アンタらのネタ、いいよね?
都立津國川高校近くのファストフード店で智奈はストロベリーラテを美沙はマロンラテを飲みながら、蒲生と生谷との共同講義について話し合っていた。
「岳間先生がおやもとに行ってきて、校長に講演の許可を取り付けたのは良いけど」
「美沙、何が不安なの?」
「ホームレス教祖って」
「今更? 腹くくんなよ」
「良寛さんの事、どれだけ知ってるかなあって」
「検索してもらえば良いじゃん! 他に誰も講師探すって言わなかったんだから、文句は受け付けないスタンスでいくよ!」
智奈は美沙から視線を外して手を振った。
「えっ? 誰か来た?」
智奈達のテーブルに近づいてきたのは二年E組の甘木弥恵である。
「隣、いい?」
「いいけど」
「じゃ」
弥恵は着席するなりコーラLサイズをゴクゴク飲んだ。
「そんなノド乾いてたんだ?」
「アンタ達に聞きたい事があって」
「それで急いできたの?」
「アンタらのネタ、いいよね?」
「はあっ?」
智奈と美沙は首を傾げた。
「エロ刑事とホームレス教祖でしょ? ウケるんだけど」
「E組は町工場の職人さん呼ぶんでしょ? かっけぇじゃん!」
智奈はE組の他の生徒から聞いて「そっちも良いな」と思っていた。
「アンタは誰がよかったのよ?」
「声優さんとかユーチューバーとか」
「ふ〜ん」
美沙は「私もそっちが良かったな」とマロンラテを半分ほど飲んだ。
「どうやってエロ刑事とホームレス教祖と知り合ったの?」
「御仏の御心だよ!」
「ミホトケ? ミココロ? ゲームのキャラ?」
智奈と美沙は顔を見合わせて首を傾げた。
「ま、ウチのクラスの特別講演の動画を楽しみにしててよ」
智奈は弥恵の肩を叩いてストロベリーラテを飲み干した。
「美沙、先帰るね」
智奈は美沙と弥恵に手を振って退店した。
「いいの? 帰っちゃったよ」
「別にいいよ。それよりさ、良寛さんって知ってる?」
「リョーカン? ゲームのキャラ?」
美沙は1枚のルーズリーフに「良寛」と書いて弥恵に渡した。
「それ検索してみて」
美沙もマロンラテを飲み干して退店した。
いつもご愛読いただき、ありがとうございます!
いつも一緒にいる智奈と美沙ですが、ベタベタしている訳では無いところを描きました。
戸惑いながらも行動に移す智奈と美沙に対し、何も行動しない弥恵との対比を楽しんでいただけたら幸いです。
では、次回も乞う御期待!




