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いつの間にやら憑依され……  作者: イナカのネズミ
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第188話 ~ 続・メイリンの異界見聞録 ➁  ~

第188話 ~ 続・メイリンの異界見聞録 ➁  ~



序章


新生・アル・マノース共和国の最も外れにある軍の秘密演習場……

そこは100年程前に人口減少による都市集約で放棄され無人と化した、かつての地方都市"ユウバル"である

演習場のあちこちで爆発の閃光が辺りを照らし、赤い火炎が天を焦がす、轟音と共に爆炎が舞い上がっている



表向きは"彼の地"への使節団として集められた10人であるが、実際は"対・超戦略級能力者"に対抗するために集められた強力な特別戦闘部隊である


能力値700000越えという"超・戦略級"に対抗するにはメンバー10人がそれぞれの能力を最大限に引き出し連携しなければならない


要するに、ド〇クエストのように10人でパーティを組むのである

それぞれが個々の能力を生かし連携して戦うのである

ただ、実戦ではゲームのようにターン制で相手はこちらの攻撃準備が整うまで大人しく待ってくれないのである……

10人のメンバーが連携し絶え間なく、攻撃を加え続け相手の能力を徐々に削っていく戦法である


とは言うものの相手のおおよその能力値は分かってはいてもどのような魔術を使いどのように戦うのかに関しては全く分からないというのが実情である


それに対応するために軍の作戦参謀部は想定される戦闘パターンを洗い出し、考え得る全ての戦闘シュミレーションを何度も重ねたうえで対応できるようにバスケットボール・サッカー・ラグビーなどで用いられるような対・超戦略級能力者フォーメーションを考え出したのである


……とは言え所詮は机上の空論で実際にそれを実践できるのには相当の訓練を必要とするのである


かくして、10人は放棄され無人となった都市"ユウバル"の軍の秘密演習場で過酷な戦闘訓練を重ねているのである


 「ようやく形になってきたな……」

訓練場の監視塔から訓練の様子を見ていたユーシェンが口に手を当て呟く

 「この調子なら……後、1週間ほどで何とかなるな……」

すると、隣の観覧席に座っている評議会議長のリャンの方に目をやる


 「そうか、何とか間に合いそうだな……」

リャンはそう言うと演習場の方へと再び視線を移す


 「"異界の門"の調整はどうなっておりますかな……」

演習を見ているリャンにユーシェンが問いかける


 「……今のところ、遅れは無いのだが……」

 「何せ、物が物だけに何が起こるか技師どもにも見当が付かんらしい」

 「ただ、今の状態だと……」

 「"彼の地"にある魔力転換炉を一部暫定的に復活させて」

 「向こう側の"異界の門"に魔力を充填せねば」

 「開門はあと1~2回が限度という事らしい」

リャンが険しい表情で言う


 「後、1~2回でありますか……」

 「了解いたしました」

 「全力を尽くして任務を完遂して御覧に入れます」

ユーシェンはそう言うとリャンに敬礼をし監視塔から出て行くのであった





第188話 ~ 続・メイリンの異界見聞録 ➁  ~



メイリンが"異界の門"を潜りのこちら側の世界に来てから、まだ半日も経っていない

しかし、"異界の門"の向こう側の新生・アル・マノース共和国では既に8日が経っている


2つの世界の間でメイリンの時間の流れに大きなズレが生じ始めているのである

これは、数百光年と言う距離を一瞬で跳躍した際に生じる現象である


俗に言う"ウラシマ・エフェクト"と呼ばれるもので"異界の門"を潜る際に生じるものである

"ウラシマ・エフェクト"とは"むかしむかし浦島は助けた亀に……"で有名な昔話の浦島太郎が竜宮城から帰ってきたら数百年がたっていたのと同じ現象である事から名付けられたものらしいです


違っているのはメイリンは、マノンという亀に丸裸にひん剥かれ全身を痺れさせられて動けなくされた上でお姫様抱っこされて魔法工房と言う竜宮城にお持ち帰りされてしまったという事である……


新生・アル・マノース共和国の技師達がこの現象に気が付くのはまだ少し先の話になるのである

当然、当事者のメイリンはそんな事など知るはずも無いのである



自分の時間軸が大きくズレ始めた事など全く知らないメイリンはマノンに勧められるままに恐る恐る温泉に入る

 "はぁ~"

初めて入る温泉にメイリンも住む世界、言語は違えども同じ同音同義の息を吐く

 "これ、いいわぁ~"

疲れていた事もあってメイリンは極楽心地になるのだが……


 "အဘယ်ကြောင့်・"

 "どうして……"

女体化したマノンとカルラの真正面で温泉に肩までどっぷりと浸かりながら二人の胸を見て心の中で呟く

 "ဒီပြည်က မိန်းမတွေ အကြီးကြီးလား"

 "この地の女性たちは皆が胸が大きいのか"

自分の胸を手で擦るように隠しながら敗北感にもどっぷりと浸かるのであった


敗北感に打ちひしがれているメイリンの頭にマノンの声が聞こえてくる

 "これからどうするつもりなのですか"

 "帰りたいのであれば協力します"

メイリンはマノンの胸から顔に視線を移すとマノンは優しそうにこちらを見て微笑んでいる


 "この人……本当にいい人なんだ……"

メイリンは心の中で安心したかのように呟く

 "私には門の開け方が分からない……"

 "暫くはここでお世話になるしかないわ"

メイリンが諦めたように言うとマノンの顔が気の毒そうな表情になる

 "べつにアンタのせいじゃないわよ"

 "ハッキリ言って私達の早合点のせいよ"

