。


「では、なぜこの部屋の前に居た方々は倒れていたのでしょうか?」

「それは…。きっと、気が緩んでいて、うっかり眠ってしまったのでしょう。大切な仕事中にけしからんことです。改めて教育しなおさなければなりませんな。」

「それはきっと違います。彼らは、恐らく何かで意識を奪われたのではないでしょうか?」

「お嬢様、お言葉ですが…」

「そうでなければ、2人とも同時に意識を失うはずがありません!それとも、貴方がたは、そのような…気が緩んでいるような人に警備を任せているのですか!?」

「そんなことはありません、我々も彼らもきちんと訓練を受けて」

「では、そのような方々がなぜ2人とも意識を奪われていたのですか?と申し上げているのです!」

「それは…」

「2人とも、落ち着いて。近衛第2隊隊長、今すぐ王宮魔導士を呼んできてください。」


近衛第2隊隊長だったのか…。しまった、プライド高かったりしないだろうか…?

こんな小娘に文句言われて…大人な対応をしてくれることを祈りましょう。


「今晩は、お嬢さん!またお会いしましたね。」

「コイツの言うことは無視して結構です。」


近衛第2隊隊長が部屋から出て行ったのと入れ違いに、鎧を来た騎士様2人が入って来ました。

何これ、デジャヴ!

先日、王宮でルーの場所に案内してくれたチャラ男と真面目さんですよ。


「何だ、貴方たちも当番だったのですか?」

「はい、そうです。王太子殿下。」

「俺はケニーで、こっちの真面目がサインスです。」

「ずいぶん、リーザと仲良くなったのですね?」

「えー?それほどでもありませんよー。ね、お嬢さん。」

「煩い、黙れ。失礼致しました、王太子殿下。後でキツク言っておきますので。」

「ええ。よろしくお願いしますね。」


私は触らぬ神になんとやら…で、とりあえず掛布団を確認することにしました。

今持ってみると、意外と子供の片手では重たくて、よくもまあ、持ち上げられたものです。


そして、何気なく掛布団の表面を見ていると、一部が裂けているのが目に目に入りました。

まさか、あの短剣で…?

今頃になって、やっと体に震えが走りました。

歯は煩いくらいカチカチと音を立て、体全体の震えは抑えられず、目の前の景色が滲みます。


「!?リーザ、大丈夫ですか?」

「お嬢さん、どうしたの?」

「大丈夫ですか?」


震えが止まらない私を、ルーがブランケットで包んでくれました。

そして、


「何があったのか、私に教えてください。」


そう言ってくれたのですよ。

ルーなら、あの隊長のように頭越しに非難しないだろうと判断した私は、昨日の様子を話すことにしました。

ただし、ルーには私のチート能力のことは内緒にしてあるので、そこは気を付けなければいけなかったけれど。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