第四章 桜の花が咲く頃に(5)
いちゃいちゃしてます。
苦手な方は飛ばしてくださいm(__)m
ホテルに行くと真由は疲れたのかテレビを付けたまま、ぼんやりとベッドで横になっていた。
総一はその隣で真由の様子を見るかのように添い寝をしている。
時刻は午後9時を過ぎた所だ。
「あのさ」
総一は真由に確認したい事がある。
「さっき、言ってた事は本当?」
総一の穏やかな声が真由の耳には心地良い。
「何の事?」
なんとなく、真由はわかっていたけど、わざと聞いてみる。
「俺の事、大好きって」
普段の総一では絶対に見られない様子に真由は少し興奮する。
まず、こんな事も聞かない。
10歳も年上の人がこんなに可愛く思えるなんて…
また、更に好きになってしまう。
「うん」
真由は頷いて微笑むと
「大好きだよ」
その言葉を真由が言い終わらないうちに総一は真由の唇にキスをした。
何度も重なり合う唇。
一瞬、総一は唇を離して真由の耳にそっと
「俺も好きだよ」
そう囁いてそのまま真由の耳たぶにキスをした。
そしてお互い、見つめ合うと優しい目と安堵に溢れた目が重なり合った。
言葉には出来ないくらい、穏やかな空気が二人の間を流れている。
触れる肌、重なる呼吸。
「やっと…真由を手に入れた気がする」
総一はギュッ、と真由を抱きしめる。
真由もこの時を待っていた。
ずっと悪阻が酷くて、総一には迷惑を掛けまくり。
一度途中まで良い感じに進んでいたのに吐き気に負けて以来、総一は抱きしめてくれる事はあってもそれ以上はなかった。
このまま、子供を産むまで…夫婦として愛を確認することはないのかな…
なんて、絶望感に見舞われていたけれど。
あの告白が二人を後押ししたならば、満には感謝しなくてはならない。
今日は幸い、悪阻も治まっていた。
いや、ここ数日は割と楽に過ごせている。
神様、どうか私とそーちゃんにチャンスを下さい!!
内心、ドキドキしながら祈っていた。
総一も真由が最近、悪阻で苦しんでいない事には気がついていた。
このままでもそれはそれで構わない、とは思った。
けれど…今月末には結婚式がある。
それまでにはある程度、親密度を上げておきたかった。
「真由、いい…?」
熱を帯びたその声に真由は頷く。
この夜、二人は何度も愛し合い、絆を深めた。
「そーちゃん、レース大丈夫なの?」
窓の外が少しずつ明るくなってきて、総一の腕の中にいる真由が聞く。
「大丈夫、真由がいてくれたら…」
総一は照れ笑いをして天井を見つめた。
今日は大丈夫。
何の根拠もないけれど、そう思った。