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いつの間にやら憑依され……  作者: イナカのネズミ
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第九十話 ~  新たな学園生活(女難)の始まり ➈ ~

第九十話 ~  新たな学園生活(女難)の始まり ➈ ~  序章 



 ここは、ガリア王宮のシルビィの私室……

 シルビィは机の上に積まれた書類に目を通している


 ガリア王国とゲルマニア帝国に和平協定が結ばれると両国の交流は活発化した


 最大の問題であったへベレスト山脈を越える街道も短期間で整備されると僅かな期間で両国の物流・経済取引は拡大し人々の生活は改善していった

 ガリア王国からは主に農産物がゲルマニア帝国からは主に鉄器などの鉱業製品が輸出されるようになっていた


 シルビィが最も力を入れていたこともあり両国での経済・物流は予想以上に急激に活性化しそれに伴い両国の通貨制度の違いが大きな問題の一つとなってきていた。


 シルビィの頭を悩ませる問題となっていたのが貨幣の価値が大幅に違う事であった。

 特に銀貨の価値がガリア王国に比べて二割近くも低いゲルマニア帝国では急激に銀貨がガリア王国に流失しており、これを問題視したゲルマニア帝国側から即急な対策を要請されている


 欲深い一部のガリア商人はゲルマニア帝国で金を銀に両替しそれを再びガリア王国内で金に両替することを繰り返して差額を貪っていたのである

 幕末の日本でも起きた金の流失問題と同じである


 当然、これを重く問題視したゲルマニア帝国側からの銀貨の流失が続けば経済協定を凍結するという通告書も既に受け取っている


 「はぁ~」

シルビィは大きなため息をする


 シルビィの脳裏にマノンと暮らした時の記憶が蘇る

 「今頃、何をしておられるのかしら……」

 あれから既に二か月が過ぎようとしているのだった


 シルビィは片時もマノンの事を忘れる事は無かった

 何度も淋しい夜を迎えようとも心に残るマノンとの思い出がそれを打ち消してくれていた


 しかし、ここ一週間ぐらい前から体調がすぐれなかった


 「うっ!」

シルビィは急に吐き気を催すと、その場に蹲り吐いてしまった


 「大丈夫ですかっ!!!」

慌てたアネットがシルビィに駆け寄る


 「大したことはありません」

 「少し無理をし過ぎたたけででしょう」

シルビィは気丈に振舞うが顔色は蒼白であり、傍目にはとても大丈夫そうには見えなかった


 直ぐに宮廷付きの医師が呼ばれシルビィを診察する

 知らせを聞いた国王のレオナールも駆け付けた、私室のベッドに横たわったシルビィを医師が診察する

 その様子を、アネットとレオナールの二人が心配そうに見ている


 診察を終えた医師が二人の方に振り向く

 「おめでとうございます……」

 「御懐妊にございます……」

医師の微笑みながらの意外な一言にアネットとレオナールの二人は凍り付く


 「へっ?」

少し間を置いて医師の言葉を理解した二人の思いは対照的であった


 「ぃっ! いったい……誰の子じゃ」

国王のレオナールが言い難そうに小声でシルビィに問う


 「……」

シルビィは真っ赤な顔をしたまま何も言えなさそうにしてる


 「大賢者様の子か」

レオナールが小さな声でシルビィに問いかける


 「……はい……」

 「あの時の……間違いありません……」

シルビィは恥ずかしそうに答える


 「そうかっ! そうかっ! そうかっ!!!」

レオナールは嬉しそうな表情で何度もそう言う


 しかし、アネットはそうではなかった、表情は平然としていたが……

"あの糞野郎ーっ!"

"ヤり逃げした上にっ! シルビィ様を孕ませるとはっ!"

"許せないっ! 絶対に許せないっ!!"

アネットは心の中では怒り心頭に叫んでいた


 しかし、自分のお腹を擦っているシルビィの幸せそうな表情を見た途端にアネットのその怒りは収まっていく

"そうか……これでいいんだ……"

"シルビィ様にとってそれが幸せなら……"

"がっ!!! これだけはっ!!!"

