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第三章 短い同棲生活(7)

「早急に式場を取ろう。

…そうだ」


総一は真っすぐ家には帰らずにデパートへ行こう、と言う。


「どうしたの?」


真由は総一の顔を覗き込む。


総一はニッコリ笑うと


「指輪、買いに行こう」


そして、車内とはいえ、白昼堂々と総一は真由の頬にキスをした。


真由は信じられない、という顔で総一を見つめる。


「…嫌、だった?」


真由は首を横に振る。


「…もっと、して欲しい」


今度は総一が目を丸くする。


「そーちゃんの大切な人っていう、何かが欲しい。

…沙織さんが入る隙がないくらいの」


「そんな事を言ったら…」


総一は左手で真由の手を握った。


その感触がお互いにとって堪らなく愛しい。


「真由が後悔するくらい、俺は止められなくなるかも」


お互いを見つめる目には確かに愛情が芽生えていた。



初めてのデート、とでもいうべきこの日。


検診に行って沙織と偶然会ってへこんだけれど、真由にとってその後は楽しいものだった。




「どれがいい?」


総一はデパートでたくさんのメーカーを前に真由に言う。


「好きなブランドでいいよ」


「えっ…でも」


突然の話だし、そんなに総一の稼ぎだって多くないのは真由にもわかっている。


多分、この辺りが妥当かも…


総一の手を引っ張って訪れたのは4℃だった。


そして出来るだけ価格の安いシンプルなものを選んだ。


「それでいいの?」


総一は真由が遠慮していると思ったので確認すると


「シンプルな方がいいから」


とすぐに決めた。




式場もそのままそのデパートのブライダルサロンで押さえる。


たまたま4月の最終日曜日が空いていたのでそれにした。


最終日曜日なら総一の出るレースとも重ならない。


あとは真由の両親と総一の父親。


賢司達に話をして都合をつけてもらう。




「何だか不思議」


一通り終わるともう時刻は午後6時を過ぎていた。


このまま帰るのも勿体ないので食事をして帰る事になった。


真由は総一の顔を見て微笑むと


「何だか自分でもわからないくらい早いスピードでいろんな事が決まっていく」


「それは俺も同じだよ」


総一はテーブルの上に置かれていた真由の手を握りしめた。


「不安になったら…いつでも言って。

出来るだけ話は聞くし、お互い無理しないようにしたいから」


真由は本当に嬉しそうな顔をして頷いた。



「あ、ごめん」


車を出してから総一は再び停車した。


「少しでいいから、待ってくれる?」


そう言うと再びデパートに行って数分で戻ってきた。


「どうしたの?」


真由が聞くと


「ちょっと忘れ物」


そう言って真由の唇にキスをした。


「もー、そーちゃん!!」


真由は顔を赤くして


「人前でキスしたら恥ずかしい」


今日、2回目のキスも人が通っているすぐ際だったので真由は抗議すると


「ごめん、じゃあ、続きは家で…」


総一がクスクス笑いながら言う。




家で…という事はいよいよ!!


真由はドキドキしながら俯いた。



家に着くともう8時を過ぎていた。


結局、一日かがりになってしまって申し訳ないと真由は思う。


「ごめん、ちょっと走ってくるから先にお風呂、入ってて」


休みといえども、トレーニングは欠かせない。


総一は服を着替えると足早に出て行った。





真由は総一に言われたように先にゆっくりとお風呂に入った。


少し前に出てきた…と思われるお腹を触る。




きっとそーちゃんはあなたにとって素敵なパパになると思うよ…




どことなく冷たい印象が強い総一だったけれど、今ではそんな事は一切思わなくなった。


きっかけは良いとは言えない。


けれど…


間違いない。


目の表情や態度を見ていると、真由の事を好きだ。


もちろん真由も。


頼れる人から愛してる人へ。


少しずつ近付いている。


真由は思わず自分の体を抱きしめた。


総一の事を…たまらなく好きになっている。


考えただけでドキドキする。


今日のキスは人前だから嫌だったけど。


二人きりならもっとして欲しい。


そして、それ以上の事も…




想像して、顔を真っ赤にした真由は思わずバシャバシャと湯を叩いた。

次はいよいよ…


長々と引っ張ってすみませんm(__)m


この二人は曖昧な煮え切らない二人なのです。

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