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いつの間にやら憑依され……  作者: イナカのネズミ
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第八十話 ~  いつもの学園生活の始まり   ~

第八十話 ~  いつもの学園生活の始まり   ~  序章



 マノンがシルビィに感じた甘い匂い、その正体は"性フェロモン"である


 フェロモンにはいくつかの種類がある。


 一般にフェロモンと言えば、よく知られているこの"性フェロモン"を指すことが多いようである。


 このフェロモンは、性的に発情(興奮)を誘発させ、成熟して交尾が可能なことを他の個体に知らせるものだそうだ。


 前回で、マノンがシルビィと交わってしまったのは本人の意思もあるが女性として成熟したシルビィが無意識のうちにこの"性フェロモン"を出していたのかもしれません。



 フェロモンのある女性と一緒にいると、なんだか落ち着く、リラックスできるということがあるとされています。

 男性がよく訪れるバーやクラブには、フェロモンを感じさせる女性が多くいるとされます。

 彼女らは、ゆったりとした雰囲気で自然な姿で男性と接し、秘められている男性の心をコチョコチョとくすぐるのです。

 これにマノンもつい心が緩んでしまったのかもしれません。



 フェロモンを感じさせる女性は、心身ともに満たされた生活を送っていることが多いとされています。

 シルビィは、いろんな重責から解放されたことやマノンと二人きりと言う環境が偶然にその条件を満たしたのかもしれません。


 当然、この世界この時代の住人はマノンやシルビィも含めてフェロモンという物質に関して知識はおろか存在すら知りません。


 ……しかし、爺は……




 第八十話 ~  いつもの学園生活の始まり   ~  




 ここは、王立アカデミ-の導師ルシィの部屋である


 私は、きれいに整理整頓されたルシィの部屋に姿勢を正し正座をしている

 私の前には、レナが仁王立ちしている。


 その後ろには、私に哀れむような視線を送るルシィと軽蔑の眼差しを送るエレーヌがいる


 私はレナの尋問を受けている真っ最中なのだった。

 シルビィを送り届けた後に、一度、魔法工房に戻って王立アカデミ-の制服に着替えてレナに会うために急いでとんぼ返りしてきたのだが……


 私がレナを探し当て、抱き合った瞬間にレナの態度が急変したのだった。

 そう……レナはマノンの体にほんの僅かに残るシルビィの残り香を嗅ぎ分けたのだった


 "違う女の匂いがするっ!"

レナの勘はマノンが思っているよりも遥かに鋭かったのだ


 元々、レナは独占欲が強い上に二ヶ月以上もほったらかしにされ、更に王女を攫って雲隠れして何やら如何わしい事をしていた痕跡を見つけたのだからその怒りは半端ではなかった


 それに、マノンには如何わしい事をしていた心当たりが思いっきりある。

 そう、"マノンはもう死んでいる"のである

 後は、レナに全身の秘孔を突かれまくり"ひでぶっ"とか"あべしっ"とか言うだけである……ここは"エロばっ"の方が良いかもしれない


 そんな事より、私はさっきから必死で爺を呼んでいるが全く反応はない……と言うより気配すらないのである


 "爺っ! トンずらしたなっ!! "

たが、爺は本当は出たくとも出れないのである……

消滅が近づいた爺の活動限界が徐々に短くなってきているのである

当然、マノンはそんな事など知らないのである


 「マノン……何があったのか」

 「詳しく聞かせて」

レナの冷酷な視線に心の内を全て見透かされているような錯覚に陥る


 「あっ……その……えっと……」

私の頭の中は真っ白である

 「魔法工房で一緒に、ご飯食べたり温泉に入ったり……とか」

 「シルビィ……シルビィ王女は本を読んでいたり」

 「たまに食料の買い出しにゲルマニア帝国の町へ行ったりとか……」

私は嘘偽りのない差し障りの無い事実だけを述べる

何故なら、幼い頃からレナに吐いた嘘はその場で見破られていると言う経験があるかだった

 

 「それだけ?」

レナの一言に私は必死で平静を保つ

 「嘘ね……他には……」

やはり一瞬で心の内を見透かされる


 「あう……」

 "もはやこれまで……かくなる上はっ!"

私は認識阻害の術を発動する


 「あれっ……」

私が消えたように錯覚したルシィとエレーヌが驚きの声を上げる

皆が私を見失っている隙に逃げようとする


……が、レナはそうではなかった

「何処へ行くのマノン……」

そう言うと私の手をガシッと掴む


 "えっ……どうして?"

