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いつの間にやら憑依され……  作者: イナカのネズミ
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第三十五話 ~ 大賢者の災難 ~ 

 第三十五話 ~ 大賢者の災難 ~ 序章



 時計塔での大捕り物の後、アカデミ-の生徒達には色々な噂や怪情報が流れたが、その真相を知るものは少なかった


 捕縛されたグレゴワールとエヴラールは、教会に連行された後に大司教クロ-ドの尋問を受け不正の全てを白状した。


 その内容は国王フィリップに報告されると不正を働いたものに国王フィリップから直々の下文が出される。


 しかし、国王フィリップも大司教クロ-ドも事を公にする気はなかったために、下文の内容は強制的てなものではなく自裁を求めるにとどまり大賢者の事も伏せられた。


 グレゴワールとエヴラールは、自主的に辞職したこととされ、不正入学した者達も次々に王立アカデミ-を表向きには自主中退していった


 そして、今回の不正の温床となった特別推薦制度は今回をもって廃止され、今後は全て一般推薦制度とし卒業時に優秀な者を選抜するように改められ兵役免除制度は廃止された。


 目まぐるしく変わっていく王立アカデミ-に多くの生徒は新しい時代が到来したのだとの予感を感じていた。


 そんな中でマノンは、王立アカデミ-を去るべきなのかを迷っていた。

 これで自分の役目は終わったような気がしていたからである。


 「……爺、もう私の役目は訳が分からないままに終わったと思わない」

私が思いついたように言う


 「そうじゃのう……終わったといえばそうかもしれんが……」

 「お前さんにはもうここに思い残すことはないのか」

爺は諭すように言う


 「どうなんだろう……大陸中を旅してみたいって思ってたけど」

 「そんなに慌てていないし……それに……レナと一緒にここで過ごしたいなって思っている」

私が何気なく言う


 「ならそうすれば、よかろう……自分に正直に生きるのが一番じゃ」

 「それが後々の後悔となるやもしれんが……未来の事など誰にもわからん」

そう言うと気配を消した。






 第三十五話 ~ 大賢者の災難 ~ 




 いつものように講義を受けた後に、レナ、エレ-ヌと一緒に早い目の昼食を食べ中庭のベンチでレポ-トをやっていると

 「マノン……何か悩み事でもあるの」

レナが何気なく聞いてくる


 「……どうして」

私が少し慌てて聞くと


 「マノン……ここ最近ずっと何か考え事してるみたいだら」

心配そうにレナが言う


 「レナはお医者さんになりたいからここで勉強している。」

 「私は何のためにここにいるのかなって考えちゃってさ」

 「王立アカデミ-の不正の事も結局は、何も分からないまま片付いちゃったし……」

思っている事を正直にレナに言う


 「私はお医者さんにもなりたいけど……ずっとマノンと一緒にいたいと思ってる」

  「マノンはどうなの」

私に問いかけてくる


 「私もレナと一緒にいたいと思ってる……これからもずっと一緒に」

正直な気持ちを伝えるとレナは頬を染め嬉しそうにしている


 「あ~オッホン!……私もいる事をお忘れなく」

エレ-ヌは、真横でお互いに見つめ合う二人だけの世界を見ている自分が悲しくなってきて茶々を入れると、私とレナは離れ黙り込む


「じゃ……お邪魔虫の私はこれで……二人ともごゆっくり~」

そう言って立ち去って行った……。


 本当は、彼氏いない歴=実年齢の自分が居た堪れなくなったのだった……。

 目に少しばかりの涙が浮かんでくるのであった……。

 「エレ-ヌさん……行っちゃったね……」

私が困惑気味に言う


 「そうね、行っちゃったわね」

笑みを浮かべて言うと誰かがこちらに近づいてくる。

 ……大きな体に瓶底メガネ……ルシィだ……以前とは違い随分と身綺麗にしている。

 

