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いつの間にやら憑依され……  作者: イナカのネズミ
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第四十六話 ~ シラクニヤ出張 ① ~

 第四十六話 ~ シラクニヤ出張 ① ~ 序章


 

 私のただならぬ様子を見ていたレナ、エレ-ヌ、マリレ-ヌの三人はお互いに顔を見合わせると……

 「どうしたの……何かあったの」

レナが心配そうに言う


 「ルメラの国で何かあったらしい……」

私が深刻そうに答える


私の尋常ならぬ雰囲気に、再び三人はお互いに顔を見合わせると……

 「そう……私達はこれで失礼するわね」

レナが言うと三人とも気遣うようにその場を去っていった。


同時に、周りを取り囲んでいたギャラリ-も消えていった。

 私は、直ぐに自分の部屋に戻り手紙の続きを読む。

 


" 今私の国では、ある病が国中を襲っています。

 昔からあった病気ですが、今年は発病する人が異常に多く既に千人以上が亡くなっています。

 ゲルマニア帝国も救援の手を差し伸べてくれたのですが、一向に好転する気配もなく、そうこうているうちに私の父も国の重鎮達も次々に病に倒れ、私の力では、もはや打つ手がありません。


 お願いです大賢者様、お助け下さい

 私にはもう貴方様に縋るしか手立てがありません"


シラクニヤ新王国第一王女 ルメラ・オールステット


 と書かれていた。


 「何となんとっ! あのじゃじゃ馬娘がシラクニヤ新王国第一王女だとっ!」

 爺も私も手紙の内容よりこっちの方がはるかに驚いた。




第四十六話 ~ シラクニヤ出張① ~


  

 ルメラの手紙を読み終えると

 「シラクニヤの昔からの病ってなんだかわかる」

私は慌てて爺に問う


 「聞いたことがあるわい……」

 「始めは、足がしびれはじめ病状が悪化すると死に至る病じゃ」

爺が答える


 「知ってるのっ!治療方法とかあるの!」

期待して私が問うと


 「残念じゃがわしには分らぬな……」

爺がすまなさそうに言う


 「行ってみるしかないかな……」

私が思い立ったかのように言う


 「そうじゃな……それしかないの……」

 「シラクニヤの転送ゲ-トはまだ使えるはずじゃ」

爺も私の考えに同意してくれる……私は、シラクニヤへ行く事を決意する。



 私は、レナにシラクニヤへ旅立つことを伝えに女子の宿舎に行く……面会許可を取りレナの部屋に入る……レナが私を見ると

 「行くのね……シラクニヤへ……」

私を見て優しそうに言う


 「うん、行ってくるよ……」

私は頷くと小さな声で言う


 「そう……」

レナは悲しそうな表情で言う


 「大丈夫だよ……直ぐに戻ってくるよ……」

私が言うと


 「エレ-ヌやルシィ……マリレ-ヌにも言っておいた方がいいかな」

私がレナに問いかけると


 「そうね……三人には私からそれとなく伝えといてあげる……」

 「マノンが一番初めに私に言ってくれて……」

 「寂しいけど……何だか嬉しいわ……」

そう言うとレナの目から涙がボロボロと流れ落ちる。


 「ごめんね……レナ……」

私は小さな声で謝る


 「いいのよ……マノンは大賢者なんだから……」

悲しそうに微笑みながら言う……私は、レナを引き寄せて優しくキスをした


 「行ってくるね……」

そう言って私は部屋を出ようとすると……レナが私の手を掴む


 「マノン……ルメラって誰……」

レナが微笑みながら目を細めて言う

 「あう……」


 一瞬にして血の気が引き、別れの感傷的な気持ちが瞬時に超現実世界に引き戻され、  私の額に脂汗が滲み出てくる……。

 その時、爺の声がしてくると意識が入れ替わる。


 「レナちゃん……こ奴は、優柔不断でどうしようもないヘタレじゃが」

 「間違いなく、レナちゃんの事を一番愛しとるよ……わしが保証する」

 「工房の温泉に一緒に入った時もな、こ奴、レナちゃんに一緒に入ろうと言われた時、じつは嬉しかったんじゃよ……」

 「こ奴は筋金入りのオッパイ星人じゃから、本当はレナちゃんのオッパイが大好きでな……」

 「レナちゃんのオッパイばかり気にしてて真っ裸を見たら鼻血がブッじゃしな……」

 「それに……」

 爺は私が秘密にしていた恥ずかしいことを真顔で次々とレナに暴露する。


 "ヒィ~、爺ッ、止めてえ~"と必死で言うがそれを聞いていたレナは

 「えっ……今話してるの、パトリックさんなの……」

 「そっそうなの……そうなの……」

そう言うと顔を真っ赤にしてモジモジして黙り込むと……

 「いってらっしゃい……マノン……」

そう言って何故か私の手を放してくれる。

 「行ってくるね」

そう言うと私は、レナの部屋を後にした。



 第三者から見ればただのセクハラまがいの爺の話も、レナにとってはそうではなかった。

 幾度となく"交わる"機会が幾度となくあったにも関わらずマノンは何もしなかった。

 これは、レナだけではなく全ての女性にとって女としてかなりの屈辱でもあるのだ。

 マノンにとって自分は女性としての魅力が無く、女として見られていないのではないかと真剣に悩んでいた今のレナにとっては、マノンが自分に女性として意識されているという事が分かったからである。


 レナがマノンの手を放し"いってらっしゃい"が言えたのもその事が分かったからである。

 


 男子宿舎に向かう途中

 「爺、ありがとう……」

私はお礼を言う


 「なぁに……たいしたことはない……」

爺は何事も無かったかのように答える


 「もう、あまりレナに恥ずかしい事バラさないでよ……」

私が不貞腐れたように言うと


 「はっはっはっはっは……今更何言うとるんじゃ」

と言って笑うと爺の気配が消え私は体の自由を取り戻した……。

そのまま、王立アカデミ-を出ると教会の方に向かって歩き出す。



マノンは全く気付かないがその時、 爺は自らの内に意識を閉じ込め考え事をしているのだった。


 パトリックもそうだったが、歴代の大賢者に妻を持った者は一人もいない。

 人知を超えた力を持つが故に、特定の者に対して特別な感情や弱者に対する情け哀れみすら持つことを許されないからだ……。

 大賢者は、正義の味方ではない……まして英雄でもなければ勇者でもない……。

 全ておいて公平であれ……これも、大賢者の背負う運命の一つ……。

 かつて、この掟に背き1都市と1万の人を灰燼に帰した爺の忌まわしい過去が蘇る……。


 爺は、マノンにもいづれ訪れるであろうその時が怖かった……。

 しかし……"こ奴は、今までの大賢者とは違う"……


 「……爺っ! 聞こえてるっ!!」

自分を呼ぶマノンの声に気が付く


 「なんじゃ……うるさいのう……」

わしが煩わしそうに言うと


 「一度、工房に行けばいいの」

マノンが聞いてくる


 「そうじゃ……工房からシラクニヤの旧都キ-マに転送ゲ-トがある」

 「今頃は雪に埋もれておるが転移は出来るはずじゃ」

わしが答えると


 「旧都キ-マか……どんな所なの」

塔の階段を登っていると聞いてくる


 「かつてのシラクニアの神殿跡、今は廃墟じゃがな」

 「半年は雪に埋もれる土地じゃよ……」

 「まだ本格的な冬季ではないが、相当に寒かろう」

わしが言う


 「それでは……行こうか……」

転送ゲ-トが発動する……。

眩い光に包まれ工房へと転移した。



第四十九話 ~ シラクニヤ出張 ① ~ 終わり


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