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いつの間にやら憑依され……  作者: イナカのネズミ
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第九十八話 ~  大賢者の災難(女難第二波の到来)  ①  ~

 第九十八話 ~  大賢者の災難(女難第二波の到来)  ① ~  


        ~  序章  ~



 アレットとのトロペの温泉旅行から帰って一週間ほどが過ぎた

 

 アレットは別段変わった様子もなくいつもと変わらぬ様子で王立アカデミ-の講義をこなしている

 私に対しても以前となんら変わる事も無い様子である

 ただ、左手の薬指にはマノンから貰った評価額50万ガリアフランの魔石の指輪が青く輝いているのであった


 私はというとレナ、ルシィ、エレ-ヌにアレットとの事を問い詰められる事も無く平穏にアカデミー生活を送っている


 アレットのマノンを見る獲物を狙う飢えた狼の如き目が僅か二日で我が子を見守るかのような慈愛に満ちた目に変貌したのである

 マノンを問い詰める事も無く、三人にはマノンとアレットに何があったのかは容易に察しがつくのであった



 週に二回行われる軍事教練にアレットの父であるヴァーレルがやってくるが、その様子からアレットはトロペの温泉の事を父親のヴァーレルにも話していないようである


 ただ、ヴァーレルは軍事教練に新入りの王国正騎士を数人連れてやってくるのだが、その相手を私にさせるのである


 新入りといっても王国正騎士、剣の腕にはそれなりの自身もあれば王国正騎士としての自尊心もある

 

 "なぜ、王国正騎士の我々が年下のアカデミーの学生と手合わせしなければならないのだ"

 ……と露骨に不機嫌そうだったが、一度マノンと剣を交えた後はその態度を一変させたのは言うまでもない

 王国正騎士であり剣を学んだ者であるが故にマノンの圧倒的な剣技を素直に認める事が出来たのである

(後にマノンの事をルロワ殿と呼ぶようになっている、年下の者を名前ではなく姓で呼ぶことはガリア王国では敬意を示すことになる)


 そんな、新入りの王国正騎士たちの姿を見てヴァーレルはニヤニヤしている


 マノンは、抜け目のないのはアレットの父親だけの事はあるとつくづく実感するのであった


 オウムの中の爺も随分とオウムの体に慣れてきたらしく食事をするのを忘れなくなった


 そんなこんなで、何事も無く毎日が過ぎ去っていくのであった


 そして、遂に運命の日がやってくる……

 そう、ルメラ御一行が王都に到着したのである


ほぼ時を同じくして、シルビィの懐妊がガリア王宮で発覚するのである


 マノンの平穏なアカデミー生活は終わりを迎えつつある



 

 第九十八話 ~  大賢者の災難(女難第二波の到来)  ①  ~  




「ここが、ガリア王国の王都ガリアンか」

そう言うとルメラが馬車の窓から身を乗り出す


「危ないですよ、ルメラ様」

「やっと、辿り着きましたわね」

少し疲れ気味にユーリアが王都を眺めながら言う


「マノン、王立アカデミ-って所にいるんでしょう」

そう言いながらアイラが窓の外を見回している


「立派な城塞都市ですね」

「まずは……最高司祭のクロ-ド様にお会いしなければ」

エルナが他の三人を諭すかのように言う


 そんな四人を乗せて馬車は聖・パトリック教会へと向かって進んで行くのであった


 聖・パトリック教会に降り立った四人は教会の中へと案内される

 

 部屋に入る時にユーリアが小さな声でルメラに何か言っている

 "くれぐれもシラクニアの姫であることをお忘れなきように"

と言っているのだが……


 四人が案内された部屋に入るとそこには最高司祭のクロ-ドがいるのだった


 「よくぞ参られた、シラクニアの姫よ」

 「事情は既に伺っておりますので」

 「王立アカデミ-の導師総代のジェルマン殿には話を通してあります」

そう言うとクロ-ドは誰かに手招きをする

 「私の孫娘のエレ-ヌ・ベクロンと申します」

 「王立アカデミ-の学生にございます」

 「ルメラ様の世話役として何なりとお申し付けを」

クロ-ドがエレ-ヌを紹介する


 「エレ-ヌ・ベクロンと申します」

 「ルメラ様の世話役を拝命いたしました」

 「何なりとお申し付けください」

そう言うとエレ-ヌは軽く挨拶をする

"うわぁ~、凄いかわいい子ね"

"肌は透き通るように白いし、まるで妖精みたいな"

