白木蓮の下で
「ママぁ~」
庭で娘が大きな声を出している。
やれやれ。今日は何だろう?
綺麗な花でも見つけたのか、それとも珍しい鳥か虫でもいたのか。
「ママ、早く~」
「はいはい、今行くわよ」
ちょうど飾り付けの終えたケーキを冷蔵庫にしまいながら、軽くため息をつく。
まったく誰に似てこんなにお転婆なのかしら。
この前、冬眠中の蛙を持って帰って来た時には、ひっくり返りそうになったわ。
そういえばあなたは昔、蛇を持ってきて私を驚かせた事があったっけ。
まぁ、あれに比べれば全然マシよね。
私がテラスから庭に出ると、娘が駆け寄ってきた。
「ほら、見てママ」
と、一本の木を指差した。
娘が指差す先には、春の陽射しに煌めく白い花が、空に向かって真っ直ぐに咲いている。
白木蓮。
あなたと私の、思い出の花。
あの頃と何も変わらない、白く煌めく花。
ねぇ、あなた
私、幸せよ。
あれから四年。
いろんな事があったけど
私、幸せよ。
この花の下で、あなたに出会えたこと
あなたと笑い会えたこと
いつも優しく抱きしめてくれたこと
あなたを愛したこと
あなたに愛されたこと
最後の日に、あなたの子供を授かったこと・・・
苦しいことも、悲しいこともあったけど、
あなたとの思い出が詰まったこの花と、この子が居るから・・・
いつまでも忘れない
忘れる事なんてできない
私の幸せは、今も変わらずあなたと共にあるもの。
今までも、これからも、
愛しているわ
晃・・・
最後まで読んでくださってありがとうございます。
わかりづらい部分もあったとは思いますが、ニュアンスで感じとってください(笑)