メイリンはそう言うとマノンの顔が安心したような表情になる


 "帰れるようになるまでここにいてくれていいよ"

マノンがそう言うとメイリンも安心し優しそうな表情になる


 「ちょっと! さっきから二人で見つめ合って何してるのよっ!!」

マノンとメイリンの間に明らかに除け者にされていると感じたカルラが割って入る


念話の事など全く知らないカルラにとってはメイリンとマノンがアイ・コンタクトを取っているように見え腹が立って仕方がないのである


 「あっ! そうだった……」

マノンはカルラが念話の事など知らないの事に気付く

 「じつはね……」

マノンはカルラに念話でメイリンと今まで会話していた事を話したうえで今までの経緯を説明する

そして、メイリンにはカルラが念話が出ない事も説明する

この世界の住人たちに魔力がない事や魔術が使えない事も説明する


 「えっえっ!!!」

 「それほんとなのっ!!!」

メイリンは相当に驚いたらしく胸を手で隠す事も忘れて暫く呆然としているのであった

 「それじゃ! アンタいたい何者なのよっ!!」

メイリンはマノンの方を指さすと信じられないという表情で言う


 「……それは……」

マノンはどう説明してよいのか困っていると爺の声がマノンとメイリンの頭に響いてくる

 「良い所に……」

マノンは一瞬、爺が助け舟を出してくれたと安心したのだが、直ぐに爺の悪い癖が心配になる


 "ဒီအသံ... ဒီငှက်..."

 "この声は……あの鳥の……"

メイリンは聞き覚えのある声に辺りを見回すが認識阻害の術を発動しているので"あの(パック)"の姿は見当たらない


 "ここじゃよ"

爺がそう言うとマノンの頭の上にパックの姿が急に現れる


 "ဂယာ!"

 "ぎゃーっ! "

メイリンは突然、姿を現したパックに吃驚し悲鳴をあげる


 「……爺……いつからそこにいたの……」

パックが自分の頭の上にいる事に全く気付かなかったマノンが少し不快そうに爺に尋ねる


 「お前さんが温泉に浸かって年寄り臭い呻き声を出した頃からじゃよ」

 「重力中和の魔術で重さを全く感じんかったじゃろう」

爺は少し得意そうに言うのだが……

 「それと……お前さんにはもう一つ言わなければならん事がある」

 「すまぬ……この娘がいきなり大声を上げたのでな……」

 「その……何というか……出てしもうた」

今度は爺は申し訳なさそうな小さな声で照れ臭そうに言う


 「えっ……何の事」

マノンは爺に言っている事が最初は良く分からなかったが……

 「何か、頭の天辺が生暖かくなってくる」

 「まっ! まさか……」

マノンは恐る恐る自分の手を頭の天辺に伸ばすと"グチョ"っという感覚が手に伝わってくる

 「こっこの感触はっ!」

 「ウ〇コっ!!!」

爺と言うよりメイリンの声に驚いたパックが粗相をしてしまったのである

マノンは慌ててすぐ横の温泉の排水溝の傍で必死で頭を何度もお湯で流している


何とも言えない間の悪さにメイリンもカルラも黙り込んでしまい居た堪れない時間が流れる


マノンが頭を洗い終わると今度はマノンの肩にパックが乗ってくる

 "酷いよっ……"

ブツブツ文句を言うマノンを他所に気を取り直したかのように爺とメイリンは念話を始める



 "သင်ဘယ်သူလဲ...""

 "アンタ、何者なの……"

メイリンはずっと気になっていた事を呟くように言葉を口にする


 "儂は、パトリック・ロベール"

 "先代・大賢者……こ奴の師匠じゃよ"

メイリンには爺が何を言っている分からない……


 "အိုး... ငှက်က ငါ့သခင်... ပညာရှိကြီး..."

 "えっ……鳥が師匠……大賢者って……

 "ငါလုံးဝနားမလည်ဘူး!"

 "全くわけが分かんないわっ!"

 "အသေးစိတ်ရှင်းပြပါ။"

 "詳しく説明してくれる"

メイリンは温泉から立ち上がるとパックに向かって指さし説明を要求する

……当然、丸裸……メイリンの股間がマノンと爺の眼前に迫ってくる


 "……あの……"

 "モロ見えですよ……"

マノンの恥ずかしそうな忠告に見る見るメイリンの顔が真っ赤になっていく

メイリンは股間を両手でそっと隠すとそのまま温泉に身を沈めるのであった

 "異世界の女性もこっちの世界の女性と同じなんだ……"

そんなメイリンを見ながらマノンは心の中で呟くのであった



マノンはそんな事より爺に"詳しく説明してくれる"などと啖呵を切ったメイリンが気の毒でならなかった……


案の定、温泉から上がった後でメイリンは爺のウンチク講座を6時間近く聞かされる羽目になるのである


爺のウンチク講座開始の一時間程は興味深そうに話に聞き入っていたのだが……

2時間ほどでウトウトし始めるメイリンに容赦なく爺の嘴攻撃がメイリンの体を襲う……

4時間ほどで放心状態となり……

5時間目にはもはや屍と化すメイリンであったが爺のウンチク講座は衰えることなく6時間続くのであった


真夜中に爺のウンチク講座が終わった時のメイリンの表情は真に我慢に我慢をしていた○○〇を出した時のような幸せそうな心の歓喜が私の心に響いてくるのであった……

 "続きは明日じゃ"

爺の一言で一瞬で地獄の底に突き落とされるのであった


当然、メイリンはマノンに泣きつき……結局、当初通りマノンがメイリンの師匠となるのであった


第188話 ~ 続・メイリンの異界見聞録 ➁  ~


終わり


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