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『好きに生きるから楽しいのさぁ』☆アウトローズ☆問題児たちに常識を  作者: 夏カボチャ 悠元


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5、バケットの依頼

 アシミーは、本来はソロ冒険者として活動しており、バケットからの長期護衛依頼を受けた。


 雇い主であるバケットは、【魔物使い】という『職業ジョブ持ち』所持者であり、モンスターテイマーだったとアシミーは語った。


 そうして、アシミーが護衛依頼を受けてから、1ヶ月ほどが過ぎた頃、海王類の討伐に同行したアシミーは、シーサーペントの討伐に成功した。


 その際にドロップ品の中に魔玉【水性亜人操作】があり、バケットはスキルの実験台としてアシミーを選んだ。


 強力なスキルであったが、幸いだったのは、術者を殺すことが出来ないかわりに、意思による抵抗は可能であり、基本的な命令も逃げることを禁止するなど、大雑把なものに限られていたことだ。


 そうして、アシミーは、バケットの手下という形で半年近い時間を意思に反して、働かされていた事実をアシミーはネルに告げた。


 ネル「なんか、嫌な話だねぇ……ボクちゃんからしたら、絶対に許せないやぁ〜」


 アシミー「本当にムカついたわよ! 最初は普通の護衛だったけど、スキルを使われてからは、本当に最悪な気分だったのよ!」


 ネル:バケットって、やつは殺すことにして、今のアシミーちゃんが真っ赤で可愛い過ぎるなぁ。


 アシミー:ネルったら、真剣に私の顔を見て、悔しいけど、ネルも怒ってくれてるんだろうな……自分ばっかり、怖がったり、疑ったり本当にダメダメね。


 アシミー「でも、バケットのワイバーンがネルに捕まったおかげで、助かったから、よかったのよ」


 アシミーの話が終わるとネルは真剣な表情で話し出す。


 ネル「なら、まずはボクちゃんが、アシミーちゃんの悩みを1つ消してあげるよぅ」


 ニヤリと満面の笑みを浮かべながら、ネルはそう言葉にすると、アシミーは不安そうな表情を浮かべた。


 アシミー「な、何をする気なのよ?」


 アシミー:まさか、バケットのバカを始末するとか、言わないわよね……流石に殺しなんてバレたら、庇いきれないわよ。


 ネル「あはぁ、ほら、見て〜」


 ネルは【出煙しゅつえん】を発動させて見せると、アシミーの前に【水性亜人操作】の魔玉がそっと置かれる。


 突然の行動に身構えるアシミー、ネルは魔玉に対して、スキル【終煙しゅうえんかい】を発動させる。


 鋭い牙が無数に並んだ生物のような煙が魔玉を口に咥えた瞬間、強固な魔玉が粉々に砕かれていく。


 アシミー「ちょっと、何してるの正気なの! その魔玉がいくらの価値があると思ってるのよ……」


 アシミー:魔玉が砕けるなんて、初めて見たし、なんで砕けるのよ……魔玉は魔石と違って、魔物の魂の結晶体なのに……


 煙に包まれて、粉になった魔玉を見て慌てるアシミーに向けて、ネルが話し掛ける。


 ネル「ボクちゃんからしたら、アシミーちゃんを苦しめるような魔玉なんて、無価値だよ。こんな魔石は見つけ次第、粉々にしないとボクちゃんが安心して、アシミーちゃんを抱きしめられないじゃないかぁ」


 ネル:これはもう、親友になれるよね? 絶対にボクちゃんとアシミーちゃんは運命で繋がった親友なんだ。あはぁ、幸せだよ……アシミーちゃん。


 再度の抱擁、ネルの行動にアシミーが抵抗することはなく、その手をただ受け入れている。


 アシミー「どっちにしても、抱きしめさせないのよ! でも、ありがとうなのよ」


 魔玉【水性亜人操作】を砕いてから、すぐにアシミーの身体が光り出とネルはアシミーを見つめて動きを止める。


 アシミーの八本の頭から生えた触腕髪と桃色の髪、クリクリとしたピンクの瞳にネルは不思議そうに視線を向けていた。


 ネル:うん。最初の見た目となんにも変わってないなぁ? ボクちゃん的には、今の膝の上に座らせられるサイズで一安心しちゃったのは内緒かなぁ〜。


 アシミー:嘘みたいに、力が体内に駆け巡る感覚……や、やっと、解放されたんだ……私。


 アシミー「や、やったのよ! 私の力が完全に戻った……ネルに感謝なのよ!」


 ネル「当たり前じゃないかぁ、ボクちゃんとアシミーちゃんは、もうお友達なんだからさぁ」


 アシミー:いきなり、そんなこと言われても、なんて返したらいいのよ……えっと、あーもう!


 アシミー「……ネル、アナタって友達いないのかしら?」


 アシミー:私の馬鹿ぁ! なんで、さっきの話を聞いた後にこんな言葉しかでないのよぅぅぅ!


