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いつの間にやら憑依され……  作者: イナカのネズミ
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第九十二話 ~  魔力と鋏は使いよう  ~ 

第九十二話 ~  魔力と鋏は使いよう  ~  序章 




 ゲルマニア帝国の西の外れにあるアルザ地方、そのへベレス山脈の麓にほぼ円形の湖がある

 湖の大きさは直径が約1kmほどである。

 ゲルマニア帝国では有名な大賢者伝説に語られる伝説の湖でもある

 

 かつてここにはワッヘンと言うゲルマニア帝国でも屈指の工業都市があった

 今から280年前に大賢者により一瞬にして1万の兵と共に消え去った跡がこの湖なのである


 長い年月の間に真実は伝説となり、大賢者伝説と神秘的な景観もあり今では観光地として有名である


 

 良質な鉄鉱石とへベレス山脈の豊富な森林資源に恵まれたこの地は古くから製鉄と鉄器の生産地として栄えていた。

 

 この地がゲルマニア帝国の支配地となるとワッヘンはゲルマニア帝国の最大の武具の生産拠点となる


 ゲルマニア帝国に武具を提供する代わりに自治権が与えられ市民は徴兵を免除されていた

 とは言え名ばかりの自治権で実質的にはゲルマニア帝国の隷属であった


 度重なるゲルマニア帝国の過酷な要求に反発したアルザ地方の住民は遂に反乱を起こす事になる


 反乱と言っても武力放棄などではなく武具の生産を止めてしまったのである

 今で言うのならばストライキやサボタージュであるが、ゲルマニア帝国はこれを反逆とみなし1万の大軍を送り武力でこれを制圧にかかる


 ワッヘンの自治領主であったベルント・アルペンハイムはアルザ地方の全住民の代表として進軍してきたゲルマニア帝国軍に戦う気が無い事を伝えるが惨殺されてしまう

 

 残された妻のエルマーナはワッヘンの全住民をへベレス山脈に逃がし、ただ一人ワッヘンに残りゲルマニア帝国軍の指揮官に話し合いを申し込むが受け入れらず、捕らえられた後に火炙りの刑に処されてしまう