焦る私の目にレナの右手の指に赤く輝く魔石の指輪を見つける

 "そう言う事かぁー、爺っ!! "

そう、魔石の力が術の効きを悪くしているのだ


 「仕方が無いな……こっち来て」

私はレナを引き寄せるとレナもルシィとエレーヌの視界から消える


 「あれっ……レナも消えちゃったよっ!」

エレーヌの驚いたように言っているのを尻目にルシィの部屋を出ると私の部屋へと向かう


 認識阻害の術のお陰で誰にも気付かれずに私の部屋まで来る


 「ごめんね……レナ……」

私は本心からレナに謝る


 「ホントに……」

レナは少し呆れたようだが私の本心が分かるようだ……

私は、そんなレナに複雑な恐怖感を覚える


 「ホント事を話すよ……」

私はレナに二週間の間にあった事を全て話す


 

 「そう……なの……」

レナは呆然としている

 「シルビィ様と……」

レナは私の股間を凝視する


 「一回だけだよっ!」

私は股間を隠すとレナに言い訳する


 「回数の問題じゃないでしょう!!!」

返ってレナの機嫌を損なってしまった


 そうするとレナは何だか考え事をしている

 暫くすると

 「ねぇ、マノン……シルビィ様から甘い香りとかしなかった」

唐突にレナが訪ねてくる


 「えっ……どうして、そんな事がレナに分かるの」

 「レナの言う通り、シルビィからは甘い香りがしたよ」

私は素直に答える


 「そう言う事か……」

何か心当たりがあるのかレナはそのまま黙り込み何かを考えている


 そう、レナは魔法図書館で医学書を呼んでいる際にこの"性フェロモン"に関する記述を見つけ多大なる興味を持って熟読していたのである。


 それに、自分がマノンと上手く行く参考になるかもしれないという下心も手伝ってレナの頭の中にはこの"性フェロモン"に関する記述は正確に記憶されていたのである


 「ねえ、マノン、私からは甘い香りはする」

レナが上目遣いで聞いてくる


 「全然しないよ」

私は素直に答える


 「あっ、そうっ! 」

レナは物凄く不機嫌そうになると

 「それじゃ……私はどんな香りがするの?」

レナは目を細めて私に聞いてくる


 「ん~ミルクの匂いかな」

私は素直に答える


 「そっそう……ミルクの匂いなのね」

 「"香り"じゃなくて"匂い"なのね……」

レナはそう言うとプルプルと体を震わせている

私は物凄い恐怖を感じて体が凍り付いたようになる


 マノンの一言これは……

 マノンから見れば、自分(レナ)が女として完全にシルビィ王女に敗北したことを意味するのである

 僅か二週間でこの鈍感・無欲のマノンをその気にさせたシルビィ王女に対する嫉妬でもある。

 独占欲の強いレナにとっては、相当な精神的ダメージでもある


 「でも、レナの"匂い"も大好きだよ」

私は素直に言うと


 「そう……」

レナの口調が急に優しくなる


 嫉妬からくる怒りが徐々に収まりレナは冷静さを取り戻してくる

「もういいわ……」

「マノンも男の子なんだし……」

「それに、少し安心したかな……だって、マノンはっ・・・・」

レナは何か言おうとして急に言うのを止める


「何なの……」

不信に思った私はレナに問い質すように言う


「ホントに何でもないのよっ!」

必死で何かを隠そうとしているがレナの目が泳いでいるのが分かる


そう……レナも昔から吐いた嘘は即座にマノンに見破られているのでる

じつはこの二人、根本的にほとんど同じの似た者同士なのである。


 「嘘、言ってるね」

私はレナを冷酷な目で見ると卑猥な手つきでレナに迫る


 「ダメよっ! こんな所でっ!!」

レナは胸を両手で隠すとベッドの隅に身を寄せる……レナの脳裏に以前に胸を揉まれた記憶が鮮明に蘇る

 「わかったわよっ!」

 「話すからっ!!」

レナは観念したようだ

 「あの……凄く言い難いんだけど……」

 「マノンって女の子じゃなくて男の子の方に興味があるんじゃないかって思っている子が結構いるのよ」

 「じつは私も……そうじゃないかって、少し不安だったのよ」

 「でも、安心したわ、シルビィ様とっ……」

レナは途中で言うのを止めた


 そう言えば、ルメラもそんな事言ってたな……

 それ以前に、私って女子だった頃から男には全く縁が無かったのに、男になってからそんなふうに思われていたなんて……

 今もアカデミ-の生徒にそんなに親しい男友達はいないのに……何だか、自分の事が虚しく思えてくる


 あまりの世の不条理に、私の目から涙がこぼれ落ちる


 「ごめんなさいっ! 」

私の流した世の不条理の涙に慌てたレナが謝る


 「いいんだよ、レナは悪くないから」

私がレナに気にしないように言う


 どんよりと重く暗いオーラを放っている私をレナは必死で慰めようとする

 そんな必死なレナの姿が返って私の心を深く(えぐ)るのであった。


 

 第八十話 ~  いつもの学園生活の始まり   ~  終わり


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