 「ここいましたか、だっマノン・ルロワさん……」

そう言うとレナの方を見る


 「確か……時計塔の時にマノンさんと一緒にいた方ですね」

レナに確認を取る


 「そうです、医学科のレナ・リシャ-ルと言います……ルシィ導師」

 「何度か講義も受けさせていただいています」

レナは立ち上がると礼儀正しくルシィ挨拶をする。


 「じつは、マノンさんに伝えたいことと幾つか聞きたいことがありまして」

 「ここでは何ですから……私の寄宿舎へ着ていただけませんか」

と言うので私はレナと顔を見合わせる


 「レナも一緒でいいですか」

と聞くと、ルシィはしばらく考えてから

 「いいですよ」


レナも一緒でよいと了承してくれた


 三人でルシィの寄宿舎に向かうと、ルシィの部屋に入る。


 "何だ……以外と小綺麗じゃないか"と心の中で安心した……。

 私は部屋中にゴミが散らばった汚部屋を想像していたのだが……。

 部屋に入ると、ルシィは用意していた椅子に私とレナに並んで座るように言うと自分は前に座った。


 「この前の時計塔の事ですが」

そう言うとルシィは事の詳細と現在の王立アカデミ-の状況を詳しく話してくれた。


 時計塔での出来事の詳細を知るのは王立アカデミ-ではルシィ、レナ、エレ-ヌそして私の四人だけという事。


 国王陛下と最高司祭のクロ-ドには、大賢者様は用が御済になったのですでに帰られたと伝えてある事。


 国王陛下の命により不正に入学した者は在学中の者だけではなく卒業生に至るまで厳しく追及して行く事など……。


 王立アカデミ-では特別推薦や兵役免除の廃止など大幅な制度改革が行われている事などであった。


 そして、最後に勝手に事を進めてしまったのを謝るのだった。


 それを聞いていた私と爺は、感動の涙を流しそうなぐらいであった。

 「流石は、ルシィちゃん……賢いのう」


爺が嬉しそうに言っている、私もその通りだと思った……。

 ルシィってやっぱり場の空気を読むのが上手いんだなと心から感じた。

 「ありがとう……ルシィのお陰だね……エレ-ヌはどうしていないの」

 私はエレ-ヌがいない理由を聞く


 「何でも、お二人の傍にいると自分が居た堪れなくなるとかで……後でいいとかなんとか……」

ルシィが少し困った顔をして言うとレナが顔を赤くする


 「でも、ルシィって凄いよね……とてもそんな策略家には見えないよ」

私が感心して言うと


 「そんな事はありません……私に勇気をお与え下さったのは大賢者様なのです」

 「サン・リベ-ルで死熱病の治療をしておられた時の真摯なお姿を傍で拝見させて頂いた時に、私の決心はつきました」

 「時には、怖くなったり、辞めようかと思ったことが何度もありました……」

 「でも、その度に大賢者様から頂いたこの指輪を見ると胸が温かくなり勇気を与えてくれました」

と言って左手の薬指にはめた指輪を見ると頬を赤くする。


 その瞬間、私は"ちっ!ちょっと待った~!!"と心の中で叫んだのだが……。

 既に手遅れだった……。


 私の横から凄まじい殺気が流れてくる……。

 恐る恐るゆっくりと横を向く……レナは微笑んでいた……が目は笑ってはいなかった。


 気が動転し焦った私は

 「確か、ゆっ指輪は右手の人差し指に嵌めたような気がするのですが……」

私は必至で思いつく限りの言い訳をする。


 「同僚の導師が大切な方からの頂き物なら左手の薬指にするものだと言いますので……」

 「大賢者様は私にとって大変大事なお方ですから……こうして左手の薬指にしております」

と嬉しそうに指輪を見つめながら言う


 ……ダメだ……もう、どうしようもない……。

 ルシィって空気を読むの上手だと思ったのに……。


 絶望に呆けている私の耳元で

 「マ・ノ・ン……後でお話があります……いいですね~」

レナは優しく私に囁くのであった。


 "この後はレナのお説教か……。"

 そう思うと私に前のお説教の記憶がリアルに蘇るのであった。




 第三十五話 ~ 大賢者の災難 ~ 終わり




 


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