 ネル:アシミーちゃんたら、いきなり、ヤキモチ妬いてくれたのかなぁ? ボクちゃんに確認してくるなん、本当に素直なんだからぁ……照れちゃうなぁ。


 不安そうな表情で、言葉を止めたアシミーにネルがニヤリと笑うと、そっと呟いた。


 ネル「いるさぁ、失礼だなぁ! ボクちゃんにはアシミーちゃんがいるんだから、いないわけないじゃないかぁ!」


 アシミー:真顔で言われたら、なんか、なんか……むず痒いのよ!


 アシミー「気が早いのよ、なのよ! パーティーメンバーみたいなものなのよ!」


 アシミー:またやっちゃった……ネルを傷つける気なんかないのに、あぁ……本当に……


 指をネルに向けて、そう宣言するアシミー、ただ、互いに複雑な表情になっていた。

 そんな、ネルはすぐに表情を青ざめさせるとアシミーに問い掛けた。


 ネル:なんでさ、だって、さっき……ボクちゃんと友達だって、仲間って友達だから、なるんだって……なんでさ、なんでなのさぁ!


 ネル「えぇ! ボクちゃんとお友達になってくれないのかぁいぃぃぃ!」


 アシミー:今にも泣きそうな顔でそんな風に言わないでよ。私だって、反省してるんだから、泣かないでよ……


 アシミー「ならないとは言ってないのよ……泣かないでほしいのよ……ただ、そうなのよ! 友達っていうのは時間をかけてなるものなのよ、簡単な友達は裏切るから、信用しないのよ!」


 アシミーは大きく手を動かしながら、ネルの視線を自身へと集中させながら必死に訴えていく。

 そんなアシミーの言葉にネルは静かに呼吸を整えて、視線を合わせる。 


 ネル「ああ……そうだったんだねぇ。ボクちゃんってば、勘違いしてごめんよぅ……アシミーちゃんがボクちゃんを信頼してくれたら、いいだけの話なんだねぇ、よかったよぅ」


 アシミー:なんでネルはそんなに私なんかを信じるのよ……今だって、必死なのはネルの為なのは嘘じゃない、でも、自分の為でもあるのよ……


 ネル:ボクちゃんの中では、仲間はお友達だと思ってたけど、アシミーちゃんは少し違うみたいなのは、残念だなぁ。でも、友達はすぐになったらダメなんだって、教えて貰っちゃった〜。


 アシミー「い、言っておくのよ! わ、私は簡単に信用とかはしないのよ、期待したらダメなのよ……でも、ネルは、その……信じなくもないというか……とにかく、時間が掛かるのよ」


 ネル「大丈夫さぁ、だって、ボクちゃんはアシミーちゃんを信用してるから、あと少しの我慢さぁ」


 ネル:アシミーちゃんはきっと、素直さんじゃないんだなぁ? でも、ボクちゃんを嫌いなら、きっと……他の人みたいに、きれいごとを言って騙して、刃物を突きつけるから、きっと違うよね。


 ネル:だって、仲間は友達の始まりなんだもんねぇ。ボクちゃん達は、パーティーになることになったんだもん。


 2人は最初に何をするかを話し合うことに決め、ただ、静かに会話をしていく。

 多少ぎこちないアシミーに対して、楽しそうに会話をするネル。

 方や亜人で、方や魔女と呼ばれる2人だけの時間、どちらが何を考え、何を思うのか、互いが知らないままに時間だけが過ぎていった。


 アシミー「ネル……こんな話をしてごめんね……私がバケットに騙された話なんて馬鹿みたいよね」


 ネル「そんなことないさぁ、それに騙されるやつが悪いなんて、ボクちゃんは絶対に認めないしさぁ、だからアシミーちゃんは、悪くないさぁ」


 ネル:初めての経験だった。ずっと、利用されてきた、ボクちゃんは、仲間なんて言われたこともなかったし、名前を素直に呼ばれたこともなかった……

 そんなボクちゃんの名前をアシミーちゃんが呼んでくれた。それだけでボクちゃんは興奮してしまうんだよ……


 アシミー:優しくされたら、泣きたくなるじゃないのよ。ずっと、ネルをヤバい奴かもって思ってたのに……自分が嫌になるじゃない。


 膝を抱えて、顔を隠すアシミーを見て、ネルは小さく呟いた。


 ネル「大丈夫だよ。ボクちゃんは絶対にアシミーちゃんを裏切らないからね」


 アシミー「うぅぅ、ネル……ありがとう」


 アシミー:ネルは暖かいよ。誰よ、ネルが危ないとか、冷酷なんて言ってたやつ、暴力的だけど、誰よりも優しいじゃない……


 ネル:だからまかせて、アシミーちゃんを傷つけたバケットは、必ず八つ裂きにして、骨も粉々にして、生きたまま……はらわたを魔物の餌にしてやらないと気が収まらないやぁ……


 ベスパの森で2人が話し合って決まったのは、バケットに対する仕返しだった。

読んでくださりありがとうございます。


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