"それに……オッパイでかっ! "

"この子の仕草、何か……不自然ね……"

エレーヌは心の中で呟いているとルメラは何か聞きたいことがあるようにエレ-ヌの方を見る


 「それじゃ……」

 「マノン・ルロワって生徒が王立アカデミ-にいるはずんですけど」

 「会わせていただけないでしょうか」

ルメラの柄にもない声と口調に他の三人は笑いをこらえている

そんな三人を睨むルメラに三人は思わず目線を逸らす


 「えっ……」

 「今、マノン・ルロワって言いましたよね」

エレ-ヌは驚いた表情でルメラに問いかける


 「はい……確かに言いましたが……」

 「なにか……」

ルメラは少し不安そうな表情で答える

(そんな生徒はいないと言われると思たのである)


 「もしかして……マノン君の知り合いなの」

エレ-ヌは驚きを隠せない様子でルメラに問いかける


 「もしかして……マノンを知ってるの」

同じように驚いた様子でルメラがエレ-ヌに問い返すとエレ-ヌはコクリと頷く


 暫く、二人は顔を見合わせたまま目をパチクリさせている

 事情の分からないクロードがその様子を不思議そうな表情で見守っている

 

 「ぷっ」

ルメラとエレ-ヌの二人はほぼ同時に吹き出すと笑いだす


 「もしかして……マノンに手紙を出したお姫様なの」

エレ-ヌの問いかけにルメラは目を見開き大きく何度も頷く


 「やっぱり、マノンは王立アカデミ-にいやがるんだな」

 「あの野郎っ! 今度は逃がさねぇからなっ!」

突然のルメラの口調と言葉遣いの変わりようにクロードは呆気にとられている

しかし、エレーヌは全く驚いてはいなかった

(直感でルメラの本性を見抜いていたのである)


 「ルメラ様っ!」

慌ててユーリアがルメラを諭すが……もはや手遅れである


 「お姫様も、いろいろと大変ね」

エレ-ヌの言葉にルメラは何も言えずに恥ずかしそうに頭を掻いているのだった


"これは、面白い事になりそう……"

"暫くは、退屈しなくて済みそう……"

エレーヌはニヤリと意地悪そうに微笑むのであった


 かくして、シラクニアでの特訓も空しくルメラの本性は僅か数分もしないままにバレてしまうのであった

 エレーヌはこの四人とは気が合い良き友となるのであるが……

 

 マノンにとっては最悪のグル-プの誕生であった……




 その頃、そんな事など思いもよらないマノンは魔法工房でお湯にプカプカと浮かぶレナの大きなオッパイを横目で見ながらレナと二人でのんびりと温泉に浸かっているのであった


「胸の方はもう大丈夫」

私がレナに問いかける

(お湯に浮かぶレナの胸を見ていたのは、その事が気懸りだったからである)


「もう、痛みも無いし違和感もないわ」

「後で診てくれる」

そう言うとレナは少し意味ありげに笑う


「れっ!……レポ-トの方はどう」

背筋に悪寒が走った私は直感的に慌てて話題を逸らす


「もう、大丈夫よ……」

「何とか、一か月分を取り戻したわよ」

「おかげで、もうクタクタよ……温泉が身に染みるわ」

レナは首をコキコキとさせると大きなため息を吐く

「あのね……マノン、二日前に実家から手紙が来てね」

「……そのっ……早く孫の顔が見たいって……」

少し照れたようにレナが私を見て言う


「まっ! まっ!! まっ!!! 孫~っ!!!!」

私は思わず叫んでしまう

「レナはさっ、病み上がりだし……」

「レポ-トで疲れてるだろうし……」

「あまり無理はしない方が……」

私は何とか話題を逸らそうと慌てて言う


「……ふぅ~ん……」

「アレット導師とはいいのに私はダメなんだ」

レナの目は私の秘密を完全に見透かしている


"ひぃぃぃーーーっ"

"バレてるっ!"

