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『好きに生きるから楽しいのさぁ』☆アウトローズ☆問題児たちに常識を  作者: 夏カボチャ 悠元


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3、煙の魔女とベスパの森へ

 街の外に向かうことが分かると、アシミーは再度、抵抗するが、ネルは自身のスキル【煙縄もくなわ】を発動させていく。


 スキル発動と同時に、ネルの指先から煙が作り出され、一瞬で縄のように纏まるとアシミーの腕を縛り上げ、その後は綿状の煙が広がり、頭以外のすべてが包まれた状態になる。


 アシミー「なんなのよ、この芋虫キャタピラーみたいになるスキル! もうぅぅぅ!」


 アシミー:外せないし、逃げられないし……何処に行く気なのよ……なんでこんなことになってるのよ!


 ネル:あらあら、賑やかだなぁ、痛みも与えないし、柔らかな煙で全身を包み込むから、持ち運びに便利なスキルの1つなのさぁ。


 ネル「ごめんよぅ、アシミーちゃんが逃げたらって考えたら、ボクちゃん……頭だけにしてでも連れていきたくなっちゃうからさぁ……」


 アシミー:待ってよ……こいつ、何言ってるのよ……頭だけって、嘘でしょ、嘘よね?


 移動する2人には確実に認識のズレが存在していたが、それを両者が分かり合うことはなかった。


 ネル:移動しながら思ったことを伝えたら、アシミーちゃんが静かになったなぁ……やっぱり気持ちは通じるんだなぁ。ボクちゃんが素直だからだよねぇ。


 ネル:嘘のない言葉は相手に響くって聞いたことがあるけど、実際にボクちゃんの気持ちが届いたんだと思うと嬉しくて仕方ないじゃないかぁ。


 アシミー「どこに行くのよ……ねぇ、なんで『グラード』の外に向かってるのよ」


 アシミー:待ってよ、もしかして、私……ワイバーンみたいに何かの餌にされるの、いやよ、いやいや!


 ネル:ボクちゃん達がグラードの街から出る理由なんて1つしかないのにさぁ? ただ、すごく騒ぐから、口元にも【煙縄もくなわ】を伸ばしておかないと、喧嘩してるみたいに見えちゃうもんねぇ。


 アシミー「むぐっむうぅぅぅ!」


 アシミー:いやぁぁ! 誰か、お願いだから、こいつを止めてよ! 私、こいつに攫われてるのよぅぅぅぅ!


 ネルにより、全身を完全に煙の袋に包まれたアシミー、しかし、そんなネルの歩みが停止する。


 門番「やあ、ネルじゃないか? 街の外に行くのか? 朝戻ってきたばかりじゃないか」


 ネル「あはぁ、今からお出かけなんだよねぇ。楽しくて、ボクちゃんはルンルンなのさぁ〜」


 門番「そうたいだな。その袋? というか、煙の塊は……いや、いい……気をつけてな」


 ネル「ありがとうねぇ。門番ちゃんもお仕事頑張って〜またねぇ」


 アシミー:なんで、調べないのよ! お願いよ! 声も出せないし、動けないのよ。


 ネル:移動中もアシミーちゃんが静かだったからかなぁ、門番ちゃんには、いつもの魔物が入った状態の【煙縄もくなわ】だと思われたみたいだねぇ。


 ネル「前は毎回、中身を確認されていたけど、魔物の肉片とか、頭なんかを入れてたら、確認されなくなったんだよねぇ……まったく、調べないなんて、ダメダメだよねぇ……」


 門番の職務怠慢もあり、ネルは無事にアシミーを連れてグラードの街から出るとその足で、『ベスパの森』へと向かっていく。


 ベスパの森──巨大な蜂型の魔物“キラービーナ”が巣を作り、冒険者でも、クエスト以外では近づかない場所になっている。そんな危険な森だが、グラードの名産である蜂蜜を採取するためには必要な場所としても、冒険者からは認識されている。


