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第三章 短い同棲生活(2)

「遠慮はいらない」




そう真由に言った総一だけど…


「そーちゃん、そこじゃあ、まともに寝られないよ?」


総一はまたベッドの下にシーツを敷いていた。


「うん、ベッド狭いし、いきなり一緒に寝るのはさすがに嫌でしょ?」


総一は苦笑いをしてシーツを敷く手を止めない。


さすがに…まだ心の準備も出来ていない。


戸惑いが大きすぎてどうしていいのかわからない。




「一緒でいいよ。結婚前提なのに、一緒に寝ないなんて、嫌だ」


真由は真っすぐ総一を見つめている。




覚悟なんて。


付き合おう、と総一が言った時から出来ていた。




「でも…」


総一は困惑した表情で真由を見つめた。




いくら結婚前提でも。


総一の心には拓海がいる。


『遠慮』という言葉がちらつく。




戸惑う総一を無視して真由はその腕を掴んだ。


そしてベッドに先に座り込むと総一の腕をおもいっきり引っ張った。


その反動で総一はベッドに倒れ込んでしまう。




「…ダメだよ、真由」


口ではそう言うが、総一は少し諦めた様子でベッドの端に寝転ぶ。


真由はそれを見てわずかに微笑むと


「そーちゃんは私の事、嫌?」


真由も反対側に寝転ぶ。


お互いの目線が絡む。


「嫌とかそんな事じゃなくて…」


「おやすみ!」


真由は総一の唇に人差し指を当てて黙らせた。


そしてとっとと目を閉じる。



全く…強引だよ。




総一はため息まじりに立ち上がると部屋の明かりを消した。


そして元の場所に寝転ぶ。


…ダメ。


どうしても…この狭いシングルベッドでは真由に触れてしまう。




「寝られる?」


総一の問いに真由は頷いた。




総一は戸惑いながら真由の背中に手を回して


「嫌ならすぐに言って」


と小さい声で囁く。


「大丈夫」


真由はすぐ目の前にいる総一に微笑む。



「…泣いたら、ごめんね」


真由はそう言って目を閉じた。


その肩がわずかに震えている。




まだ…拓海の事が自分の中で大半を占めているんだな…


総一は回した手に力を入れた。


多分、毎日一人でいると泣いていたのだろう。




総一はどれだけ拓海が真由を好きだったか、それは知っている。


真由もまた、拓海の事を誰よりも好きだったのだろう。




それを考えると胸が張り裂けそうだ。



自分が拓海の代わりにはとてもじゃないけれどなる事が出来ない。


けれど…


真由の事は守りたい。


そしてお腹の子供も。


真由は不思議とそんな風に思わせる。




目を閉じた真由の顔を見つめる。


綺麗に整ったパーツ。


身長も170センチあり、数センチしか総一と変わらない。


モデルのような真由。






…ヤバイ。


段々総一の本能が目覚めてくる。




総一も目を閉じた。


そして別の事を考える。




まだ…今はダメだから。


頼むから収まってくれ…






総一の葛藤が続いた。

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