とアレットは心にある事を固く誓う




 その頃、マノンは数々の災難を何とか乗り切り充実したアカデミー生活を送っているのであった


 因みに、その二週間後にはシラクニアからルメラ様御一行が王立アカデミ-にやってくる……


 マノンは何も知らずに短い春を謳歌しているのであった……





 第九十話 ~  新たな学園生活(女難)の始まり ➈ ~ 





 魔力の枯渇で王都に帰れなくなってしまったマノンとアレット……


 申し訳なさそうに謝るマノン……が……


 "ラッキィーーーッ!!!"

アレットは心の中で雄たけびを上げていた

 "上手くやればこのまま……"

思わずニヤけてしまうアレットをマノンは目を細めて見ている


 "この人……エッチなこと考えてるな……"

鈍感なマノンにすら分かるほどにアレットの表情は緩んでいるのだった


 「でも困りましたね……着替えも何もありませんし……」

 「魔力不足で錬成術も使えませんし……」

日帰りのつもりだったので何も用意していないはずだったが…… 

 

 「大丈夫っ! マノン君」

 「こんなこともあろうかと着替えは用意してあるのよ」

アレットは自信満々に言う


 「随分と用意がいいですね……」

マノンは少し呆れて言う

 "あの大きなカバンにはお泊りセットが入っていたのか……"

 "この人……これは……マズいかも……"

身の危険をひしひしと感じるマノンであった



 「ねえ……マノン君……」

 「ここへ来た時から気になっていたんだけど……」

 「何なの……この変な臭い……」

アレットは硫黄の匂いに気付いていたようだ


 「この臭いですか……温泉ですよ」

私の言葉にアレットの目が輝きだす


 「温泉っ! ホントなのっ!!」

私はアレットの魔石の錬成と同じぐらいの反応に驚く

そう、じつはアレットはマノンと同じぐらいの温泉好きなのである

 「入りたいっ!」

アレットの純粋な目の輝きに私は心打たれる


 "この目は邪念が無い……この人は本当の温泉好きだっ!!"

私はアレットに共感し"心の友"を得たような気分になる

 「アレット導師も温泉がお好きなのですか」

嬉しくて私はアレットに問いかける


 「聞くだけ野暮ってもんよ……マノン君……」

マノンにはアレットの言葉に嘘は微塵も無い事が直感でわかる


 「では、ご案内申し上げます……姫様……」

私がノリノリで言う


 「頼んだぞっ! 爺……」

アレットもノリノリである



 温泉を見たアレットの目が輝いている

「入りましょうっ!」

アレットはそう言うと服を脱ぎだす


 王都の公衆浴場では混浴が当たり前なので恥じらいも何もないのである

 私も遅れまいと服を脱ぐ


 「あ~いいわぁ~」

 「最高ね……王都の公衆浴場なんかと全然違うわっ」

アレットは肩までどっぷりと温泉に浸かり湯を堪能している


 "やっぱり、温泉好きの人は違うな……"

私は温泉を堪能するアレットを見て思うのだった


 「どうですか……」

私も少し遅れて温泉に入ろうとする


 「いいわぁ~、この湯は肩凝りや腰痛なんかにいいやつよね」

アレットには湯の効能も分かるようだ……流石、温泉好きだけの事はある


 アレットは温泉に入ろうとするマノンをボ~っと見ていた

"マノン君って奇麗な体してるわね……"

"まだ、完全に大人になりきっていない……"

"いい目の保養になるわ……"

アレットは心の中で呟く、少し目線を下に向ける

"デカッ!!!"

驚嘆の呟きと共にマノンの股間に視線がくぎ付けになる

"すごっ! 流石は大賢者……モノが違うわっ!!"

思わず変な関心をしてしまうアレット……


 アレットには王都の公衆浴場で見慣れているモノだが、そのアレットの目にですらマノンのモノは格が違うのであった



  しかし、マノンはそんな事は全く気にしていない


 「アレット導師は他の土地の温泉には行きましたか」

私がアレットに尋ねると


 「王都の近くだと……タクサの温泉、ケランの温泉かな」

 「遠い所だと……トロペの海岸温泉、ベーレの温泉かな」

アレットは行った事のある幾つかの温泉地を上げる


 「トロペの温泉は私も行きました」

 「海鮮料理が凄く美味しい、海を見ながらの温泉は最高ですよね」

私が知っている温泉の事を話す


 「でも、遠いのよね……王都からだと馬車でも二週間……」

 「何年かに一度くらいしか行けないのよ……」

残念そうに言うアレット


 「ふっふっふっ……アレット導師……」

 「この魔法工房からなら日帰り出来ますよ」

私が自信満々に言う


 「えっえええ……ホントに……」

 「今度、連れてってよ」

下心の無いアレットの純粋な願いであることが私には分かる


 「いいですよ」

私は二つ返事で約束してしまった 


 その後も、二人の温泉談義は尽きることなく続き、お互いの温泉愛を心行くまで語り合うのであった


 そして、温泉から上がり体を拭いて服を着て一息ついた時にアレットはふと気付く

 "しまったぁーーーっ!!!"