 ネル:誰も来ないだろうし、2人きりでゆっくりお喋りするならもってこいじゃないかぁ。


 ネル「はい、到着! ボクちゃんのお気に入りの蜂蜜園だよぅ〜! アシミーちゃんにだけ、特別にご案な〜い!」


 【煙縄もくなわ】が解除され、アシミーを地面に座らせる。


 アシミー:なんで、ベスパの森なのよ……しかも、かなり深い位置だって、見ただけでわかるし……


 ネル:この場所には、最高に美味しい蜂蜜が採取できるから、デザートとして食べながら、2人きりの女子会を楽しまないとねぇ。


 アシミー「ぷはぁっ……な、なんで! キラービーナの巣穴なんかに連れてきたのよ……まさか、私もワイバーンみたいに魔物の餌にする気なの……」


 アシミー:今の私じゃ、キラービーナでも、手に余るってのに、本当に……なんなのよ。


 ネル「え? 違うよぅ。お、落ち着いておくれよ〜! ボクちゃんはアシミーちゃんと仲良くだねぇ」


 ブウゥゥゥン!

 ジジジ……!

 ギギギ……!


 会話を中断させるように、複数の羽音が迫ってくる。不快なその音は、キラービーナが発する羽音と強靭きょうじんあごを打ち鳴らす音だった。


 ネル「あはぁ! 待ってておくれよ〜ボクちゃんが最高の蜂蜜を食べさせてあげるからさぁ」


 ネル:普段なら、別にバラバラにしたりしないけど、今のボクちゃんを邪魔するような、お邪魔虫は間違いなく、害虫だよねぇ!



 不規則な動きでネル達に迫るキラービーナの群れが威嚇するようにあごを打ち鳴らす。


 蜂の巣を巻き込まないように移動するネルは、キラービーナの群れがアシミーを標的にしないように【煙幕えんまく】を発動させる。


 ネル:淑女しゅくじょのボクちゃんは、ちゃんとアシミーちゃんを守らないとねぇ。


 【煙幕えんまく】により、視界を失ったキラービーナ達は標的をネルへと変更する。

 取り囲むように集まるキラービーナ達は未だに気づいていなかった。

 狩る側として存在してきた本能がそれを意識させなかった。おびき寄せられているのが、どちらなのか、狩られる側がどちらなのか──


 すべてのキラービーナが巣の周囲から離れたことを確認したネルは微かに笑みを浮かべるとスキルを発動する。


 ネル「さぁ! 今から始まる惨劇は、君達の参加型だよ!【炎煙えんもく】!【煙撃えんげき】!【壊煙かいえん】!」


 【炎煙えんもく】──灼熱に染まった真っ赤な煙が前方に飛んでいるキラービーナを包み込んでいく。

 羽が焼かれて、落下したキラービーナ達が次第に燃え上がり、黒く焼かれ灰に変わる。


 灼熱の煙が周囲を包み込み、逃げ場を失ったことで、上に逃げる他ないキラービーナ達に向かって、【煙撃えんげき】──煙の刃が襲いかかる。


 天から降り注ぐ、煙の刃はキラービーナ達の強靭な外殻がいかくを容易く貫通した。地面がぜると同時に残痕を刻みつけていく。


 そして、ネルは最後に大きく両手を広げ、満面の笑みを浮かべると【壊煙かいえん】──黒煙こくえんが発動され、すべてを飲み込むようにキラービーナ達を包み込む。


 ネル「ボクちゃんの3スキルのお代は、キラービーナ《君達》の魂でお支払い〜、アンコールは残念ながら、ありませ〜ん」


 すべての炎とキラービーナ達の残骸が黒煙と共に消え去り、それと同時に大空からの光が木々を避けて降り注ぐ。


 スポットライトを浴びるように照らされた太陽の光、ネルはアシミーに振り向くと自身の胸に片手を移動させて頭を下げて見せた。


 ネルを見つめたまま、固まるアシミーは、ただ沈黙していた。


 ネル:あれ〜? 拍手はなしかぁ……やっぱりもっと派手にやるべきだったのかなぁ?


 頭を上げたネルは、沈黙から諦めた表情を浮かべたアシミーを目の当たりにして、首を傾げていた。

読んでくださりありがとうございます。


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