第八十六話 ~ 新たな学園生活(女難)の始まり ➄ ~
第八十六話 ~ 新たな学園生活(女難)の始まり ➄ ~ 序章
マノンがアレット導師に正式な返事をするという事を耳にしてもレナは動揺する事は無かった。
既に自分の中でマノンに対する気持ちに整理がついていたのである。
王立アカデミ-への進学が決まった時に両親と交わした約束、それは17歳になるまでに"交わる"相手を両親に紹介する事である
それが出来なければ、両親が決めた相手と"儀の礼"を交わし、王立アカデミ-卒業後に"交わる"事となる
レナはもうすぐ17歳になる、タイムオ-バ-なのだ。
今迄にいくらでもマノンと"交わる"機会はあった、レナは敢えてそれをしなかった
レナは、あくまでもマノンの意思を尊重したのだった
勝負時の最後の約3ヶ月間はマノンがシラクニアに行っていたりシルビィと行方を眩ましていたりと完全に機会を失ってしまった
レナにしてみれば魔法工房の図書室へ一緒に行くのがマノンに対する最後のアプローチであったのかもしれない。
当然、マノンはそんな事は知らない……
第八十六話 ~ 新たな学園生活(女難)の始まり ➄ ~
なんとか、ヴィオネ家から逃げ戻って来たマノンだったがヴァーレルがアレで納得するとは思えない……
本当は、認識阻害の術で忍者の如く姿をくらましたのである
いきなり私の姿が消えたのでヴァーレルもアレットも状況が呑み込めなかっただろう……
術を発動したままで王立アカデミ-の宿舎の自室に戻るとベッドに仰向けに倒れ込んだまま天井をずっと見ていた
"困ったな……どうしょう……"
そんな時、レナの事がマノンの頭に浮かぶのであった
なんだかんだ言ってもマノンは心の奥底ではレナの事を最も信頼し頼りにしているのである
"やっぱり、レナに話した方が良い……"
クローゼットの中から予備の制服を取り出し着替えると、私は再び認識阻害の術を発動し女子寮へ向かう
こんな時間に女子寮に忍び込むことには気が引けたが仕方がない
女子寮に忍び込む頃には、時刻は六時を過ぎていた
玄関からレナの部屋に向かって歩いていくと、あられもない姿の女子生徒達とすれ違う
"所詮、人の目(男の目)が無ければこんなもの"
元女子のマノンにとっては見慣れた光景であった
階段を登ると廊下の横に置かれた椅子に三人の生徒が腰かけて何かを話している
気にせずに前を通り過ぎようとすると、話の内容が耳に入ってくる
「……アレット導師って27歳なんでしょう」
「マノン君より10歳以上も年上よね」
「年下好みの美少年好きとは聞いていたけど、よくやるよね」
「マノン君どうするのかしら……」
「ヤっちゃうのかな」
「年上の女性導師と10歳年下の美少年の生徒の……」
「なんか、燃えるよね」
……やっぱり、女子はこういうの好きなんだな……
3人を横目にレナの部屋へと向かう
レナの部屋の前に来るとドアをノックする
「誰ですか」
部屋の中からが声がするとガチャとドアが開く
"あれっ……"
ドアが開くと部屋の中には別の女生徒がいた、しかも、オッパイ丸出しパンツ1枚の姿である
「誰もいない……気のせいかな……」
そう言うと女生徒はドアを閉めた
"ビックリした……部屋を間違えたようだ……"
"それにしても、女子寮って私が思っていたより……酷いな……"
"隣の部屋だったかな……"
隣の部屋のドアをノックする
「誰、エレーヌなの」
今度は間違いなくレナの声がするとドアが開く
「私だよ……」
レナに向かって小さな声で話しかける
「どうしたのマノン」
レナには"魔石の指輪"の効力のせいで私が見えているようだ
「急にごめん……レナに話したいことがあって」
私が申し訳なさそうに言うと
「もう、門限は過ぎているわよ……」
「ダメじゃない……」
レナは微笑みながら言うと私を部屋に入れてくれた
レナがパンツ1枚でなくて内心ホッとしているマノンだった
私は、今日の出来事を詳しく話す
「……大丈夫よ…」
「アレット導師はマノンの正体は誰にも言わないと思うわ」
レナは自信ありげに言う
「どうして断言できるの」
私がレナに尋ねる
「そんなの自分で考えなさいっ!」
レナは少しいつものように意地悪そうに私に言う
「……分ったよ」
私が不貞腐れて言うとレナは笑っていた
「ねえ、レナこれからでも魔法工房の図書室へ行かない」
「明日は休みだし」