 これを知った大賢者は怒り狂いワッヘンを占拠していた1万のゲルマニア帝国兵をワッヘン諸共に灰燼に帰してしまう

 立ち上る爆炎は数百メートルに達し爆発音はゲルマニア帝国の帝都ヴァーレにまで届いた


 これにより、アルザ地方へのゲルマニア帝国の派兵は二度と行われなくなる

 アルザ地方の人々は再び自治権を取り戻し、逃げ延びたワッヘンの住民は無事に他の都市へと移り住み平穏に新生活を始める事が出来たのである


 280年を経た今もその自治権は健在であり、ゲルマニア帝国においてアルザ地方はシラクニアと同じような都市国家のような扱いである


 そして、この出来事は伝承として子から孫へと受け継がれ……

 やがて伝説となるのである……






  第九十二話 ~  魔力と鋏は使いよう   ~  




 病に侵されたレナを連れて魔法工房に閉じこもって3日が過ぎた

 魔法の書を読み漁り何とか治療方法を見出す事が出来たのだが……


 おそらく、私が自らの意思で大量の本を読むのはこれが生まれて初めてである



 私は、魔法工房の休憩室でレナのオッパイを揉んでいる……

 エッチな事をしているのではない、レナの右の乳房に出来た腫瘍を診察しているのだ


 両手でレナの右の乳房を挟み込むようにして、今で言うМRIのように乳房に出来た腫瘍の状態を知る事が出来るようになったのである


 レナの右の乳房の内部の様子がイメージとして私の脳裏に浮かんでくる

 赤黒いイメージは悪性のものである事の示している


 大きさは3センチ程で活発な増殖反応が感じられる……ルシィの言った通り進行が速い悪性腫瘍と分かる


 「ありがとう……もういいよ」

私がそう言うとレナは前開きの寝間着を調え乳房を仕舞うと私の方を黙って見ている

 「ルシィの言った通りだよ」

 「進行性の悪性腫瘍で間違いない」

私はレナにありのままを伝える


 「そう……やっぱりね」

 「医学なんて勉強するんじゃなかった」

 「何も知らなければ……」

 「こんなに絶望することも、苦しむことも、怯えることもなかったのに」

レナはそう言うと力ない笑みを浮かべる


 「……心配ないよ」

 「良い治療法があるんだよ」

私がレナを見つめて言う


 「本当なの……」

レナの表情に光が差したようになる


 「うん……本当だよ……」

私はレナに優しく言うが……

 「……ただ、問題がある……」

 「転移魔法の一種の摘出術で腫瘍を体外に取り出す」

 「そして、転移した後の乳房内部の傷を医療魔術で復元する」

 「復元すると言っても、傷口を塞いで出血を止めるだけ」

 「後は……レナの体の治癒力に任せる……」

 「実際にやったことが無い……だから……」

 「成功するとは断言できないんだ……」

 「それに……猛烈な痛みを伴うんだ……」

 「生きている人体の一部を切り取るんだから……」

 「治療が終わった後も、どれぐらいの期間かは分からないけど痛みはしばらく続くと思う」

私が大まかな治療とそのリスクを話す


 「いいわ……やって……」

 「少しでも望みがあるなら……」

 「少しでもマノンといられるのなら……」

懇願するかのように言うレナの目は涙に濡れていた



 いろいろと他の方法も考えたが、これが最も良いと判断したのであった

 乳房だけの部分人体錬成も考えたが生きている人間に行使するのには無理がある


 マキシミリアンのように既に死人も同然の状態ならば人体の部分錬成も考えられる……が爺の助け無し、私一人では無理がある

 それに、魔法の書にも耐え難い激痛を和らげるために分解と再生を同時に行わなければならず、少なくとも2人以上の術師が必要と記載されていた


 魔術でパラライズのように一時的に痺れさせて人体の感覚を麻痺させることは出来ても麻酔のようには長時間に渡り完全に痛覚を取り除くことは出来ないのである




 レナに治療の意思がある事を確認した私は術の練習を始める


 王都の肉屋で買ってきた羊の肉の塊をレナの乳房に見立てて実習を繰り返す

 想像したより遥かに緻密な魔力制御が必要だった、上手く思った通りの大きさの肉を摘出できるようになるのに4日かかった

 思い通りの部位を摘出するのに7日かかり、復元術の習得に3日を必要とした


 勿論、練習で出た大量の羊の肉はレナと二人で美味しく頂いたのであるが……

 私もレナも、暫くは羊の肉を見たくない気分だ……


 更に、この3工程を上手く連携させるのに5日かかってしまい……


 結局、レナを19日も待たせてしまう事になってしまった

 

 私が術を練習してる間はレナは魔法工房で泊まり込み、好きな読書をし温泉に入ったりと、のんびりと過ごすその姿は私には何処か寂しげに見えた……


 

 こだけの話だが……レナは結構……凄くエッチなのである

 そのレナが私と2人っきりにもかかわらずエッチな事を19日間もしないのである……

 私には、レナが悟りを啓いたとしか思えない……



 その間に、レナの乳房の腫瘍は4センチ近くになっており、ギリギリの状態での施術となった


 実験室の寝台に裸のレナを寝かせる……

 レナはとても落ち着いた様子だった


 私はレナに猿轡(さるぐつわ)をし、両手足と腰を頑丈な革のベルトでしっかりと寝台に固定する

 一見すると凌辱プレイか拷問のようだが、麻酔の無いこの時代では激痛に患者が暴れたり舌を噛んだりしないようにする為の処置でごく当たり前の事である


 当然、医学に明るいレナにとっては説明の必要は無い


 寝台に横たわったレナに私が合図を送るとレナは小さくコクリと頷いた

 

