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ショートショート10月〜4回目

美味しいお茶を、心ゆくまで

作者: たかさば

さあ、お茶の時間になりました。


とびきり美味しい、お茶を淹れましょう。


海の向こうから仕入れた葉っぱを、お気に入りのスプーンでそっとすくって…ふふ、良い匂い。

お気に入りの茶器に…さらさらと入れましょう。

沸かしたてのお湯を注いで、しばらく待つわよ?


いち、に、さん……、……31,32,33。

このお茶はね、33秒数えて注ぐと、一番おいしいの。


……うん、いい香り。


このままいただくのもいいけれど、今日はとびきり贅沢をしようと決めているのよ。

とびきりスペシャルなお茶の時間にするってね!


つい先日、お砂糖の名産地から取り寄せた…最高級のデザインシュガーが届いたの!

ドロップ型、さいころ型、フラワー型…まるで宝石みたいな、お砂糖の芸術品なのよ!


見ているだけでうっとりする、とびきり贅沢なお砂糖……。

口にいれたら幸せが大爆発する、とびきり贅沢なお砂糖……。


ああ、楽しみで……たまらない!


淹れたての熱いお茶に、お砂糖の塊を一つ…落とすわよ。


少しずつ溶けて無くなるお砂糖の姿に、儚さを感じる……。

スプーンでクルクルと回すと、スゥっとお茶に混じる様子に…調和を感じる。


ほのかに甘いお茶をいただくと…おだやかな気持ちになるの。

かすかに甘いお茶を飲み干すと…欲張りな心が顔を出す……。


……もう一杯、いただきましょう。


2回目のお茶は、10秒で注ぐといいのよ。

茶葉がふやけているから、急いでお湯を注がないと…渋みが出てしまうの。


少しお茶の香りが薄いから、お砂糖を多めに入れましょう。


崩れて混じる、お砂糖が愛おしい……。

クルクルとスプーンを回して、唇を寄せる……。


ああ、心地の良い……甘さ。

つい……一気に飲み干してしまったわ?


……はずかしいこと。


火照る頬を少し押さえながら…追加のお湯を沸かしましょう。


お茶は、三杯目までは美味しく楽しめるのよ?

最後までキチンといただかなくては……もったいないもの。


三杯目のお茶は、じっくり時間をおいてからカップに注ぐのよ。

やさしい香りと、茶葉のほのかな存在感がたまらなく愛おしい……。


たっぷりお砂糖を入れて、デザート感覚で楽しみましょう。


ひとつ、ふたつ、みっつ……。

ふふ、お砂糖がカップの中で…窮屈そう。


スプーンをそっと入れて…隙間をくすぐってあげましょうね。

クルクル回してあげたら、みんなで仲良くお茶に混じる事ができるはず……。


あらやだ、お砂糖が……溶け切らないわ?


カップの底に集まる、お砂糖の粒がキラキラしていて、とっても……キレイ。


お砂糖をもてあますお茶……ステキじゃない?


私、お砂糖が……大好きなのよね。

私、これくらい甘くないと、満足できないのよね。


溶けてなくなるところも素敵だけど、ばっちり自己主張するお砂糖も……たまらなく好きなの。


ああ……、お茶の時間が終わってしまったわ。


また明日……、お茶を楽しむことにしましょう。


……ごちそうさまでした。

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