私の誘いにレナは少し困ったような顔をしていたが
「うん、連れて行って」
「1泊2日の温泉旅行ね」
レナは嬉しそうに微笑むと小さな鞄にタオルや着替えを詰め込む
魔術が阻害されるのでレナに指輪を外してもらうように言う
ところが指輪が指から抜けない……
「レナ……肥った」
私の心無い一言がレナの乙女心を深く抉る
「悪かったわねっ!」
レナはそう言うとニッコリと笑う……私の背筋に悪寒が走る
「ふげっ!」
レナの肘鉄が横腹にめり込んだ
「ごめんなさい……」
床に蹲り死にそうな声でレナに詫びるとレナは意地悪そうに笑っている
女子寮を出て広場の塔から魔法工房へと転移する
「久しぶりね……」
そう言うレナの眼は何か遠いものを見ているような気がした
「食事は……」
私がレナに尋ねると
「食事はもう済ませたわ……」
「シャワーはまただけど」
そう言うとレナは私の方を見る
「それじゃ、温泉に行こうか」
そう言うと私はレナと温泉へと向かった
二人で温泉に入る……真横にレナがいる
巨大な胸がプカプカとお湯に浮かんでいる
「何見てるのよ……」
私の視線に気づいたレナが疑惑の視線を向けると
「今、私のオッパイ見てたでしょ」
「マノンのエッチ……」
レナはそう言うと急に私に抱きついてくる、大きな胸が押し付けられる
「どうしたの急に……」
いつもと違うレナの行動に慌てる
そうすると、レナは両親との約束の事を私に話してくれた
「えっ……」
私は驚きよりも何か大切なモノを失ったような喪失感に襲われる
"そんなの嫌だ……絶対に嫌だ……"
心の中でもう一人の私が叫ぶ
「レナ、私と"交わりの儀"を交わしてっ!」
私の突然の申し出にレナが凍り付いたようになる
「嬉しい……」
レナはそう言うと私に熱烈なキスをする……
「でも……もう遅いよ……」
「私は明日で17歳になるのよ……もう、間に合わないわ」
レナは悲しそうに言うと涙を流す
「大丈夫だよっ! これからでも間に合うよ」
「マノワール村に帰ろうか」
私の言葉にレナは呆然としている
私とレナは温泉から上がると転送室に急いで向かう、そこからマノワール村の裏山の祠へと転移する
時刻は九時を過ぎていた、蝋燭の光を頼りに山道を下り私の家へたどり着く
「父さん、母さん、イネス、戻りました……」
私の声に驚いたイネスが慌てて玄関のドアを開ける
「お兄ちゃんどうしたの……」
「レナちゃんも一緒なの……」
「……あ、あ~」
驚いていたイネスの顔がニヤけるのが分かる
「父さんと母さんに話したいことがあるんだ」
私はそう言うと急いでレナの手を引いて家の中に入ると父のアルフレッドと母のセリアが居間から出てくる
「突然でゴメン……」
「父さん、母さん、話したいことがあるんだ……」
私はレナと"交わりの儀"を交わしたいと話す……二人とも快く許してくれるのだった
「レナお姉ちゃん」
イネスはレナに向かってそう言うと
「よろしくね、イネスちゃん」
そう言ってレナは微笑む
すぐに家を出るとレナの家へと急いで向かう、レナの家の前に来ると何故か急に鼓動が早くなり緊張してくる
「お父さん、お母さん、戻りました」
ドアの前でレナが声を掛ける
暫くすると、ドアが開きレナの母のアンヌが出迎えてくれる
「レナ……どうしたの……」
アンヌは驚いていたが、少しすると私に気付く
「えっ……大賢者様もご一緒ですか……」
暫くするとアンヌは急に慌てる
「まさか……レナ……」
かなり動揺するアンヌ
「その、まさかよ……お母さん」
レナが微笑むと
「お父さんっ! お父さんっ!! 」
アンヌは慌てて父親のロジェを呼ぶ
「何だい、母さん、そんな大声で……」
ロシェが居間の奥から顔を出す
「レナ……大賢者様……」
私がレナに"交わりの儀"を申し出たことをレナの両親に話すと2人は顔を見合わせて
「うちの娘で本当にいいんですか……」
「こんなので良ければ……どうぞよろしくお願いいたします」
父と母の言葉にレナが少しムッとするが2人とも快く許してくれた
こうして、私とレナは正式に"交わり"の誓いを交わす事となった
幸せそうなレナを見ているとマノンの心は痛むのであった
"交わり"の誓い……つまり……レナと子供を作るという約束である
私に子供を作る事は難しい……
レナになんと説明をすればいいのか……
第八十六話 ~ 新たな学園生活(女難)の始まり ➄ ~ 終わり




