表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

和風ファンタジー&現代恋愛

体育祭を明日に控えて、大ピンチな僕の話!

 現実離れした状況に、どう対応したらよいか。


 僕は困っていた。


 僕の右前には、"砂の妖精"を名乗る怪しい小人(こびと)。が、袋を背負い()している。

 そして左前には、その砂の妖精によって眠らされた意中の彼女・能勢(のせ)陽葵(ひまり)が、体操マットの上で横たわっていた。


 体育館倉庫の中で放課後のチャイムを聞きながら、途方に暮れる。


「どうぞ存分に、恩人(おんじん)様!」


(──頭痛い)


 悪びれず彼女を両手で示す妖精に、ため息がこぼれた。



 ことの経緯は、こうだ。


 運動場の隅で、コンクリートとして流し込まれたばかりの砂が、不自然に藻掻(もが)いていた。

 もしや子猫か何か、動物があやまって落ちちゃったのか?


 あわてた僕は、コンクリートを散らしてそれを救出し、絶句した。


 僕が助けた何か(・・)は、人でも生き物でもなかった。

 いや、生きてはいるけど……。


 "私は砂の妖精です"


 (ほが)らかに名乗った奇妙な小人に、僕は"これは夢だ"と思った。


 "助けていただいたお礼に、あなたの好きな人を眠らせましょう"


「は?」


 ここからが問題だった。


 妖精はどうやって知ったのか、僕が片思いしてる同級生・陽葵(ひまり)ちゃんのもとへと走り、慌てて追いかけた僕の目の前で、彼女を狙い撃ちした。


 陽葵(ひまり)ちゃんは委員長として、体育祭用のゼッケンを体育館に運び込んでいたところだったらしい。


 妖精が袋から出した砂を振りかけると、彼女は即座に倒れて眠り込んでしまったのだ。


「イタズラし放題です。恩人様」


 そう進めてきた妖精に、僕は言葉を失った。



 僕はまだ中学生だ。

 

 悪いけどイタズラなんて! ぐ、具体的に思いつかないし!

 こんなの間違いなく犯罪だし!

 

 それに僕はフェアに告白からだと思ってる!!


 ひとまず陽葵(ひまり)ちゃんをマットに寝かせ、クラス分の散らばったゼッケンを拾い集めたけど。


 意識のない彼女を引きずって運んだ時は、柔らかな体温と香りに眩暈(めまい)がした。

 これ以上はダメだ。


 はっきり言わないと。


「妖精さん! 僕はこんな方法、望んでない。まずは"好きだ"って伝えなきゃ」


「固いですねぇ、恩人様。でも、そうですかぁ? じゃあ、そっち手伝いますよ」


「は?!」


 いうなり、妖精は消えた。


 本当に、夢だったみたいに。




 体育祭当日の借り物競争。


 僕が手にした(フダ)が「好きな人」といびつな文字で書かれてあったのは。

 さらにそれに砂がついていたのは。


(妖精のしわざだったんだろうか?)

 

 陽葵(ひまり)ちゃんと手をつないでの帰り道、袋背負った小人を見た気がして、僕は首を振った。




 世の中は、不思議だらけだ──!!




 おしまい。


 お読みいただき有難うございました!!


 別サイトのネタ帳作品で「砂の妖精」話題が出たのが、本作品のキッカケです。


 わちゃわちゃにしたコンクリートはこの後どうなったのか、とか、消えれるなら最初から脱出出来ていたんじゃあとか、気になる箇所あるかと存じますが、1000文字という制限が補完を許してくれませんでした!!


 コンクリはきっと早期発見で即対処。水分に絡まると妖精は力を発揮できなかった、という方向でよろしくお願いします(`・ω・´)ゞ 妖精はたぶん砂の中にいて工事に巻き込まれたんですね。


 この後、陽葵ちゃんは無事起きて、ちゃんと暗くなる前に下校してます。寝ちゃったなんて恥ずかしいー、となりながら。様子見に来た先生が起こしたのか、彼が起こしたのか、自然にすぐ目を覚ましたのか。そのへんはご想像にお任せ♪


 ところで"ローファン"なのか"現実恋愛"なのか"その他"なのか、またもジャンルに迷うのでした。

 挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
良かったらコチラもよろしくお願いします!

・▼・▼・▼・▼・▼・
【現代恋愛シリーズ】
・▲・▲・▲・▲・▲・

・▼・▼・▼・▼・▼・
【異世界恋愛シリーズ】
・▲・▲・▲・▲・▲・


他のなろラジ大賞4参加作品はコチラ↓
『婚約破棄を告げるあなたに、屋根裏部屋で最後の口づけを望みました。』>

『地上の星座だって、奇跡を結ぶんです!』

『天才魔導士の旦那様には、妻より気になる恋人がいるらしいです。』
― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです。 要請さん(笑)とってもぶっ飛んでて好きです! しれっと「僕」うまくいってるし(笑) 楽しく読ませていただきました。ありがとうございました。
[良い点] >「どうぞ存分に」 どこでこんな言葉を覚えてきたのか、砂の妖精め! さては江戸だな。悪代官の僕だったな! [気になる点] >「イタズラし放題です」 おいおい。 >こんなの間違いなく犯…
[良い点] 妖精さんやばいやつだった(*´∀`*)アハハ 人間の常識は通用しないですよね。妖精ですものね。 とりあえず告白できたみたいで良かった。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