私は心の中で断末魔のような悲鳴を上げる

「……自由してください……」

私はあっさりと観念しレナに白旗を上げるのであった


その瞬間、日帰りの予定が魔法工房にお泊りが確定したのであった

しかも、レナはしっかりとお泊りセットを持参していたのであった

抜け目がないというか、しかっりしていると言えばいいのか……


本当に"流石はガリアの女"……である

そして、次々に上手く手玉に取られる自分が"かかぁ天下の国ガリア"の男なんだなと痛感するマノンであった

"……これでも……元・女子なんだけどな……"

虚しく心で呟くマノンであった


 

 温泉から上がるとレナは読書に耽り、私は爺のオウムと一緒に実験室で何かを始める

 じつは、これからオウムに魔石を身につけさせて簡単な魔術が使えないかと考えていたのである


 オウムの足に魔石を嵌め込んだリングを付ける

 「こんなのでいいかな」

私の問いかけに


 「いいじゃろう」

爺はそう言うと何やら魔術を発動しようとする

 「……どうも上手く発動せんのう……」

 「どうしたものやら……」

爺の困っている様子が私にも伝わってくる


 「魔石って食べても大丈夫なの」

私の突拍子もない質問に爺は黙っている


 「……害はないと思うが……」

 「魔石を食おうなどと考えた者も、食った者も知らんからの」

爺は少し呆れたかのように言うと

 「……それでは、食ってみるとしようかの」

爺はそう言うと魔石の入った箱から麦粒ほどの小さな魔石をくちばしでパクリ咥えるとゴックンと飲み込んだ

 「大丈夫のようじゃの」

爺の言葉に私はホッと胸をなでおろす


 「……あのね……」

 「魔石って美味しいの、どんな味がするの」

食いしん坊の私は魔石がどんな味なのか美味しいのかが知りたくて仕方がない


 「……あのなぁ……」

 「なんの味もせんよ……」

爺が呆れかえったような口調で言う


 「なんだ……なんの味もしないのか」

私がつまらなさそうに言う


 「……それでは、もう一度やってみるかの」

爺はそう言うと何かの魔法を発動しようとする


 そうすると、爺のオウム(パック)の姿がフッと消える

"どうじゃ、ワシが見えるか"

何処からともなく爺の声が聞こえてくる


 「見えなくなっちゃったよ」

私がそう答える


"本当かっ! どうやら簡単な魔法は使えるようになったの"

爺の嬉しそうな声が聞こえてくる

 

「でもさぁ……ウ〇コしたら体の外へ出ちゃうよね」

私の言葉に爺は黙り込む


「そうじゃな……」

爺がポツリと言うと

「オウムの体の何処かに魔石を埋め込むしかないの」

そう言うと爺は何か考え込んでいるようだ 


 そうこうしているうちに夜になっていた……

「食事はどうする」

私が爺に問いかける


「そこら辺に置いといてくれんかの」

そう言うと爺は再び考え始める


「私はレナと図書室にいるからね」

私はポケットの中からオウムの餌を出して置くと実験室を後にした


 図書室ではレナが本に囲まれ読書に耽っていた


「夕食にする」

私の問いかけに反応したレナかこっちを振り向く

「レナ……」

いつもの事ながらレナのあまりのだらしない姿にため息を吐く

「読書は良いことだけど……度が過ぎるとね」

私は、何故か爺のようなことを言ってしまう


食事の支度をしているとレナはそそくさと出していた本を片付け始める

二人で夕食を食べる終わった頃にはもういい時間になっていた


レナは大きな伸びをすると立ち上がり読書で凝り固まった体を解している


私は食事の後片付けをしながらそんなレナを見ていた

レナの動きがピタリと止まると

「そっそれじゃ……そろそろ……」

レナは途中で恥ずかしそうに口籠ってしまう


「うんっ」

私はそんなレナに笑って返事をする


 二人で仲良く休憩室へ行くと……そこにはオウムの(パック)がいた

「えっ……」

私とレナは呆然とする


"お前さん、いいアイデアが思いついたのじゃ"

"これから試したいのじゃがっ……"

爺は途中で言うのを止める

"まぁ……明日でもよいか……"

そう言うと爺のオウム(パック)は急いで休憩室から飛び出していった


爺は私の後ろから猛烈な殺気が出ていることに気が付いたのである

考えてみれば、一か月以上はレナとは"交わり"がないのである


その事に気が付いた私の顔から血の気が引いていくのが自分でも分かる


 私の体は凍り付いたように動かなくなる……

そんな時、レナがパタンと休憩室のドアを閉めると私の方を見て優しそうに微笑んだ


 私の鼓動が速くなり、額から冷汗が噴き出す


「マノン……」

レナが私の事を呼ぶ


「はっはいっ! 」

私は大きな声で返事をする


死刑囚が断頭台に立つ気分とはどんなものであるかが実感できたマノンであった



18禁回避のために、その後の事はご想像にお任せする……





 第九十八話 ~  大賢者の災難(女難第二波の到来)  ①  ~


  終わり


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