 "二人っきりの裸のお付き合い、絶好の機会を逃してしまったぁー!!!"

アレットが気付いた頃には、時すでに遅しマノンは服を着ているのだった


 しかし、邪な機会を逃してしまったかもしれないがアレットに対するマノンの好感度は大幅に上昇したのであった……結果オーライってやつである



 「次は食事ですね……」

 「簡単な物なら用意できますので休憩室で食べましょう」

 私はそう言うと温泉の横の長椅子に腰かけて着替え中のアレットを眺めている


 「ちょっと……マノン君……そんなに見ないでよ」

 「ガン見されると流石に恥ずかしいわよ」

アレットは胸と股間を隠して少し恥ずかしそうに言う


 「すいません……」

 「アレット導師の髪の毛の色が素敵なもので……つい見惚れていました」

マノンはすまなさそうに言う


 "髪の毛っ! そっちかいっ!!"

恥じらいながら胸と股間を隠している自分が虚しくなってくるアレットであった



 アレットが着替え終わると休憩室へ向かう

 休憩に入ったアレットは部屋にベッドが一つしかない事に気付く


 "これは……"

心の中で呟くと邪な思惑を巡らせる


私はそんな事は知るはずも無く……保存食の食事を用意しているとそれに気付いたアレットが不思議そうに見ている


 「これは瓶詰めの保存食です」

 「殺菌した後で密封してくと長持ちするんですよ」

 「食べる時に出して温めればOKです」

私が用意し終えると二人で夕食を取る


 「これ……美味しいわね……」

 「色は赤くて不気味だけど……」

シラクニアで作ったスープを瓶詰めにして保存していたのである

魔法工房の中だとかなり長持ちする


食事を終えるとアレットが鞄から何かを出してくる


 「マノン君は、いける口……」

そう言うアレットの手には1リットルのワインボトルが握られていた


 「そんな物まで用意していたんですか……」

私が呆れたように言う


 「絶対に食後のワインは必要よっ!」

アレットは握りこぶしで力説する


 「その前に……」

そう言うとアレットは鞄をガサガサと何かを探している


 アレットは鞄の中から寝間着を取り出すとそそくさと着替える

 アレットの薄紅色の前開きの寝間着は少しエッチな感じがする、アレットも下着は付けないようだ

 (エッチな寝間着は当然、アレットの策略である)


 私も休憩室に用意してあった貫頭衣に着替える


 「さぁ、飲みましょう」

そう言うとアレットは鞄から木で出来た器を2つ出してくる


 アレットのあまりの用意の良さに私は関心するというより呆れるのであった


 二人でワインを飲みながら魔石の事、温泉の事などを話しているのが私には楽しかった

 アレット導師がお姉さんのような気がしてくるほどである


 アレットも同じような気分だった、こうしてワインを飲みながら好きな事を話す……

 魔石の事や錬金術の事なんかを詳しく話せる人なんかはそうはない……マノンが良い友達のように思えてくるアレットであった


 そうして、夜は深くなっていき……ワインのボトルが空になったころには二人とも猛烈な睡魔に襲われていた


 「ねぇ……マノン君……」

 「私……もう限界だから……」

目が血走り息を荒くして私を見つめるアレット……


 「そろそろ寝るね……」

 アレットはそう言うとベッドに潜り込む、私も何の躊躇いも無く同じベッドに潜り込むと二人とも直ぐに寝てしまう


 そうして、夜は更けていくのてあった……

 アレットは寝ているときに少しエッチな夢を見てしまった……

 それは、自分のオッパイをマノンが吸っている夢だった……

 何故か、くすぐったさと気持ちよさに身悶えしたような、とてもリアルな感覚が残っているがアレットは気にしなかった……


 そう……それは、夢ではない……




第九十話 ~  新たな学園生活(女難)の始まり ➈ ~  終わり


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