第三章 短い同棲生活(6)
いつも読んでくださってありがとうございまーすm(__)m
いよいよ核心に迫っていきます!!
お付き合いいただけたら幸いです!!
同棲して2週間が経った。
真由は妊娠4ヶ月になり、お腹も少し膨らんできた。
最初は毎晩寝ながら泣いていた真由だけど、その度に総一が真由の涙を拭いていた。
少しずつそれは良くなり今では気持ち良く目覚めている事が多い。
「じゃあ、行こうっか」
毎週水曜日は定休日なので、この日に検診を入れて一緒に病院に行った。
マンションの階段を降りる時も手を繋いで降りる。
「あら、門真さん」
1階の管理人が声を掛ける。
「彼女?それとも奥さん?」
その発言に真由は耳まで真っ赤になるけど、総一は淡々と
「またそのうち、お知らせします」
少し微笑んで上手く交わした。
車で病院へ向かう。
隣に内科と外科も併設されているので割と人が多い。
ただ、この辺りは…
総一は嫌な予感がしていた。
「あ、総一…?」
後ろから声が聞こえて総一は思わずため息をついた。
ゆっくりと振り返る。
真由も振り返るとそこには沙織がいた。
沙織は一瞬、驚いた様子で交互に総一と真由の顔を見つめた。
「先、行ってて…」
総一は真由の肩をポン、と叩いて押し出した。
真由は頷いて病院に入ったけど、不安で仕方がなかった。
振り返りたい、けど振り返られない。
真由は真っすぐ受付に向かった。胸が裂けそうなくらい、不安が押し寄せていた。
真由が診察を終えて外に出ると総一と沙織はまだ話をしていた。
その表情は真剣そのもので近付けない。
まだ…まだ、続いていたのかな…
真由は建物の影に隠れて肩を震わせた。
話を聞くつもりはなかったけど、聞いてしまった。
「総一はそれでいいの?」
沙織の口調は少しイラついていて、怒りの感情も込められていた。
「決めた事だから」
総一の顔色は何ひとつ変わらない。
「あなたの子供じゃないのよ」
その言葉が真由の胸に突き刺さる。
そう、お腹の子供は総一の子供ではない。
後ろめたい。
「…拓海の子供が他の知らない奴の子供になるよりはずっとマシだし。
それに今は拓海の子供なんて、思ってない。
…俺の子供だよ。間違いなく、俺が父親になるんだ」
真由は下を向いて歯を食いしばる。
そんな総一の想いが真由を守ってくれている。
頬を涙が伝った。
「そんなの、おかしいよ。どうかしてる」
沙織は泣きそうな声を出した。
まだ沙織の中で総一は大切な存在なのだろう。
けれど総一はもう沙織に気持ちなんてない。
真由はどうしていいのかわからない。
自分の存在さえなければ…沙織は総一とまた元の鞘に戻ったのではないか。
自分がそこまで総一を愛してるのかといえば。
わからない…
「沙織」
総一は言葉を強めた。
「もう、お前とは10年も前に終わっているんだよ。
色々関わる機会が多いからそんな感じがしないだけで。
もし、お前とあのまま付き合っていても、俺はお前を支えきれないし、お前も俺を支えきれない。
いい加減、俺を忘れてあいつだけを見てやれよ」
総一は言い放つと真由が隠れている場所に向かった。
沙織と話し込んでいてものの真由が出て来て隠れたのはしっかり見えていた。
「ごめん」
総一は肩を震わせて泣いている真由をしっかりと抱きしめた。
初めて、あの狭いベッド以外で真由を抱きしめる。
真由の柔らかい香りが総一に移る。
「結婚しよう」
総一の中でこの後の一生を一緒に過ごして行くのは真由しかいない。
そう思っていた。
真由は総一の胸に顔を押し付けて声を殺して泣いている。「沙織と俺は完全に終わってるよ。
気にしないで」
ようやく落ち着いた真由を車に乗せて総一は淡々と言った。
真由は頷くけど…
沙織の未練たっぷりな様子を見ていると不安になる。
「もう、誰にも邪魔されたくない。
俺は真由と結婚したい」
信号待ちの時に総一は助手席の真由を見つめた。
「そーちゃん」
真由も総一を見つめる。
お互いが目をしっかりと見つめると真由はゆっくりと口を開いて
「私をもらって下さい」