とうとう来た!
「おはようございます!」
2年F組の特別学習つまり蒲生と生谷による「社会人による職業体験」の講演当日の、朝のホームルームが始まった。
「いよいよ、警視庁捜査一課付き特別班の刑事さんと、非公認宗教団体の教祖さんによるダブルキャスト講演の日がきました」
岳間が首からホイッスルをぶら下げている事を、不思議に思った男子生徒が挙手した。
「阿岐さん、なんでしょうか?」
「先生は社会科の担当なのに、なんで笛なんかふらさげてるんですか?」
「皆さんの質問が不適切か否かを判断するためです!」
阿岐は周りの生徒に「俺ら信用ねえのかよ?」とつぶやいた。
「では、5時限目の特別学習で会いましょう!」
岳間は別のクラスの授業に向かった。
「阿岐、くれぐれも変な質問しないでよ!」
美沙は阿岐に詰め寄ると別の教師が教室に入ってきた。
「浅間、授業始めるぞ。席に着きなさい」
美沙は「なんで私が怒られなきゃいけないのよ!」と智奈に愚痴をこぼして席に戻った。
「ここが美沙ちゃん達が通う高校か」
正午前、都立津國川高校の受付窓口に蒲生の姿があった。
「あ、蒲生刑事ですか?」
声をかけてきたのは岳間である。
「もしかして岳間先生ですか?」
「はい、今日はよろしくお願いします」
岳間が一礼して靴箱を提示すると、蒲生はスリッパに替えて彼に続いた。
「おやぬし様はすでにお見えになっています」
「そうですか?」
蒲生は岳間が「おやぬし様」と言う通称を知っていることに首を傾げた。
「こちらの控室をお使いください」
岳間は第二面談室へと蒲生を案内すると職員室へと戻った。
「お、蒲生君!」
生谷は図書室で借りた「18歳までに知っておきたい! 世界三大宗教」に目を通していた。
「おやぬし様、お早いお着きだな」
「三十分前に着いた。今回は何事も無いことを祈願してきたよ」
蒲生は生谷から少し離れた席に着いた。
「良寛さんについて教えてはやらないの?」
「興味があれば検索するだろう。まずは何故宗教が出来たかを知るほうが先だ」
「流石はおやぬし様だ」
「君は性風俗店について講義するのかね?」
「オバちゃんからきつく止められてるよ」
生谷は「流石はその子さんだ」と読書を続けた。
「御二方、5時限目になったらご案内しますので」
岳間が第二面談室に顔を出した。
「あの、5時限目って何時からですか?」
「午後1時10分からです。お手洗いは出て左の職員用をお使いください」
岳間は第二面談室を出て喫煙ルームへと入り、タバコに火をつけた。
「とうとう来た!」
いつもご愛読いただき、ありがとうございます!
智奈と美沙が通う高校に蒲生と生谷がやってきました。
次回、いよいよ蒲生と生谷の講演と相成ります。
さてさて、今時? の高校生達に蒲生と生谷の講演は刺さるのか?
では、乞う御期待!




