第八章 友達の家庭訪問(2)
「そーちゃんはね」
不満そうにしているかれんを見て真由は微笑んだ。
「いつも私やお腹の子供を大切にしてくれるの」
真由はかれんをじっと見つめて微笑む。
本当に幸せそうな顔を見てかれんはドキドキした。
あの日以来、真由は泣いていたり不安そうな表情を常にしていたイメージがあった。
もう二度と真由の幸せな顔を見る事はない。
そんな風にまで考えさせる出来事だった、拓海の死。
結婚も半ば諦めた、と思っていたのに。
今の真由は幸せそのものだった。
かれんは少しホッとするのと同時に話がすり替えられている事に気が付く。
「真由!!話が違う!!私が聞きたいのは…」
「バレた?」
真由は舌を出すと声を立てて笑った。
「どうしてそんな事を聞くの?」
真由が逆に質問する。
かれんは少し恥ずかしそうに笑って
「だって…あんなに柏原くんの事が好きだったのに、簡単に出来るのかなあって。
更にお腹には子供もいるのに」
かれんは腑に落ちない。
真由がどれだけ拓海を好きだったか。
また拓海も…
それを考えると総一と真由の肉体関係なんて考えられないのだ。
真由はまだ迷っていた。
総一との話はあまり話したくない。
確かに拓海は大好き…だった。
今でも好きだろうとは思う。
でも総一は…
それ以上の…