 レナの右の乳房を両手で挟み込むと正確な腫瘍の位置を何度も確認する


 「レナ……やるね」

私がそう言うとレナは目をつぶる


 「うっ!ぅぅぅっ!!」

私が摘出術を行使すると腫瘍の塊が寝台の横にベチョっという音を立てて落ちる

 「ぅぅぅっ! んっ!」

激痛にレナは呻き声を上げて体を捩らせ目は涙に滲んでいる


 「摘出完了っ!」

 「復元魔術行使」

苦しんでいるレナに私はそう言って声を掛ける


 暴れるレナを左手で押さえつけ右手をレナの右の乳房に当て傷口を塞いでいく

 傷口が塞がっていくと徐々にレナの苦痛も和らいでゆく……

 完全に傷口を塞ぐのに2時間以上を要した

 激しかったレナの呼吸が収まっていく……


 「終わったよ……レナ……」

 「上手く行ったよ……」

私がレナに声を掛ける


 「ぅぅ」

レナは蒼白い顔で震えるように小さく頷いた



 私はレナ猿轡を外す

 「もう安心だよ……」

私はそう言いながら両手足を革のベルトも外す

 「よく我慢したね……」

私の言葉にレナは虚ろな目で私を見る……

私は、レナの右の乳房に麻痺魔法のパラライズをかける

これで、少しの時間だが痛みは消える……


 「終わったのね……」

そう言うとレナは眠ってしまった


 私は、用意してあったタオルでレナの体……下半身を丁寧に拭く

 レナは激痛で失禁"お漏らし"しまったのだ……当然、この事は絶対にレナには言わないつもりだ


 寝台の横に落ちている腫瘍の塊を拾い上げると保存液の入ったガラスの瓶に入れる

 レナの意思で研究材料にするつもりなのだ


 こうして、レナの右の乳房の腫瘍は無事に摘出する事が出来た……

 右の乳房の痛みは4日ほど続いたが術後は良好だった、悪性腫瘍の転移の心配も無かった


 術後に毎日、朝昼夜3回の回復魔法を1時間ほどかけることにより1週間ほどするとレナの右の乳房の痛みは無くり完治する

 レナの回復力は私の予想以上だった……


 そして、元気になったレナは……

 「これで、2度目ね……」

 「私……レナ・リシャ-ルは生涯……」

 「マノン・ルロワただ一人のものです」

そう言うとレナは私にそっと口づけをする……


 「ダメだよ……」

私はエッチな事をしようとするレナにそう言う


 「……やっぱり……ね……」

レナは少し……かなり残念そうな表情で不貞腐れたように言う

 "レナは悟りを啓いたのではなかった……"

私は少し安心したような失望したような不思議な気分になる


 2人して王立アカデミ-に帰ってきたのは1か月ぶりだった……


 レナは急用があって実家に帰っていた事になっていた

 そして、私は大賢者に呼び出され休学中となっていた


 ルシィのサインで私とレナの休学届は受理されており、何の違和感も無く復学する事が出来た

 本当にルシィは気が利く……私とレナはルシィに心から感謝した


 後日。ルシィの部屋にお礼をしに行くと……


 「別にお礼なんか要らないですよ……」

 「代わりに一つだけレナさんにお願いがあります」

ルシィそう言うとレナの胸を凝視する


 「あの……」

レナは自分の胸にルシィの視線を感じ両手で胸を隠す

 「はい……どうぞ、好きなだけご自由に……」

レナは諦めた表情になると両手で胸を隠していた胸をルシィの前に突き出すようにする


 ルシィはレナの服を剥ぎ取るようにすると右の乳房を揉みまわす


 「あっ……」

 「あまり強くしないで……」

 「あんっ! ちょっとそんなに揉むと……」

レナの事などお構いなくルシィは右の乳房を揉みまわしている

本当は、無くなっている腫瘍を探しているのだが……


 私の目には2人の背景に百合の花が咲き乱れるように見えて少し恥ずかしくなってくる


 半ばレイプ状態のレナは顔を赤くしてオッパイを出したままでルシィのベッドに横たわっている

 思う存分にレナの右の乳房を堪能したルシィは私の方を睨むよな視線を送る


 「ひいっ!」

私は思わず小さな悲鳴を上げる……

私の脳裏にサン・リベ-ルでの記憶が蘇る


 その後、ルシィの質問攻めにあってしまい……

 結局……次の休日に魔法工房で術を実演することとなってしまった。

 そうでもしないと、帰れないし寝かせてももらえないからである


 "ルシィと二人で魔法工房に行ってもいい"

 私の無言の合図にレナも疲れた表情で頷いた


 少し小綺麗になったけど、ルシィの中身は何一つとして変わってはいなかった。


 かくして、私はルシィを魔法工房へ招待することとなってしまった……


 "でも……ルシィって重そうだよな……"

私は魔法工房まで上手く転移できるのか不安だった。





 

第九十二話 ~  魔力と鋏は使いよう  ~  終わり




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